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2008-11-07 06:47:31

自閉症の僕が跳びはねる理由

テーマ:推薦図書

 久しぶりに面白く読みました。


自閉症の僕が跳びはねる理由―会話のできない中学生がつづる内なる心/東田 直樹
¥3,980
Amazon.co.jp
 この作者、信じられないことに特別支援学校に通う自閉症の男の子です。(2008年3月に中学部を卒業したそうです)
 言葉はしゃべれないけれど、コンピュータを使ったり文字盤を使ったりして、筆談が可能だそうで、この本も自分で書いたのだそうです。

 で、その内容が素晴らしい!!

 自閉症の子たちのいろいろなあらわれについて、質問に答える形になっているんですね。

 例えばこんな質問があります。

・いつも同じことを尋ねるのはなぜですか?
・独特の話し方はどうしてですか?
・みんなといるよりひとりが好きなのですか?
・自閉症の人はどうして耳をふさぐのですか?
・痛みに敏感だったり鈍感だったりするのはなぜですか?
・ミニカーやブロックを一列に並べるのはなぜですか?
・なぜ繰り返しおなじことをやるのですか?
・何度注意されてもわからないのですか?
・電車の時刻表やカレンダーをどうして覚えるのですか?
・どうしてこだわるのですか?
・どうしてパニックになるのですか?


 こうした質問に対して、自閉症である著者が答えていきますが、その答に、うーーん、と唸らされるわけです。

 なるほどなあ、そうだったのか・・・、と納得したり、へえ、そんなことがあるんだ、と驚いたり。

 全ての自閉症児が彼のように思っているとは思いませんが、彼らを理解するヒントがたくさん詰まっています。

 たぶんこの著者は天才です。
 この本を読んで、私が「へえっ♪」と思った部分を抜き書きしておきますね。



質問・手のひらをひらひらさせるのはなぜですか?

答・これは光を気持ちよく目の中に取り込むためです。
 僕たちの見ている光は、月の光のようにやわらかくやさしいものです。そのままだと、直線的に光が目の中に飛び込んでくるので、あまりに光の粒が見えすぎて、目が痛くなるのです・・・・・



 彼は自分の障害についても語っています。

「自分が障害を持っていることを、僕は小さい頃は分かりませんでした。

 どうして自分が障害者だと気づいたのでしょう。

 それは僕たちは普通と違うところがあって、それが困る、とみんなが言ったからです。

(中略)

 自閉症を個性と思ってもらえたら、僕たちは今よりずっと気持ちが楽になるでしょう。

 みんなに迷惑をかけることもあるけれど、僕らも未来に向かって楽しく生きて生きたいのです・・・」



「僕は自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。

 これは僕の勝手な作り話ですが、人類は多くの命を殺し、地球を自分勝手に破壊してきました。人類自身がそのことに危機を感じ、自閉症の人たちをつくり出したのではないでしょうか・・・」


 とっても読みやすいです。お勧めですよ!!


 ※彼の書いた短編小説も入ってます。





(注)

 この本のことについて、次のような注意をメッセージにて頂きました。

「ファシリティテッドコミュニケーションについては、懐疑的な目を向けている方もいるようです。この著作物についても同様に、慎重な検討が必要だと思います」


 ファシリティテッドコミュニケーションとは、この「自閉症の僕が跳びはねる理由」の著者が行っているように、著者が仲介者の手を使って表現することを言います。

 このやり方を行ったことについては、この本の著者だけでなく、他にもいらっしゃるのですが、確かに信用性という面で、問題があると思われるような事実も出てきているようです。

 私自身、この本を読んで、果たして自閉症の彼自身がこのようなことを考えたり、書いたりすることができるだろうかと、その信用性について、いくらかの疑念を抱かなかったわけではありません。しかしそうであったとしても、この本には、自閉症の方の考え、見方がよく現れていて面白いと思い、それで紹介した、というわけです。


 また、ずいぶん前ですが、実際にこのようなコミュニケーションを取ることができる自閉症のお子さんと出会ったことがあり、そのお子さんについては、この魔法のようなやり方にも、信用性があるという実感を抱くことができ、私としては、全面的に否定する気にはなれません。


 ファシリティテッドコミュニケーションの真否について、私は態度を表明することを控えさせて頂きますが、この本がとても興味深く、一読をすすめる気持ちには変わりありません。

 よってこの注釈を付け加えた上で、このまま紹介させて頂きたいと考えています。

(08.11.12追記)







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コメント

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■御紹介ありがとうございます

初めて、書き込みさせていただきます。
偶然、このブログを拝見いたしました。

長男が自閉症です。
とても、素晴らしい本を紹介していただきまして、
ありがとうございます。

3980円は、少し高いとも思いましたが、
早速、ネットで注文いたしました。
そしたら、1680円でした。価格も納得。

届くのが、とても楽しみです。
息子の気持ちが少しでも、
分かればと思います。
本当に、どうもありがとうございました。

■直樹君は自力で書いています

先日(11/16)の直樹君の講演会に行ってきました。

彼は、その時、一切介助を受けず、自力でパソコンを打って、講演をしてくれました。キーボードを打つ様子と、打ったパソコンの文字が同時に、映像で写し出されました。その内容たるや驚くべきもので、私が尊敬する諸先生がたた、一字一句漏らさぬように、必死でメモを取ってらっしゃる程でした。

また、質疑応答にも、その場で、驚嘆すべき示唆に富んだ回答をしてくれました。

したがって、、彼が書いたものは、全て、本人が書いたものと確信できました。おそらく、出席した全ての、視聴者が、そう思ったと思います。

この本自体も、本人のパソコンによる執筆であることを、ご本人に確認いたしました。
(本の序文にも、この時期には、パソコンで文章を書いていると、記載されています。批判している人は、本当に、彼の本をよんでいるのかしら?)

とにかく、一度、見ていただければ、ご本人の言葉であることは、だれでも、納得できます。

それを直感で見抜かれた「サンタ先生」にも、心の底から、尊敬いたします。

これからも、ご指導のほど、よろしく、お願い申し上げます。

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