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街角キスも庭先も、グーグル・ストリートビュー苦情多発中

12月16日7時8分配信 読売新聞


街角キスも庭先も、グーグル・ストリートビュー苦情多発中

パソコン講習会でストリートビューの使い方を教えてもらう商店主ら。「一人では削除要請なんてできない」との声も出た=山下昌一撮影

 グーグルのストリートビュー(SV)が日本でスタートして4か月余。ふと見渡せば、街には、防犯用や市場調査など様々な目的のカメラがあふれている。

 JR横浜駅西口に近い繁華街の路上。白昼、制服姿の男女が顔を寄せ合い、キスをしようとしている−−。

 ネットで誰でも見られるSVの1シーンだ。今年8月のサービス開始直後から、ネット上にはこの画像に関する書き込みがあふれ始めた。「なんとも羨(うらや)ましい瞬間を激写」「こんな破廉恥な行為をするとは許せない!」−−。制服から2人の通う高校を割り出し、学年まで言い当てる書き込みも現れた。

 顔にはボカシが入っているが、2人が通う高校の同級生は「髪形ですぐ誰か分かった」「同級生の間ではその話題でもちきりだった」と話す。同校の教師も「ネットで公開するのは行き過ぎ。まるで無差別攻撃だ」と困惑する。

 ネットで話題になってほどなく、グーグルはこの画像を削除した。だが、画像はサイトからサイトへ転載され、今もその姿はさらされたままだ。

 車の上に設置されたカメラで街を撮影し、画像を公開するSV。ネットを見るだけで、知らない街を旅しているような気分も味わえるが、「塀越しに自宅の庭を撮影された」「私道に入られた」などと各地で様々な苦情が上がっている。

 グーグルは苦情件数を明らかにしていないが、その一部は国や自治体にも寄せられ、東京都町田市や札幌市、奈良県生駒市の各市議会は、国に法規制を求める意見書を採択。今月1日には福岡県弁護士会が撮影中止を求める声明を出した。

 苦情への対応を巡っても、疑問の声が出ている。

 11月中旬に町田市で開かれたパソコン講習会。ネット初心者が大半という10人ほどの受講者が、SVの見方を学んだ。花屋を営む吉田輝昭さん(65)は「自宅がネットに流れているなんて」と目を丸くし、「ようやく操作方法を覚えたばかり。一人では削除要請なんてとてもできない」と戸惑った。

 画像を削除するには、SVの画面左下にある「問題のご報告はこちら」の文字をクリックして専用ページに入らなければならないが、その文字は小さくて薄く、注意深く見なければ見落としてしまう。しかも、削除の理由や自分のメールアドレス、不正アクセス防止のための文字列も打ち込まなくてはならない。ネット問題に詳しい落合洋司弁護士(44)は「ネットに詳しい人もそうでない人も、写される可能性があるのに、グーグルの対応はネットに不慣れな人への視点が欠けている」と批判する。

 個人にかかわる情報を先に公開し、事後になって抗議してきたケースだけ対応するという「オプトアウト(事後承諾)方式」にも、こう批判の目を向ける。

 「ネット関連企業で見られる対応方法だが、ネットの記録性は半永久的で、一度流れた情報を完全に消すことが難しいことを考えると、プライバシーなどの扱い方として適切なのか」

 グーグルの話「批判は真摯(しんし)に受け止め、製品の向上とともに、製品について理解してもらえるよう努力していく」

 連載「カメラは見ている」(上)

最終更新:12月16日7時8分

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