2006年2月の日記:[以前の日記]
 
 
2月27日(月)
 
 
2006年2月27日 第557号

□国会議員の発言の重みを自覚しよう
いよいよ今週で3月に入る。春近し、と気分的にはうれしくなるはずなのだが、国会でのライブドア関連で、ホリエモンから発せられたという選挙関連資金3000万円を、武部幹事長の二男に対して振り込むよう指示したとされるメールをめぐって、その真贋論議がデッドロックに乗り上げ、本来攻めているはずの民主党が、その信憑性の立証にてこずり、逆に代表や国対委員長の責任問題まで云々され始めている。現時点では残念ながらメールが本物で、武部幹事長サイドに現実に金が支払われたということが立証できていない。そのことに対する現時点での国民に対するお詫びの発言がなされ始めており、今週中にも民主党執行部としての何らかの釈明が行われる予定という。引き続いて政治と金の問題を含めて、調査活動を自ら積極的に進めていく必要がある。

 ただ、小生が2000年7月に、鈴木代議士に対して「日本で一番ダーティな政治家」と批判をした際、ある支持者の方から、「本当にダーティなものをつかんでいるなら、司法当局に告発するべきだ」と指摘を受けたことを思い出している。国会議員の言葉とは、それだけ重いものがあることを深く瞑すべきであろう。国会の、しかも一番の花形である予算委員会での質問だけに、大胆さとともに慎重さ・緻密さが必要とされるのだと思う。

□一人ほくそえんで暗躍している官僚たち
 それにしても、このメール騒動のなかで、本格的な予算審議のほうが十分に論議されているのだろうか、と心配になってくる。予算委員会のほうは24日に続いて27日に公聴会が開催され、おそらくこのままのペースで行けば、今週中には衆議院を通過する。景気回復といわれているが、本当に2兆円以上の税金や保険料の負担に耐えられるものとなっているのかどうか、税制では、定率減税が廃止される前提である所得税の抜本的な改革がなされているのかどうか、いろいろと論議をすべきことが不十分に終わっていることに対して、参議院での論議で補完していく以外にないのかもしれない。

 そうした中で、政府系金融機関の統廃合問題で、2月23日に開催された経済財政諮問会議での論議の中で、商工中金や政策投資銀行の民営化について、何らかの行政の関与を残し、天下りの確保に汲々とする官僚たちの跋扈が進んでいるという。というのも、郵政改革の結果、スタートする民間企業である日本郵政株式会社の人事で、社長は民間だが副社長2名はいずれも官僚出身者で占められたことによって、政府系金融機関のトップリーダーの民間人の起用は社長だけで、あとの役員には官僚から天下りができるという動きになりつつあるのである。これでは何のための改革なのか、まことに不可解であり、改革とは名ばかりの再編劇でしかないのである。小泉首相のリーダーシップが問われているのだ。

□戦争責任の自覚を――2・26事件70周年に思う
2月26日はいうまでもなく「2・26事件」のあった日である。ちょうど今年で70周年にあたる。いま松本清張著の『昭和史発掘』を読んでいるところであるが、文春文庫で全9冊に及ぶ大冊のため、ちょうど今8冊目の2・26事件の結末になったところまでしか読み進めていない。松本清張という巨人が心血を注いで書かれているだけに、その資料的裏づけは見事というほかないのだが、如何せん詳細で、読むものをして圧倒し続ける。結果として事件は4日足らずで鎮圧されるのだが、この事件を機に一気に戦時体制へと突入する。

その結果が国民を塗炭の苦しみにおとしめたあの戦争であり、敗戦なのである。なぜこのような暴挙が起こり、なぜ戦争への道を歩んでいったのか、いまだにきちんとした総括がない日本の姿に対して、アジアの近隣諸国だけでなく世界の人たちからも、厳しいまなざしが向けられていることを知らなければならないのだ。日本だけでなく欧米もまた植民地を侵略したではないか、という反論に対して、すでにドイツは60年代に若者たちが「父親たちが何をしたのか」と問い詰めることなどを通じて、政治指導者も国民の圧倒的多数も、ドイツ人の名において、第三帝国の下でなされた戦争犯罪の責任を引き受けるようになっているという。学ぶべきはこのような歴史に対する態度ではないだろうか。
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2月20日(月)
 
