【08/12/20/号】 2008年12月15日
“極寒の冬”到来で銀行・証券は氷結!
「経営危険度ランキング」を一挙公開
「人員削減」「ボーナスカット」……。昨今、そんな話題のニュースが増えてきました。「対岸の火事」ととらえられていた米国発の世界的な金融危機が、日本にも一気に波及し始めているからです。
その波をもろにかぶっているのが、銀行をはじめ、信用金庫・信用組合といった地域金融機関、そして証券会社です。11月に発表された2008年9月期の中間決算を見て、唖然。銀行の8割以上が最終減益、赤字に陥った銀行も多数に上りました。
そこで今回の特集では、苦境に陥っている金融機関の現状と、その背景に迫りました。
まずは中間決算の最新データを使って作成した「経営危険度ランキング」。ワースト3をご紹介すると、経営難に陥っている新銀行東京をトップに、資本不足に陥り荘内銀行(山形県)に駆け込んだ秋田県の北都銀行、そして大分県の豊和銀行がランクイン。いずれも自己資本比率とその質の悪さが問題のようです。
そして北は北海道、南は九州まで、全国各地を本誌記者が飛び回り、問題を抱える地方銀行を取材した「全国縦断現地レポート」で、各地の銀行の現状に迫りました。
多額の不良債権問題に頭を悩ませる宮崎銀行を始め、過剰な不動産融資に苦しんでいたり、銀行の数が多く収益が伸び悩んでいたり、といった地方の「今」をお伝えします。
もちろん地方ばかりではありません。“石原銀行”と揶揄される新銀行東京や、消費者金融の債権を買いまくっている日本振興銀行、そしてビジネスモデルが描けない新生銀行やあおぞら銀行、はたまた国内最大手の機関投資家と言われる農林中央金庫などが抱える問題にも切り込みました。
中小零細企業のラストリゾート、最後の貸し手と言われる信金・信組は、規模が小さいだけにもっと大変です。信金・信組についても経営危険度ランキングを作成。エリア別にまとめましたので、取引のある方は是非、参考にしてみてください。
証券会社も赤字が続出で苦しさは変わりません。特に中小証券は今後の生き残りが最大の課題になっています。
こうした状況に、政府も緊急市場安定化策を打ち出し、本誌が発売されるころには法案が可決されているころでしょう。時価会計の一部弾力化などであたかも銀行の自己資本は改善しているように見えるものの、それは表面的な健全性に過ぎず、根本的にはなにも解決していません。そのからくりを試算を通して明らかにしています。
銀行は今、「貸し渋り」批判にさらされています。しかし、「貸したくても貸せない」事情もあり、非常につらい立場に追い込まれています。だが、実態経済の冷え込みはこれからが本番。金融機関にとってつらく寒い冬となりそうです。
(『週刊ダイヤモンド』編集部 田島靖久)
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最新号の読みどころを特集担当者の視点でお伝えします。時には紙幅の関係から記事にできなかった取材の内側など、「ここだけの話」も満載です。