四六時中、片時も「ケータイ」を手放せない子どもが増えているという。「なぜ、そこまで」と違和感を覚える大人も少なくあるまい。
子どもたちの間では、受け取ったメールには五分以内に返信しなくてはならない暗黙のルールがあるらしい。返信がないと「無視されているのかも」と不安に駆られるのだという。
今や小学生の約三割、中学生の約六割、高校生ではほとんどが携帯電話を持つ時代だ。いつでも親子が連絡とれる「安心」が確保されるようになった。が、その一方で、いじめや犯罪に巻き込まれる危険性が潜んでいることも見逃せない。
文部科学省の調査によると、携帯電話のメールなどを使った「ネットいじめ」は、二〇〇七年度には約五千九百件に上り、前年度より約千件増えた。歯止めがかからない陰湿ないじめから子ども守る手立てを講じなければならない。
大阪府の橋下徹知事が、公立の小中学校で携帯電話の持ち込みを原則禁止とする方針を明らかにし、波紋を広げている。賛否両論あろうが、ただ取り上げればすむ話でもあるまい。
「携帯電話依存」は、子どものコミュニケーション能力や人格形成に深刻な影響を与えているという視点も欠かせない。子どもの世界に携帯電話をどう位置づけていくか、社会全体で考え直したい。