群馬大学が館林厚生病院(館林市)に小児科の常勤医2人の引き揚げを打診している問題で、同大の鈴木守学長は15日、来年4月以降、2人のうち1人を非常勤として残し、新たに2人を非常勤として派遣する方針を明らかにした。これにより、外来患者の受け入れは続けられる見通し。ただ、入院患者の受け入れは、なお困難とみられ、安楽岡一雄・館林市長は「引き続きお願いを重ねる」と、医師確保に懸命となっている。【塩崎崇】
安楽岡市長や邑楽郡の町長らは15日、群大を訪れ、小児科医確保の要望書と地域で集めた署名を提出した。4日に提出したものと合わせ計12万8951人(人口の69・6%)にのぼる。
鈴木学長は市長らに「群大から館林に1人も派遣しなくなることはない」と説明したという。来年4月以降、小児科の中心となっている1人を非常勤として残し、小児難病などの外来を担当してもらうという。これと別に2人を非常勤として派遣し、平日の一般外来に対応できる体制を取るという。
夜間や休日について鈴木学長は「地域の第一線の医師のネットワークで対応してもらいたい」と、入院受け入れを継続できるだけの医師派遣は困難との見方を示した。そのうえで「全力をあげて地域の要望に応える努力を続けたい」と述べ、将来的な常勤医派遣復活に含みを持たせた。
安楽岡市長は「群大の誠意は分かったが、現状維持は図れず住民が納得できる答えではない」と、要望を続ける姿勢だ。
毎日新聞 2008年12月16日 地方版