 
556号2月20日発行
□ホリエモンが送ったメールの事実究明に全力を
 今年の冬は豪雪に泣かされている地域がある一方で、暖冬気味の地域もあったりして、なかなか定まらない。札幌もあと1ヵ月我慢をすれば、待ち遠しい春の便りが聞こえはじめてくるのではないかと思われる今日この頃である。

 さて、国会のほうは16日に開催された衆議院の予算委員会で、民主党の永田議員が、ライブドアの堀江社長が自民党の武部幹事長の二男に当てた3000万円の選挙がらみの金を振り込むよう指示したメールの存在を明らかにし、翌17日の金曜日、同じく予算委員会ではライブドア問題の集中審議となり、NHKのテレビで全国中継されるなか、自民党側の証拠を見せろという反撃もあり、一気に予算委員会のみならず政局の焦点課題になってきた。自民党のほうは、とにかくこのメールだけでは証拠不十分であり名誉毀損に当たるとして永田議員に対して懲罰動議を提出し、小泉総理は「ガセネタ」だと決め付ける始末である。

とくに不思議であったのは、このようなメールがあったのか、という自民党の逢沢議員の質問に対して、いつもは捜査中であり個別の案件に対しては答えられない、と答弁するはずの法務省官僚がこのときに限り明確に「そのようなメールがあるとは聞いていない」と答弁するなど、まことに権力の横暴振りが目立ったことを指摘せざるを得ない。民主党の野田国会対策委員長は、自民党側の執拗な証拠を求める声に配意して当日の夜には証拠のメールを記者団に明らかにするとともに、今後は国政調査権を使って関係者の金融機関に対する調査を国会として実施すべきことを主張している。前原代表も当然のことながら永田議員の質問を全面的に支持しており、まさに政局を揺るがす一大戦争の様相を呈している。負けられない戦いなのだ。

□元鉄鋼労連顧問の千葉利雄さんと日鋼室蘭争議
先週の金曜日、小生が社会人としての第一歩を歩んだ鉄鋼労連時代に、大変お世話になり、議員になっても温かいご支援を賜っている千葉利雄元鉄鋼労連顧問と、元自治労中央本部委員長の後藤森重さん、それに民主党を昨年辞めて札幌の企業で経済活動を始めた松本収さんの4名で懇親会を開催した。千葉先輩は今年で80歳になられたのであるが、依然として大変お元気で、小生などに対して時には歯に衣を着せない厳しいご批判を展開されるなど、まことに矍鑠としておられる。

当日、大変珍しい資料を持参されてきた。それは、1950年代前半に総評事務局長をされていた高野実さんの直筆の原稿や当時の高野派であった労働者同志会のメンバー表など、さすがにガリ版刷りの紙は赤茶けており、今にも破れそうな代物となっており貴重な歴史的資料であった。今、法政大学で戦後労働運動の歴史についてのオーラルヒストリーが進められており、千葉さんが当時の歴史を話されておられるのだという。是非とも正確な歴史を後世に語り継ぐべく努力していただきたいものである。そういえば、先週の2月12日の日曜日に、室蘭で日鋼室蘭労働組合の結成60周年記念式典があり参加させていただいた。当日、労働運動側の参加者はすべて1954年の日鋼争議に触れておられたのだが、当時、千葉さんは鉄鋼労連のオルグとして200日以上室蘭に滞在され、家族ぐるみ・地域ぐるみの戦いを指導されたことを思い出さずにはおられなかった。今後とも、是非とも元気で現役に対して温かい叱咤激励をいただきたいと思う。

□大東亜戦争の何たるか、を学び続けよう
 歴史といえば、昨日の日曜日、映画「男たちの大和」を観に行った。戦艦大和の最後については人口に膾炙しており、1945年4月、片道だけの燃料しかなく、しかも航空機の護衛を1機もつけずに沖縄に向けて突撃して太平洋に海の藻屑として消え去ったのである。考えてみればまことに残酷な歴史であり、この映画の中でも、なぜこのような犬死の戦いをせざるを得ないのか、と若き戦士たちが激しく議論を戦わすシーンがあり「この無謀な戦いで敗れ去ることが、後に続くものに歴史の教訓として残すことに繋がるのだ」と諭す言葉が印象的であった。この戦艦大和は私の故郷である広島県の呉市で作られ、現在大和ミュージアムとして100分の1のミニチュアが飾られているという。映画の主たる撮影現場は尾道で、呉は少しだけしか出てこないのだが、それでも大変懐かしい町が舞台でもあり、今年呉に出向いた際には是非見に行くことにしたい。


