日銀が15日発表した12月の企業短期経済観測調査(短観)は、景気判断の目安となる大企業製造業の業況判断指数(DI)がマイナス24となり、9月の前回調査から21ポイント低下した。オイルショック時の昭和49年8月調査の26ポイント低下に次ぎ、50年2月と並ぶ過去2番目の悪化となった。中小企業は製造業、非製造業ともにマイナス29で、いずれもマイナス幅を拡大。米国発の金融危機の直撃を受け、歴史的な景気後退局面を迎えたことが、企業の景況感にはっきり表れた。
■写真と図表で見る■ 景気の悪化、こんなところに影響が…
大企業製造業のDI低下は5・四半期連続で、水準としてはITバブル崩壊時の平成14年3月以来の低さとなった。今回はすべての業種で悪化し、特にマイナス41となった自動車は前回のプラス5から46ポイントも低下。下げ幅は輸送用機械に分類されていた時期も含め過去最大で、自動車業界の苦境ぶりが鮮明になった。
他に非鉄金属は40ポイント低下のマイナス43、石油・石炭製品は30ポイント低下のマイナス45、電気機械は28ポイント低下のマイナス37など軒並み下落した。向こう3カ月間の先行き見通しも、大企業製造業は全体でマイナス36となり、今回からさらに12ポイント低下。鉄鋼の56ポイント低下、自動車の27ポイント低下をはじめ大幅悪化が予想されている。
大企業非製造業のDIはマイナス9で、前回のプラス1からマイナスへ転落した。卸売業は18ポイント低下のマイナス7、小売業は13ポイント低下のマイナス18で、消費低迷が浮き彫りになった。
大企業製造業の国内製品・サービス需給DIは、前回比16ポイント低下のマイナス34と供給超過感が強まった。下げ幅は昭和49年8月の25ポイントに次ぎ過去2番目。海外での製品需給DIは22ポイント低下のマイナス28で、過去最大の下げ幅を記録した。
平成20年度の業績については、経常利益が大企業は製造、非製造とも7年ぶり、中小企業は2年連続の減益見通しとなっている。
雇用人員の「過剰」から「不足」を引いたDIは、大企業製造業は前回のマイナス2(不足)からプラス8(過剰)へ、中小企業は前回の6から16へとそれぞれ過剰感が急増。雇用情勢の急速な悪化を裏付けた。
資金繰りが「楽」から「苦しい」を引いたDIは、大企業全体では前回の15から7へ、中小企業全体ではマイナス11からマイナス15と苦しい方向へ変化した。金融機関の貸し出し態度への評価も、中小企業はマイナス3からマイナス9へ悪化しており、中小企業の経営環境の厳しさが際立っている。
DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数。調査は全国約1万社に11月10日から12月12日まで実施した。
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