石原知事定例記者会見録
平成18(2006)年11月10日(金)
15:01〜15:18
知事冒頭発言
新しいタイプのバス停留所の設置について
【知事】東京のバス停ね、幅員、つまり、歩道の幅によってね、つくれる所とつくれないとろがあるんですけどね、「何かもうちょっとシェルターになるみたいなのをつくってくれ」って。そしてね、いろいろ考えていましたらね、フランス(の会社)ごときが生意気にもだね、「うちは非常に洗練されたものをつくっているから」。どこかの市で、また、やられちゃって、それを採用した所もあるみたいだけどね。別にどうってことはないんだよ。「そんなもののデザインなら、日本に優れたデザイナーがたくさんいるから頼みましょう」ということで、これからオリンピックとか、それに前後して、首都の景観をよくするためにもね、バスの停留所というのは必要だと思いますし。
このデザインは、産学連携としてですね、新幹線の「のぞみ」のカモノハシ、あのとがった、ああいう車両を手がけた首都大学東京の福田哲夫教授にお願いしました。都会の風が吹き抜けるイメージのデザインでありますが、ソーラーシステムで、上にソーラーをつけてね、明かりもそこからとったりして。
とりあえず今年中に都庁の第一庁舎前に試行設置しまして、来年度から本格的に設置していきますが、その設置費用や維持の管理費用は、バス停から得られる広告料収入で賄います。
詳細は、所管局に聞いてください。
さあ、見てごらん。なかなかいいだろう。(模型を示して)上はソーラーになっているんだね。ここにポスターをつけましてね。
何か偉そうにフランス(の会社)がねえ、何年限りだとか、変な条件をつけてきたから、「別にお前さんたちに頼まなくたって、こんなものぐらいできるわ」といって、ちゃんとこういうものをつくりましたから。
はい。私から申し上げることは、それだけ。
いいでしょう、これ、なかなか。当たり前のようでね、これはやっぱりさらっとした方がいいんだよ、こういうふうに。
質疑応答
【記者】いじめを苦にした自殺予告の手紙が届いているんですが、知事としては、どうお考えですか。
【知事】自殺なんか、予告して死ぬなって、そんなものは。大体甘ったれというか、文科省の所へ行ったのは、あんなものは大人の文章だね。何というのか、愉快犯というんですかね、まあ、ああいう騒動が次々起こるだろうけども。
要するにね、「弱いものだから、いじめる。以って弱いから死んじまう」ということでしょうけどね、親は何でとにかくその前に関与してこないのかね。まずね、やっぱり、何というのかな、親がとにかく関与すべきじゃないでしょうかねえ。
それで、親にもね、自分の告白ができない家庭というのは、とても気の毒だと思うけど。私なんかは、いじめられているというから、子どもにけんかの仕方を教えましたよ。そしたら非常に効果があってね、たちまちそれで相手を倒したら番長になっちゃったみたいだけど、小学校で。だから、後から行った弟がね、非常にお兄さんのおかげで私はいい思いができるというけど。そういうことを親が教えたらいいじゃないか。
それは僕なんかだって、転校してきた時にいじめられた記憶がありますがね、やっぱり自分で戦ったらいいと思うねえ。こらえ性がない。こらえ性がないだけじゃなしにね、そういうファイティングスピリットがなければ、一生どこへ行ってもいじめられるんじゃないの。
ただね、一番陰湿なのは、先生がいじめるね、子どもを。そういう教師がいるんだ、得てして。これは本当に子どもにとって不幸だと思いますよ。私のね、今は国会議員をしている長男がね、小学校、これは鎌倉の小学校だったんですけど、先生にいじめられましてね、妙なあだ名をつけられた。そのあだ名はね、言うと悔しいから言わないけどね、私の名前をもじってね、実に卑しい、嫌らしいあだ名なんだ。
先生が悦に入って、その通りだろうと言って、みんなも笑ってね。何か本人も苦笑いして、帰ってきて言うから、僕はすぐ電話した、校長に。「お前さんの監督している小学校の先生がこういうことをしている。僕に対して劣等感があるか何があるか知らんけどね、こういう教師は許せない、もし改めさせなきゃ、おれは学校へ出向いていってその先生をぶん殴るからな、あんたの監督権が問われるぞ、注意しなさい」と言ったら、止めさせましたよ、校長が。
だから、そういう卑しい、貧しい、何というのかな、能力にもよるんだろうけど、そういう教師はいますね。で、結局ね、自分の人生のゆがみ、ひがみというのを、教えている弱い子どもにぶつける、そういう教師はやっぱり許せないね。また生徒もね、先生がいじめるんだから一緒になっていじめるという、そういうことはありますけども、しかし、やっぱりもうちょっと親がしっかりしたらいいんですよ。
【記者】関連なんですけど、今、知事、ということは、知事はこの手紙は、もういたずらだというふうに…。
【知事】あの文章を読んだってやっぱり、今の中学生、あんな文章能力ない。変に理路整然としてて。私は違うと思います。
