例えばもし僕がパチンコ屋の店員だったとしても、精一杯働くと思いますよ。いろんなことを考えながらね。
あるとき友人がすごくいいことを言ったんです。今でも鮮明に覚えているんですが、その友人は、パチンコ屋の駐車場でお客の車を誘導する警備員を指して、「石川、あの人かっこいいだろう。あの人がいるからあれだけスムーズに車が動く。キビキビしててかっこいいだろう」って。そう言われてその警備員を見ると確かにかっこよかったんです。服装も髪の毛もビシッとして、ちゃんと人前に出る格好をして、キビキビ動いてる。50過ぎのおじさんだったんですけど、「あの人がかっこいい」と思ったんです。
だから「かっこいい」ってのは、「職業」じゃないですよね。どういう気持ち、態度で働いているかっていうことなんですよね。
もしその警備員が「一流大学を出て、一流企業にいたのに……。本当はこんな仕事ははやりたくないんだけどな」なんて思ってたら、その気持ちが態度に出るから、絶対かっこいいとは思えない。
でもその警備員はそうじゃなかった。だからその人を見て、「いいなぁ、俺もああいうオヤジになりたい、子供にああいう働く姿を見せたいな」と思ったんですよね。そうすればきっと子供は「あいつは世界一の父ちゃんだ」と思いますよ。
たぶん自分は死ぬときに、子供や家族にいい親父、かっこいい親父だったなって思われたいんですよね。いくら大企業の重役や社長だっていっても、子供にかっこいい背中を見せられなかったら意味がないですよね。
職種や役職なんてものは関係ないと思います。むしろリタイヤしてからどういう生き方ができるか、そういう肩書きがなかったとしてもどうやって生きてきたのか、子供達が見るのはたぶんそこじゃないかと思うんです。
そのために今、頑張らないと。今はとてもかっこいいと思われるような親父じゃないので。かっこいいと思われるためには、今から目標を立てて一つひとつクリアしていかないとね。 |