岡谷市は15日の市議会全員協議会で、来年3月31日で同市内山の健康保険岡谷塩嶺病院の結核病床(60床)を廃止すると発表した。患者数の減少と県内の結核病床再編ネットワーク化、医師派遣元の信州大学の動向を踏まえて判断した。来年の3月市議会に病床廃止の条例改正案を提出する。これにより、県内の結核病床は国立病院機構中信松本病院(50床)と県立須坂病院(24床)に集約される。
市や県衛生部によると、今年7月、結核病床がある県内3病院と県で結核病床の利用率低下などの問題点について協議した。県側は、県内の結核病床数87床(現在は3病院で134床)を確保するとした「第5次保健医療計画」を説明したという。
市はその後、塩嶺病院の病床利用率の低下や陰圧装置(病室や病床の気圧を下げ、病原菌を密閉する設備)がないことを踏まえ、「県内の結核診療を須坂病院と中信松本病院に集約する県の方向付けがされた」と判断。信州大学の意向に沿う形で、今月8日の市病院運営会議で廃止方針を固めた。
来年4月以降は、塩嶺病院で外来診療は行うが、入院が必要な場合は中信松本病院で対応する。同病床を担当する医師、看護師は引き続き勤務し、呼吸器疾患の診療機能は維持する考えという。
同病院と市立岡谷病院を運営する市病院事業の塚田昌滋管理者は「結核の治療に有効な抗生物質が発見され、入院患者が大幅に減少した。結核診療は国の政策医療であり、国や県の医療機関で担うべきだと思う」。塩嶺病院の畑博明院長は「結核医療は塩嶺病院の背骨だった。断腸の思いです」と話した。
議員からは、ここ数年で岡谷病院への外科統合や一般病床削減などが行われた塩嶺病院の機能低下と経営悪化を懸念する意見も多く、「(岡谷病院との)統合新病院の基本構想を早急に示すべきだ」といった要望が出された。