【記者】とはいいましても、もし本当ならばということで、文科省にしても都教委にしても…。
【知事】それは届けられた方は迷惑千万でね、「こんなもの」って放てきする訳にいかないでしょうからね。何らかの、要するに措置というか、防ぎようもないんだけども。明日ですか、予告してる日にちは。今まで文科省が何をやったか知らんけど、あれだけの騒ぎになって、当人は満足して、死なないの、死ぬの。
だから、明日見てみて、この問題に対して、やっぱり世間の反応って決めたらいい。メディアの諸君も。
【記者】関連してなんですけど、最近、いじめが原因の場合もそうでない場合もありますけれども、いわゆる普通の学校ではなかなかやっていけないという子どもたちが、例えばフリースクールだとかほかの選択肢、居場所を求めてそういう所を活用して、改めて前向きにスタートできてというようなケースもふえてると思うんですけれども、そのフリースクールですとか既存の学校の枠組みじゃないものの存在というか意義ということは、知事はどういうふうにお考えでしょうか。
【知事】それはまあ、あってしかるべきでしょうね。例えば、羽仁進君(映画監督)の、未央ちゃん(羽仁未央:エッセイスト)といったかな、非常に奔放なわがままな。今一人前になったけど、あの女の子なんかは学校へ行かないで、羽仁君が育てたみたいですけどね。
いろいろ、近くの葉山に住んでたから、エピソードがあるんですがね。そんなもの、だんだん覚えていくんでしょうけど。今度、要するに、その彼女のいとこと同じぐらいの年の子が一緒になった時ね、「時計の見方が分からない」と言うの、まだ。そんなものでばかにされたとかいろんな話がありましたがね、そんなものは後から覚えていけばいいんでね。だから、親が責任を持って子供を育てれば、それに越したことはないですよ。しかしやっぱりなかなか時間的にも、その他の条件でもそんな余裕がない人は、やっぱり学校に通わせない訳にいかないし。
フリースクール、一回、僕、見に行きましたけどね。沖縄であって、一時成功されて喧伝されたけど、結局つぶれちゃったね。学校を主宰してる校長先生の女の子が、これまた、どうしたんだっけな、非常に絶望して大変なことになりかかって、結局、辞めちゃいましたけれどね。
【記者】ということは、いろんな選択肢があるのはいいことだと。
【知事】しかし、そこでどれだけ義務教育としての基礎教育が徹底して教えられるかになると、やっぱりあの年齢の心の教育の技術性という問題だってあるでしょうしね。親が責任を持ってそれだけやるならいいでしょう、それは。それで立派に育った人はたくさんいますけど。
【記者】今日なんですけれども、国民保護計画に基づいた連続テロの訓練が初めてあったようですけれども、知事も指示をされたと聞いておりますが、やってみて、今後の課題であるとか考えられた所がございましたら、教えてください。
【知事】あれは、図上訓練ですけどね、ああいうものを反復してやることで、いろんな、プロット(筋立て)そのものにもミスがあったり、それからこういうことに思いつかなかったという欠点が分かってきまして、ああいう訓練を反復することはいいと思いますよ。それだけだよ。
一々どんな訓練したか、君ら、取材してきて調べろよ、そんなもの。ここで一々報告しないよ。学校の先生じゃないんだから(笑)。
【記者】きのう、都議会の民主党が総会を開きまして、今度の4月の知事選に独自候補を擁立するという方針を決めたんですけど、その擁立する理由の1つとして、石原都政、当初は政党色のない形で始まったんですけど、最近は自公にすり寄ってるんじゃないかと。そういった…。
【知事】そうかい?諸君、見て、そう思うかい?是々非々やってて、民主党だってほとんどの案件に賛成してくれてるじゃないの。私は、そういう点では、別に政党を全然意識したことはありません。共産党は例外だけどね。あの人たちは気の毒な人だから、発想力なくて。
あなた方が判断してくれ。僕は全然そんなつもりはないけどね。別に言い訳も何もするつもりはないけど。独自候補を出したらいいじゃないですか。受けて立とう。
【記者】きのうの暴力団追放の大会の講演で、知事、少し触れてらっしゃいましたけれども、アメリカの中間選挙の結果について、知事はどのようにご覧になっていますか。
【知事】共和党が敗北してね、上院でも過半数を取られちゃったというのは、やっぱり厄介ですね。過去の民主党の政策を見てると、非常に日本にとっては親身でない、突き放したみたいなとこがありますね。特にクリントン(ビル・クリントン 前米国大統領)はそうでしたね。そういう点で、どうでしょうね。これからアメリカがどういう去就に出るのか。アメリカの国力そのものも衰退してきてますしね。軍事力も相対的に低下してるし。アメリカがこれから何か出かけていって戦争を起こすというのは、めったになくなったでしょう。前にちょっと言ったと思うけど、恐らくこれはやっぱりイスラエルと油、資源のためにしか戦争できなくなると思うね。
