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北海道の道州制特区

 2006年12月に成立した道州制特区推進法で、北海道は道州制のモデルとして「道州制特区」に指定された。国は既に調理師養成施設の指定、2級河川の管理など8項目の権限を道に移譲。道は同法に基づき、新たな税財源や権限の移譲を国に提案することができる。知事の諮問機関が、公募で集まった250件以上の権限移譲案を整理、検討している。

道州制モデル遠く 「特区」北海道初の権限移譲案 小粒、「利益」に主眼 国の抵抗回避、財源もなく

2008年1月7日掲載)

 「道州制」の将来的な導入を目指した道州制特区推進法の施行から約1年。北海道は昨年12月に同法に基づき初めて国に権限移譲案を提案、3月には2回目の提案も行う方針だ。だが道の案は小粒で、利益を引き出すことに主眼が置かれており、当初期待された「道州制のモデルケース」のイメージとは隔たりが大きい。省庁の抵抗などが影を落としている形だ。

 ▼法案策定時の挫折
 「北海道の道州制特区は先駆的モデルになるだろう」。昨年5月、北海道洞爺湖町などを訪れた安倍晋三首相(当時)は道での“実験”に強い期待を示した。当時は国道などの管理を北海道開発局から道に移譲し、“二重行政”を解消することなども期待されていた。
 だが、道が提出した案は、札幌医大の定員自由化や、日本農林規格(JAS)法に基づく監督権限などで、大きな権限移譲を伴っていない。
 背景には2006年の法案策定時に受けた強い挫折感がある。政府は同法に一部の権限移譲を盛り込んだが、道が要望した33項目のうち、入ったのは8項目だけ。
 「省庁の抵抗の強さを思い知った」と道幹部。国の仕事を大きく奪う提案は避け、小さな権限移譲の実績を積み上げていく方針に転じたという。

 ▼テスト機関でない
 財政が窮迫する道には財源が十分に手当てされないままでの権限移譲で「道の負担増につながることだけは避けたい」との思いも強い。
 知事の諮問機関、道州制特区提案検討委員会は、国が管理する新千歳空港の道移管を検討。着陸料収入が見込め、国際路線誘致にもつなげられる妙案だったが、結局「整備費などで負担増になりかねない」として答申盛り込みを先送りした。
 「消極的だ」との批判に道幹部は「われわれは道州制のテスト機関ではない」と反論。高橋はるみ知事も4日の会見で大きな権限の移譲に関し「財源が来るのが大前提だ。これがない限り今の財政状況では受け入れられない」とくぎを刺した。

 ▼早くも否定的意見
 道は3月に提案する案では、沖縄県の観光振興地域制度をモデルに、スポーツ・観光施設への課税を減免し、減収分を交付税で補てんしてもらう内容を盛り込む方針だ。
 道幹部は「道民の利益になるかが重要だ」と強調するが、内容を耳にした省庁からは早くも「虫のいい話だ」と提案に否定的な声が漏れている。
 政府は12月の提案に対しては、早ければ今月中にも回答する見通しだが、道州制に詳しい北海道地域総合研究所の松本収専務理事は「小粒な提案ばかりしていると、国の分権が進まない言い訳に使われる恐れもある」と指摘。「道は財源の移譲を強く求めるべきだ」と注文を付けている。
    ×      ×

 ●大胆な案必要

 ▼北海道大公共政策大学院の山崎幹根教授の話 地方分権の観点から見れば、北海道の提案は住民生活に根差しており、評価できる。だが道州制のモデルケースであることからすれば、国と新しい関係を示すような大胆な提案があってもよかった。一般の都府県で認められていない税減免などを、例外的に北海道で認めさせるには、道が元気になることが日本全体のためになるということを示す必要がある。

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