インタビューに答えるソニーの中鉢良治社長=16日午後、東京都港区港南1丁目、林正樹撮影
ソニーの中鉢良治社長は16日、朝日新聞のインタビューに答え、業績の落ち込みについて「需要減の影響が一番大きい。これほどとは思わなかった」と世界同時不況が予想を超えた打撃を与えたとの認識を示した。また「雇用を優先して損失を出すことが、私に期待されていることではない」と収益改善を急ぐ姿勢を強調した。
ソニーは液晶テレビなど主力のエレクトロニクス(電機)部門の人員を世界で1万6千人以上減らすリストラを発表。中鉢社長は「経営の立場からは株主の期待にこたえよということ。問われているのは経営者が最善の努力をしたかどうかだ」と述べた。「人員と工場、投資抑制のほかにも、(リストラを)進める」とし、今後、不採算事業の選別や設計、販売体制の見直しなどに踏み込み、成長戦略の強化策も打ち出すことを明らかにした。
課題となっている赤字のテレビ事業は「赤字でも成長領域ならやり続ける。テレビもゲームも不採算だが、中核事業だ」として、改めて成長領域と位置づけた。液晶テレビは世界で需要が鈍っているが、シャープと共同で進める堺市の新テレビ用パネル工場の合弁事業についても「両社でコストや調達量などを詰めている。品質のいいパネルを調達したい考えは変わらず、シャープと一緒につくる」と見直しを否定した。
08〜10年度にデジタルカメラなど1兆円の売上高のある中核事業を四つから七つに増やしたり、新興国の売上高を2倍にしたりする中期経営計画については「方向性を変えない」とした。だが「悪いところを単に切ればいいのではなく、日本での生産性を上げ、世界で戦えるソニーにする。開発や商品企画、販売などすべてを見直す『構造的再調整』をしたい」と、今回のリストラを抜本的な改革にする考えも示した。