そういう中で、日本の周りの国々が何に使うか分からんけど、核装備し、水爆まで中国がつくっている訳だけど、その国を日本が援助しているというばかな話だけどね。中国だって、これからね、経済、がたがたになりますよ。それは私の予測だったら予測で結構だけど、2年経ってみれば分かることだからね。そういう時にアメリカがね、この中国をどうハンドル(取り扱う)するか。アメリカもやっぱりいろんな形でね、中国に投資してますしね、そういう権益を守るために中国との関係をどうしていくか。
大体クリントンの時にね、「WTO(世界貿易機関)に入れる、入れる、入れ、入れ」と言って入っといて、それでとにかく人のノウハウを盗んで、工業所有権を無視して、めちゃくちゃなことをしている訳でしょう。中国のGDPの9.7%は盗品ですよ。人から盗んでつくったものだよ。コピーしたり。それは向こうの政府が発表したらもっとポーション(割合)が多いかもしらないけどね(※)。
※2005年11月、米国議会の米中経済安保調査委員会は年次報告書でも、中国の偽造品はGDP全体の8%を占めるとしている。
そういう経済のゆがみというのが表立ってきた時に、環境の問題だって深刻でしょうけどね、世界全体に及ぼす影響が。まあ、アメリカがですね、その中国をどうとらえるか、私は1つの日本にとっての試金石にもなると思いますけども。
まあ、今までの、何というのかな、政党の性格から見ても、日米関係を眺めてみても、うーん、ねえ、ニクソン(リチャード・ニクソン 元米国大統領)は沖縄を返した。しかしほかの政権だったらどうかなという感じがしますね。
【記者】前の質問にちょっと戻って恐縮なんですけれども、知事は政党を意識していないとおっしゃられましたが、政党から例えば知事選の際に推薦をしたいという話が出た場合は、どのようなスタンスで臨まれるんでしょうか。
【知事】まあ、今までもね、推薦取りつけたこともないし、しましょうと言ったこともないけども、あれですね、今度どうなるか分かりませんし、それはその時に考えればいいことじゃないですか。別に私は政党の推薦を条件に知事選に出るつもりは毛頭ないから、少なくとも。
【記者】別に拒否するものでもないということでしょうか。
【知事】いくつか立派な政党があるんだから、その政党が全部推薦くれればそれは結構だと思うけども。民主党はどこが違い、考えの違いか知りませんがね。
しかし、まあ、「ほかの政党にすり寄って、どうのこうの」って、ちょっと何というのかな、ひがみとか何か分からないけど、弱々しいね。
例えば副議長の問題なんかだってね、それはもうちょっとすべき主張をしたらいいんじゃないかと、私は数の理論で言ったら、思いますけどね。まあ、あれがその後、もつれて、どういう決選投票になるのか知りませんが、別にどっちが好ましいと私は思う訳じゃないけども、やっぱり妙に遠慮しているわね、都議会の中で見ていると。それはそれで、彼らの建前か、それとも党の中がまとまらないのか知らないよ。大体、本家の方の国会だって、訳が分からない政党じゃないか、本当に。
僕は本当に前原君(前原誠司 前民主党代表)なんか非常に期待したけどね。あんなつまらんことでこけてしまったけども。小沢一郎党首は私を大嫌いだそうだけど、私も好きじゃないんですがね。あの人を私、嫌うゆえんはね、あの人が日米関係でやったことで覚えている政治家って、今いないんだ。みんなやめちゃって。
例えば湾岸戦争の時ね、ブレディ(ニコラス・ブレディ 米国財務長官(当時))の一喝でね、幾ら金払った。130億ドルだよ。2回に分けて。それからその後ね、やっちゃいけない構造協議をバイラテラルに(2国間で)やったのは小沢じゃないか、金丸(金丸信 元衆議院議員、元自由民主党副総裁)の下で。それでその後、さらにだね、8年間で400兆、実は430兆無駄遣い約束してやったじゃないですか。訳の分からない公共事業で、国力、使い果たしたんだ(※)。
※1990年の日米構造協議で合意された日本側改善事項の中に「公共投資の増額(10年間で430兆円)による貯蓄・投資バランスの改善」があった。
その間、東京の政治家もしっかりしてなかったからね。東京の、要するに環状線整備されないままに、地方じゃ夜中は鹿しか通らない道路ができましたよ、あちこち。そういうことをね、みんな忘れちゃうんだな。
私はやっぱり許せないね、日米関係の中であの人のとったスタンスというのは。そういうことをやっぱり今の民主党って覚えてないでしょうね。しっかりした人が出てきたなと思ったら、まあ、議会の中の変なタクティクス(戦術)でつぶされる。僕はやっぱり民主党の、本当に民主党プロパーで出てきた若手の政治家って気の毒だと思うね、やっぱり。今やっぱり政党としての過渡期でしょう。
いいですか、はい。
(テキスト版文責 知事本局政策担当 細井)