-- 不況といわれるなかでも、業績が好調のようですね。強みは?
大東 「餃子の王将」の屋号のとおり、メーン商品である餃子がどこよりも強いことです。
他社に比べボリュームがあり(1人前6個が150グラム)、それなのに安い。今年5月に20円値上げしましたが、それでも210円(税込み、関東は231円)。豚肉は1日12トン、鶏肉は5トンを国内産の生にこだわり、キャベツも1日20トンを工場で一括で大量に仕入れています。そして大量生産することで、低価格を実現しています。しかも、どこよりもおいしいと自負しています。
-- おいしい理由とは。
大東 ひとことで言えば、新鮮なことです。餃子は、毎日早朝に半加工の具材が各店舗に配送され、店内で手巻きして調理し、作り置きせず、お客さまにはその日のうちに食べていただきます。また、食材にこだわっていて、にんにくやニラの一部は中国産、しょうがはインドネシア産ですが、キャベツ、豚肉・鶏肉はすべて国産です。ニラも、2009年2月ごろからすべて国産に切り替える予定です。
-- かつて、02年3月期には約29億円の赤字に陥りました。
大東 1990年代の子会社の不動産投資などの失敗が直接の原因ですが、本業で王将の良さを忘れてしまっていたことも、大きな要因だったと思っています。
当時、低価格帯の外食チェーンの出店が増え、私たちも工場で加工した食材を使って調理の手間を省いて対抗しようとしました。しかし、店内で調理し、できたての料理を提供するのが中華料理です。また、店内調理を行わなくなって、店の活気がなくなってしまいました。
食というものは、雰囲気で食べるもの。そのためには、調理しているところをお客さまが目の前で見ることができるオープンキッチンが適しています。他社と同じことをしようとしたのを反省して、やはり手作りであることを強みにしたいと、他社の料理の手作り比率が3割なら、私たちは7割を手作りにしました。もちろん、オープンキッチンにこだわってです。
同時に、店長教育に力を入れました。外食は店長産業であって、店長が強くなれば、店舗もよくなります。たとえば、いらっしゃいませ、ありがとうございました、とただ言うのではなく、感謝の気持ちや健康に対する気遣いなどを込めて言うことは、まったく違います。つまり、お客さまに目線を合わせ、気持ちが伝わるような接客ができるかどうか。元気な風を店の外にも送り出し、お客さまが入ってきた時に店のオーラを感じられるかどうか。さらに、ほかの従業員に目配りできるかどうか。商品力だけでなく、こうした人間力が店長には欠かせません。
-- 元気なお店に人は来ると?
大東 人は明るいところ、おもしろそうなところ、意外性がありそうなところへ集まってきます。入りやすそうで、そこへ行ったら元気になれそうと思ってくれるような店づくりをしなければなりません。だから、店舗の改装はよくやります。ただ、改装することによって売り上げを20%以上伸ばすことが条件。その自信があるなら、どんどん改装しなさいと言っています。
しかも、私たちの会社は、本部主導型ではありません。店舗主導型を貫いています。現場が仕事をしやすくするために本部があります。別の言い方をすれば、本部は舞台装置、小道具をそろえ、現場でいかにいい演技をしてもらうかに徹する。報奨金制度も用意しています。逆に、業績が悪ければ、また研修。怒りはしますが、本部は、その原因が何なのか、現場はどうしたら変わることができるのかという後方支援に徹する。働きやすい環境をつくることが人の成長、企業の成長にもなるからです。そのあたりのことでは、他社に負けないと私は思っています。
-- 創業のきっかけは。
大東 67年、創業者の加藤朝雄氏が、京都に中華料理店の「王将」を出しました。これが1号店。先代は薪炭商などいろいろな商売をやっていましたが、いつかは中華料理店をと思っていたそうです。横浜中華街で修業し、王将をつくったのです。私は、しばらくして入店しました。
-- 将来の夢は。
大東 現在の店舗数は520。これを先代が言っていたように、1000店にしたい。78年に初めて出店した関東ブロックは90店。ここはまだまだ伸びる。それから、仙台や札幌など、店舗の空白地帯も埋めていきたい。元気ある職場、明るい職場、働きやすい職場からは、必ず何かが生まれます。常に前を向いてやらなくてはならないと思っています。
2008年12月17日
12月17日 | 王将フードサービス 大東隆行社長 |
12月10日 | リコー 近藤史朗社長 |
12月3日 | 三菱鉛筆 数原英一郎社長 |
11月26日 | 佐世保重工業 森島英一社長 |
11月19日 | JVC・ケンウッド・ホールディングス 河原春郎会長兼最高経営責任者 |