社運を掛けていると言われる「大作」や「大規模システム開発」は大概成功しない法則
下記のはてな匿名ダイアリーを読んで。
「大作」と言われるゲーム開発を始め、IT業界における大規模システム開発は、その事例自体、元々失敗するファクターを多くはらんでいると思います。大規模であればあるほど、原因は特定の人間でない事が多いです。
現場にやる気がないのだけは真実らしくて、それは一番偉いクリエイターが気まぐれすぎて下請け会社の作業がストップしたことがあるからだと言っていた。
これは非常に良くあるケースです。
大作を作るための下地や準備期間があまり無く、見切り発射すると、方向性を決める権限が特定の人物に集中しがちです。決められたコンセプトだけが一人歩きして、伝達する手段がなく、それを具現化するチームも存在しないため、下請けまで砕かれた仕様が伝わらないのでしょう。
「社運を掛けてる」と言われているシステムは、大概期限がきっちり定められています。それは、社運を掛けているがゆえ、業務計画としてある程度外向けに情報を公開しなければならないからです。それは株主に影響を及ぼすため、一度決めた計画を簡単には変更できません。
つまりは、普通のシステム開発よりもはるかに計画変更がしづらいのです。この計画変更のしづらさにより、そもそも期間が変更されるリスクがとても高い大規模なシステム開発とは、性質が合わなくなります。
「大作」と言われるゲームの場合、オリジナル(パート1)はそのようなプレッシャーや明確な期限が引かれていない為、比較的自由に開発を行うことが出来ます。しかし、そのゲームが当たってしまい、大作と呼ばれるようになると、上記の様な金銭が大いに絡むプレッシャーが乗っかってきて、パート1では普通に出来ていた自由度のある開発が束縛され、どんどんやりにくくなります。
これは、銀行やガス、電気などのインフラのシステムでも同じことが言えます。絶対に止めてはいけないと言われる業種では、そもそも大規模システム開発と言う物自体、相性が良くないです。
このような状況で開発を始めると、現場サイドと上層部の意識に必ず隔たりが生まれます。プレシャーをまともに受ける上層部と、遅れを取り戻せない現場サイドでは意識的ギャップが大きすぎて、上手く意思疎通が図れません。
「気まぐれ」と言われてしまったクリエーターも、上層的な意識に取り込まれている為、現場サイドから見ると気まぐれに見えるのかも。
一旦このような状況になるともう手が付けられません。根本的な原因が分からない限りは、どのような応急対策を行っても永遠に遅れを取り戻せません。大作と名が付き、続編となってしまった時点で、そのゲーム開発の性質が変わってしまったのです。
まぁ、だからと言って、大規模システムを成功させる秘訣なんてものは僕には分からないのですが。
少なくとも、特定の個人を非難するのはおかしいと思いますよ。
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