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1964(昭和39)年の開設時から走っている新幹線O系車両が引退して話題になった。44年間の現役生活だから機械や構造物としては相当の寿命である 中部電力の原発廃炉計画も大きなニュースとなった。運転開始30年超で「老朽原発」といわれ、補強するより新設したほうが効率よくて経済的だという。設計上は60年持つといわれても、その間の社会変化が大きすぎる 新品の車も数年で部品交換する。「機械に比べ人間は丈夫にできている」と言う僧侶の説教を聞いたことがある。ほとんど「部品」も替えず100年を持つ人も珍しくなく、柔らかな筋肉や内臓が鋼鉄以上の強さで働き続けると説くのだった 企業には「寿命30年説」がある。会社の命が30年で消えるというより、全盛期は短いと理解したほうがいいだろう。が、最近の自動車や電子機器メーカーの自信喪失ぶりを見ていると「30年説」も危うく思う しょせんは人間がつくった機械や組織である。それに振り回され、身をすくませるだけでは展望も開けない。もっと人間本来の強さと生命力に自信を持てと、かの僧侶なら言うに違いない。
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