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第555号 2006年2月13日発行

□安心・安全国会の論戦始まる
札幌雪まつりも天候に恵まれ、また、今年から始まった「さとらんど」での開催も、盛況のうちに終えたようで、成果があったものと思われる。とくに台湾や香港などアジアの方たちの参加が多くなっている。観光が大きな産業となりつつある北海道にとって、経済的な効果が大きいだけに、今後のさらなる発展が望まれる。 さて、国会のほうは衆議院のテレビ入りの予算委員会が先週の月曜日・火曜日に行われ、前原代表が2日間にわたって小泉首相との論戦を戦わせた。とくに、防衛施設庁の官製談合と天下りの廃止に向けて、民主党が提出した天下り禁止法案をパネルに提示して国民にもわかりやすい内容であったが、答弁する側は相変わらずの対応で「これから改革します」とか、「今後検討したい」といった形で言い逃れに終始していたことが印象的であった。さらに、民主党はBSE問題について、問題が露呈した直後に成田検疫所で調査したその足で、アメリカに調査団を派遣して、いかに日本の考え方がアメリカ政府によってないがしろにされていたのか、現地調査に基づき中川農林水産大臣の責任を厳しく追及してきた。この点についてものらりくらりとした答弁でしかなく、テレビを見ておられた多くの国民から、政府は国民の食の安全についてまったく無責任だ、という思いを強くもたれたに違いない。今後も耐震偽装問題やライブドア問題など、住宅の安全や金融の安全など小泉改革によって、いかに安全がないがしろにさせられてきたのか、積極的に明らかにしていきたい。まだ予算委員会は始まったばかりなのだ。

□社民党大会での名誉回復報道に思う
社民党の大会が11〜12日に開催された。社民党の国会議員でもないわけで、なにもことさらに取り上げる必要はないのかもしれないが、1994年1月の政治改革法案の採決問題で、当時、日本社会党に所属し、大変な議論の中で「小選挙区比例代表並立制」を中心にした政治改革関連法案に対して、それに賛成したことが誤りであり、反対した方たちの処分を取り消し、名誉回復をするということが報道されていた。当然賛成した自分の判断が誤りだった、ということになるわけで見逃すことはできない。当時の論議のなかで、55年体制の下での自民党の1党支配の弊害が誰の目にも明らかになって、自民党内から「さきがけ」や「新生党」が分裂をし、非自民の細川内閣を作って政治改革を行い、自民党一党支配をいかに打破していくのか、が問われていた。政権交代を迅速に進めるためには、選挙制度を中選挙区制から小選挙区制に変えていく必要がある、という論議が行われてきた。とくに長年「万年野党」でしかなかった日本社会党にとっては、中選挙区で各選挙区に1名程度しか立候補できなくなってきており、はじめから過半数を目指すことを放棄してきていたのが実情であった。それだけ支持基盤がやせ細っていたのが実情で、過半数の支持を得る努力をすることが迫られる小選挙区制によって、大変厳しいが政権交代ができる政党へと脱皮することが迫られると判断し、社会党が労働組合依存の体質から大きく改革していく必要性からも賛成に回った経過があった。

□先祖がえりの社民党に未来はあるのだろうか
もちろん、それに反対していた方たちも多かったのは事実であるが、党内の活発な論議を通じて決定したのだ。もちろん、この小選挙区制度のもとで当選するためには、幅広い支持を集めなければならず、自衛隊は違憲、日米安保は憲法違反等という、当時の日本社会党の考え方については、それだけでは大きな支持を得られなくなっていたわけで、より幅広い政治勢力の結集が求められていたのである。選挙制度がもし中選挙区制度のままであれば、政界のありようも変わっていたかもしれないが、日本社会党が社民党と名称を変えても今よりは議席数は多くても、政権を獲得しうるような状況は作れていないのであり、政党として政権交代を目指さないことは国民にとって、その必要性が事実上無いに等しいのではないだろうか。もっとも、政権党になることを放棄して、政権党のチェック役としての役割があるのでは、という考え方もあるだろうが、それは政権交代のない日本を存続させてしまうわけで、私のとる政治選択ではなかったのだ。それにしても先祖がえりし始めている社民党に未来はあるのだろうか。
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2月6日(月)
 
