【第43回】 2008年12月15日
元米財務次官補が警鐘!
「中国の成長率は6%前後に低下へ、世界は同時不況に突入した」
―その変化は期待できるのか。
グローバリゼーションの現実として米国側も受け入れるしかないだろう。同じことは日本にもいえる。中国の経済力は早晩、あらゆる面で日本を凌ぐ。IMF内での立場逆転も覚悟しなければならない。
ただ私の見るところ、日本は現在、非常に賢く振る舞っている。特にIMFに対して1000億ドルの追加拠出を表明したことは高く評価できる。アジア諸国への直接融資よりも、IMFを通じた融資ならばリスクは低いし、アジアだけ助けるのかとの国際的な批判も回避できる。現実にはアジアが使ったとしても、だ。
日本での報じられ方はわからないが、玄人筋の評価は極めて高い。国際社会において中国と競争していく上では、こうした分別のある大人のアクションがなにより大事だ。
―欧州を中心に、IMFや世界銀行、ドル基軸通貨に代わる「ブレトン・ウッズⅡ」構想が活発に議論されているが、どう思うか。
ブレトン・ウッズⅡという表現は誤解を招くので、使わないほうがいい。メディアで口にしているとしても、真剣にそんなことを考えている国家リーダーがいるとは思えない。
第二次世界大戦末期に形作られたブレトン・ウッズから名前をとる以上は、文字どおりあらゆることを白紙から議論し直す覚悟で、国際経済システムをまったく違う形に変容させる必要がある。ただ、われわれが現在推し進めようとしていることは、レボリューション(革命)ではなく、エボリューション(進化)だ。ブレトン・ウッズⅡと呼ぶほどのものではない。
―では、必要なエボリューションとは何か。
G7からG20に国際経済問題の議論の場を移すことがひとつ。むろんG20には課題は多いが、方向性は正しい。そしてIMFの資本金を増やす際に、伝統的な工業国から新興国経済により多くを配分することもエボリューションだ。さらに、日米欧の先進国が金融監督・規制の協調などを話し合う場である金融安定化フォーラム(FSF)も強化していく必要がある。
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『週刊ダイヤモンド』編集部による取材レポート。本誌特集と連動した様々なテーマで、経済・世相の「いま」を掘り下げていきます。