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■ 秋田のニュース:社説

社説:限界集落対策 支援ネットの構築急げ

 65歳以上の高齢者が半数以上を占め、いずれは消滅に向かうとみられる「限界集落」を含む「高齢者等集落問題」への対応として県は来年度、専任組織を設置して支援に力を入れる。国なども支援策を打ち出しており、国、県、市町村、民間団体などによるネットワーク化を急ぎ、集落維持へ向け多角的なサポートに乗り出すべきだ。

 秋田魁新報社の昨年5月の調査によると、県内の限界集落は中山間地を中心に145カ所に上る。全国的にも少子高齢化の進展、農林業の衰退などによって限界集落が急増している。耕作放棄地や荒れた林地の増加、農道や農業用水の管理問題、集落の祭りなど伝統行事の衰退、さらには病院が遠かったり近くにスーパーがなかったりするなど、日常生活の不便さもあり、問題は多岐にわたる。

 限界集落への支援は直接的には市町村が行うべきだ。しかし、国土の保全・維持、農山村の振興、過疎対策、自治の根幹などといった視点からみると、国の支援も欠かせない。

 総務省は集落を巡回し、活性化策などを助言する「集落支援員」制度を自治体に導入、必要額を交付する。また、国土交通省は、災害時の「孤立」を防ぐため、合併前の旧町村の中心地を「防災基幹集落」とし、限界集落を含む周辺集落の避難拠点にするため情報インフラの整備を支援する方針だ。地元自治体は、こうした支援策を積極的に活用すべきだろう。

 県も来年度から2年間の「あきた21総合計画」第四期実施計画に限界集落への対応を盛り込んだ。本年度からは農山村活力向上モデル事業として、五城目町の馬場目地域の「清流の会」と北秋田市の阿仁根子自治会を活動組織とし、それぞれの地域で特産品開発や景観再生、都市との交流などに力を入れる。

 こうした支援を強化するため、来年度には農林水産部内にチームまたは班形式の専任セクションを設ける。モデル事業を継続して実施するほか、限界集落の課題の抽出、解決策の検討、さらにはNPOやボランティアの協力を得ながら集落の自立への取り組みを支える。

 ここで重要になるのは国、県、市町村、民間団体などの連携だ。特に国は国交省、経済産業省、総務省などが支援に乗り出すが、従来型の縦割り行政でインフラを整備したり、ソフト事業を実施しても効果のほどはどうだろうか。集落維持のためには、県や市町村も含めた総合的な調整が必要となる。

 高齢者の多い集落ほど、昔ながらのきずなが残る。支援を待つのではなく、力を合わせて集落維持に努めてもらいたい。地域資源の発掘にも努めれば、生き生きとした集落になる可能性もある。交流人口が増加し、移住して来る人もいるかもしれない。限界集落が「生涯現役集落」と言われるよう、主体的な取り組みが何よりも重要だ。

(2008/12/16 09:15 更新)

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