大阪府八尾市で03年6月、ヤミ金融の取り立てを苦に夫婦ら3人が心中した事件で、大阪府警はこのヤミ金融組織のトップとされ、警視庁が別件の恐喝容疑で逮捕していた亀井浩次容疑者(41)を16日に出資法違反(高金利)と貸金業規制法=現・貸金業法=違反(無登録営業)容疑で逮捕する方針を固めた。府警は亀井容疑者の逮捕を機に、3人を心中に追い込んだとされる組織の全容解明を目指す。
心中事件は03年6月14日未明に発生。JR大和路線の線路上で同市の清掃作業員の男性(当時61)と妻(同69)、妻の長兄(同81)が電車にはねられ死亡。妻はヤミ金融業者から3万円余りを借り、強引な取り立てを受け続け、「毎晩デンワに怯(おび)えています」「主人も兄も同情して死を決意してくれました」との遺書を残していた。
府警などによると、亀井容疑者は00年ごろからヤミ金融業を始め、東京、埼玉、沖縄と拠点を移しながら組織を拡大、04年7月ごろには約10人規模のグループ七つを統括するようになった。心中事件の妻に貸し付けたのもそうしたグループの一つとみられる。府警は03〜06年に組織全体で計約10億4500万円を貸し付け、巨額の利息を回収していたとみている。
府警などの合同捜査本部は06年2月以降、妻に貸し付けたグループの実行犯とされる男ら6人を恐喝容疑や出資法違反容疑で逮捕するなど、亀井容疑者の傘下にいたとされる組織の関係者50人以上を逮捕し、40人以上が起訴された。