ソロス氏らヘッジファンド業界重鎮、透明性強化を支持

2008年 11月 14日 11:20 JST
 
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 [ワシントン/ボストン 13日 ロイター] ヘッジファンドの役割や規制などに関する公聴会が13日、米下院監督・政府改革委員会で開かれ、著名投資家ジョージ・ソロス氏をはじめ、ジョン・ポールソン氏、フィリップ・ファルコン氏、ジェームズ・サイモン氏、ケネス・グリフィン氏という業界の重鎮が出席した。

 各氏は業界の透明性を高めることには賛同したものの、ヘッジファンドが金融危機に加担したとされる問題では見解にずれがみられた。

 ソロス・ファンド・マネジメント率いるジョージ・ソロス氏は、ヘッジファンドがすでにはじけた金融市場バブルの不可欠な要素と証言。

 「いまや深刻な景気後退は避けられず、恐慌の可能性も排除できない」と述べた。

 下院監督・政府改革委員会のワクスマン委員長は「ヘッジファンドは現在、実質規制を受けていない。ヘッジファンドには、保有やレバレッジ、戦略について報告する義務がない。当局はヘッジファンドの数や運用規模さえ把握できていない」と述べた。

 ハービンガー・キャピタル・パートナーズのファルコン氏は証言で「ヘッジファンドセクターの透明性向上、報告体制の強化を支持する」と表明した。

 今年の運用成績が過去最悪に低迷しているヘッジファンド業界は、大手投資銀行リーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)の破たん、ここ数週間の株価急落をもたらしたと批判されている。

 ファルコン氏は、ヘッジファンド業界を擁護。「最近の危機には、いくつかの金融セクターに属する企業の行動が加担しているが、わたしの見解ではヘッジファンドはそれに含まれていない」と述べた。

 デビッド・ルーダー元米証券取引委員会(SEC)委員長も、現在の信用危機にヘッジファンドが大きな役割を果たしたとの説に否定的な見方。

 「ヘッジファンドは過去数年間、活発な市場参加者だったが、危機につながる事象で重要な役割を担ったようにはみえない」と述べ、信用危機に深く関係しているのはモーゲージのオリジネーター(所有者)、投資銀行、格付け会社、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)取引でリスクを引き受ける側だと指摘した。

 ヘッジファンド・リサーチ(HFR)の調査によると、ヘッジファンドの年初から10月までの平均運用成績はマイナス15.48%。

 専門家からは、巨額の損失に投資家の解約・償還請求もあって、大量のファンド閉鎖を予想する声がでている。

 ソロス氏は、ヘッジファンドはポートフォリオの50─75%縮小を余儀なくされるとの見方を示した。

 ポールソン・アンド・カンパニーのジョン・ポールソン氏は、昨年に住宅価格が全米規模で下落すると見越した投資家の一人で、今年の運用で益を出している。

 一方、ケネス・グリフィン氏のシタデル・インベストメント・グループは2つの旗艦ファンドの成績が大幅なマイナスに落ち込むなど苦戦している。

 
 
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