 
第554号 2006年2月6日発行


□いよいよ予算委員会の本格論戦だ
 札幌は3日から4日にかけて暴風雪といってよいほどの豪雪になり、朝から家の前の除雪で腰を痛めてしまうのでは、と思うほど苦しめられてしまった。雪は何とかならないものかと思いながらも、札幌生活も33年目を迎える。寒さにはなんとも思わなくなったが、積雪には閉口させられる。高齢になって一戸建て住宅から都心のマンションに移る方が増えているのもうなずける。一戸建てを子育てに励む若い方たちに賃貸して、自分たちは都心のマンションに移れる仕組みを考え始めているという。是非うまく仕組んでもらいたいものである。 国会はいよいよ今日から来年度予算の本格的な審議に移る。安心・安全国会と銘打っての民主党の挑戦が始まる。とくに子供の安全や住宅の安全に加えて、アメリカ産輸入牛肉の安全性についての政府、農水省の無責任で、お粗末な対応については開いた口がふさがらないとはまさにこのことをいうのだと思う。輸入再開の前にもアメリカに関係者を派遣することを閣議決定していながら、それをしなかったことを農水大臣が認め、自らの責任についても語ったにもかかわらず、その後、一転してその責任を回避する言動には、国民の安全に対する無責任さ以外の何物でもない。ブッシュ政権からの強い要請によって輸入再開が進められたことは周知の事実であるが、アメリカ側の政府関係者の発言で、日本から輸入する自動車の安全と対比して、もし故障車が見つかったら輸入ストップするのか、という反論があったのが象徴的であった。日本人の食の安全に対する鋭い感覚を逆なでするものでしかない。ここはしっかりとアメリカに対して物申す必要がある。

□ライブドア問題で与謝野大臣に初質問
 さて、ライブドア問題である。先週の金曜日2月3日、久方ぶりに参議院の財政金融委員会が開催され、昨年8月以来の質問に立った。ちょうど昨年の今頃は、ライブドアがニッポン放送の株を、東京証券取引所の立会い外取引によって一挙に30%近く買い入れ、買収に名乗りを上げたのであり、その取引が本来TOBを行うためには使ってはならないはずの立会い外取引が、法律の明文の上では禁止されていなかったために、当時の伊藤金融担当大臣が「問題ではあるが違法ではない」というお墨付きを与え、東京地裁もそれを踏襲して結果的にフジテレビとライブドアが和解になったものである。今回の東京地検特捜部の逮捕を見るとき、証券取引法第158条違反で偽計取引や風説の流布に対する容疑であったが、もう一つ日本の証券取引法には157条に現実に偽計取引やインサイダー取引をした場合は当然その疑いがあるときにも処罰できるまことに強力な武器があり、その適用をするべきではないか、と与謝野金融担当大臣に強く迫ってきた。残念ながら、与謝野大臣は157条があり活用できるようにすべきだと思うが、やはり具体的な犯罪事実の確定がなければ立件する事はできない、とこれまでと同じ姿勢の答弁でしかなかった。

□株式会社法の大転換に対応できない金融行政
 じつは、日本の商法においてはこれまでは株式会社のあり方については大陸法に近く、例えば資本の充実の原則が守られ、一株あたりの資産が5万円以下であってはならない、とか、金庫株や自己株式の売買は禁止されていたし、ストックオプションについても導入していなかったのであるが、バブル崩壊以降の日本経済の停滞の中で、例えば1円でも株式会社が起こせたり、1株あたりの資産保有原則が撤廃されてきたのだ。それらはすべてアメリカ同様、証券市場を最大限活用することのできる何でもありの自由化が進められてきたのに、それを取り締まるべきルールが依然として大陸型のものを前提にしているために、ホリエモンのように法の抜け穴を利用して、何でもありの世界が出てきているのだ。ここはアメリカと同じく、疑わしいものには罰則をかける方向に変えない限り、第2、第3のホリエモンが出てくることは必然なのだ。小泉・竹中改革の本質がこれほど表れたものはないのであり、一部の穴だらけの証券市場を濫用できる者にとってはいいとこ取りの、大部分の投資家にとってはきわめて公平さを欠いた証券市場になってきたのである。これでは、間接金融から直接金融へと国民の資産を誘導することはできないのだ。一刻も早い金融行政の大転換が必要であり、証券市場の番人である泣く子も黙る、強力な日本版SECが必要なのだ。
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