公明党との選挙協力見直しに言及した古賀誠・自民党選対委員長の発言が16日、与党内に波紋を広げた。公明党や支持母体・創価学会には不快感が広がり、幹部が古賀氏に電話し直接、真意を問い合わせる一幕も。自民党執行部は「個人の感想を言ったにすぎない」(細田博之幹事長)と沈静化を急いだが、自公の新たな火種になる可能性もある。【田所柳子】
古賀氏の15日の発言とは、自民党候補が小選挙区で公明党から支援を受ける代わりに、比例は公明党に協力する自公間の選挙協力体制を見直す考えを示したもの。古賀氏は16日、発言について「自民は自民で比例代表を頑張らないといけない。自民、公明両党とも票を伸ばす戦略が大事だ」と記者団に説明した。
発言の背景には、内閣支持率の急落など、党の置かれた厳しい現状への危機感がある。党幹部は「近年の国政選挙では自民支持層の2~3割が党公認候補に投票していない」ともらす。公明党の選挙協力は受けたいが、比例票を回すだけの余裕はない--。古賀氏の発言により協力見直しが一気に進むとの見方は少ないが、多くの自民党議員の本音を代弁したといえる。
16日夜。麻生太郎首相は首相公邸で開いた各省副大臣との会合で「古賀さんは公明党を切れば、選挙に勝てると言っていたな」と述べた。首相の前には、公明党の副大臣2人もいたが沈黙を守った。
その公明党内には「これまで仕方なく自民党候補を応援していた(創価学会の)支持者が、『もう自民党を支援しない』と言い出しかねない」との戸惑いが広がった。創価学会幹部は「自民党のしかるべき人が、古賀氏の発言をちゃんと打ち消さなければいけない」と不快感を示した。
公明党の太田昭宏代表は16日の会見で、自民党との選挙協力について「信頼関係はかなり出来上がっており、協力はかなり成熟した段階にある」と述べ、表向き平静を装った。ただ、自民党内には公明党主導で決まった定額給付金の見直し論も相次ぎ、与党内の緊張関係に影響しそうだ。
毎日新聞 2008年12月17日 東京朝刊