これで死ぬんだなと思いました。ただ、死ぬ前に失明とか脚切断とか人工透析とかを経なければならず、子供もまだ小さかったので、何としてもそれは避けたいと思い、酒を断ちました。同時に1日1800キロカロリーの低カロリー食に切り替えました。
それからみるみるうちに体重は10キロ減りました。低カロリー食は好奇心だけでなく、生きる気力さえも奪ってしまうんですね。毎日死ぬことばかり考えていました。酒をやめて映画が作れなくなるんだったら、いっそ好きなだけ飲んで食べてしまおうか。そう思った時期もありましたが、そうはしませんでした。そうしたら本当に映画が作れなくなることがわかっていたからです。
アルコールに頼ったものづくりは、その作品自体が破綻していると思います。『フリック』(6作目・2003年)は、酒をやめた直後に作ったもので、ボクには一番思い入れのある作品です。今までのボクの映画の集大成のようなものですので。
酒をやめたときは本当に苦しく、やめたら何も思い浮かばなくなるのではないかと思いましたが、約1年間のつらい日々の後は、以前より創作意欲は湧いてきているようです。健康でなければいい仕事はできないし、何かに依存していてもいい仕事はできないと思っています。
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