2008年 12月 13日
金融危機の真犯人? |
金融危機が発生して以来、色々なところで「真犯人は誰か」という議論がなされているのを目にします。少々時間が経ってしまいましたが、11月13日のBloombergにコラムニストのMark Gilbert氏が、「Credit-Crunch Villains Pass the Buck, Party On」(クレジットクランチの悪役、勘定は押し付け:パーティは続く)の中で、金融危機を引き起こした容疑者たちの言い分(言い訳?)をシニカルにまとめていました。なかなか面白かったので、取り上げてみたいと思います。
以下『 』内はBloombergの記事(和訳版)よりの抜粋(一部省略)で、(注:)は当方のコメントです。
・・・『偉大かつ善良な資本主義・自由市場の守護らは今週、世界の金融システムの死を鎮魂する晩さん会をひそかに開いた。ウェイターが1985年物のシャトー・マルゴーを注ぐなかで、犯人探しが始まった。』
債券トレーダー:
『グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が00年代初めの金利をあれほど低くしなかったら、こんなひどいことにはならかった。パーティーの参加者が既に酔っ払っているのに酒を注ぎ足したようなのだ』
中央銀行:
『バブルを見つけるは中銀の仕事ではないと言っておいただろう。(中略)市場はリスクの値段低く付け過ぎていると警告したじゃないか。』
『中銀が住宅保有拡大歯止めをかけようとしたらどんな大騒ぎになったか考えてみたまえ。一番の重人は住宅金融業者だと思うね。彼らがでたらめの自己申告を信じて甘い融資をたりしなければ、住宅市場危機はよそに広がらずに収束したはずだ。』
住宅金融業者:
『それは不公平だ、(中略)われわれは不利な戦いを強いられていたんだ。住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は暗黙の政府保証をてこに住宅ローン市場での力関係をねじ曲げていた。われわれ一般業者は市場から締め出されないためにサブプライム(信用力の低い個人向け)ローンを増やすしかなかった。』
『それに、あの話のうま過ぎるデリバティブ(金融派生商品)を誰かさんが発明しなかったら、サブプライムローンの毒をリサイクルして土台のない事業を永久に続けることなんかできなかった。』
(注:ここで言うデリバティブは、住宅ローンをまとめて証券化した債券を更にリパッケージしたCDOを指していますが、その仕組みは20年近く存在しており、組成の方法や内在するリスクは、一般書籍でも広く解説されています。)
デリバティブ担当者:
(やれやれ、またデリバティブか、という顔で)『いいかい、デリバティブが市場を駄目にしたんじゃなく、市場が自分で自分を壊したんだ。われわれが発明したものはすべて、リスクが1人の投資家の手元にとどまらないようにすることで効率を高めることが目的だった。われわれの商品がどれも合法だったことを示す証書を、私の弁護士から取り寄せて見せようか』
弁護士:
『われわれは証券化の最良の仕組みをアドバイスしただけだ。』『格付け会社が、手数料をさえもらえば何にでも「AAA」格付けを与えたりしないで、きちんと査定をしていれば、あんな際どい債務担保証券(CDO)に買い手なんか付いたはずがないんだ。』
格付機関:
『金融の世界の頭のいい人間は格付け会社なんかに来ない。投資銀行で同じような仕事をすれば巨額ボーナスがもらえるんだから。だからそういう銀行に手伝ってもらって作ったコンピューターモデルを使ったんだ。そのモデルというのが、まあ一言で言えば不完全だったわけだ。』
『どちらにしても、短期金融市場が凍り付くまではすべてうまく行っていた。問題は格付けが甘過ぎたことじゃない。レバレッジを効かせるための資金の調達をホールセール(大口金融)市場に頼り過ぎたことが問題だ。』
中央銀行:
『私は、あれがつぶれ始めるまで、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)というものの名前も聞いたことがなかったんだが。』『「融資-証券化-販売」というビジネスモデルについての銀行の説明を中銀は信じていた。音楽が鳴り止んだときに銀行がまだ数兆ドルの簿外債務を抱えているなんて、分かるはずがないだろう。』
商業銀行家:
『あのね、米国内の貯蓄率は低くて、同業者に負けない利益を搾り出すために必要なレバレッジに十分な預金がなかったんだ。だからマネー・マーケット・ファンド(MMF)を売って金を集めるしかなかった。』
『それに、あのばかげた時価会計規則のせいで、腐りかけた証券類を山のように抱えていることを値段が回復する望みのないときに開示させられたりしなければ、資金が逃げてMMF市場が凍り付くことなんかなかった。』
規制当局者:
『債務超過にならないように真実にお化粧させる余地を十分に与えたじゃないか。』『それに、君たちは株主価値を高めるという、経営者として当然の仕事をしていただけだ。強欲な投資家(株主)がもっとリスクを取ることを経営陣に迫らなければ、当局の自己資本規制を適用しても銀行は支払い能力を十二分に確保できたはずだ。』
投資家(年金ファンド):
『ありとあらゆる市場でいっせいにリターンが急低下しているときに、大勢の退職者に年金を払う金をどうやって賄えばよかったと言うのかね。』『もちろん、銀行には資本をフルに活用してほしかったし、われわれも少しでもリターンを上げようとしてデリバティブや商品に手を出したさ。ヘッジファンドにまで頭を突っ込んだんだ。あれは失敗だった。』
(注:11月末時点では、ヘッジファンド業界の平均リターンがマイナス17%であったのに対して、株式市場はマイナス38%でした。)
ヘッジファンド:
『悪い時期もあると言っておいたはずだぞ。』『50%や60%の利益の出る年があるなら、その代わり20-25%の損をする年もあるのは当然だろう。少なくともわれわれは政府に物ごいはしていない。』
・・・そしてこのコラムは、以下のように締めくくられます。
『ウェイターが咳払いをする。手には勘定書きを持っている。投資銀行家は「君は納税者だよね」と尋ねた。ウェイターがうなずく。
「そうか。われわれは君が払ってくれると期待しているよ」。』
・・・上に挙げられている人のうち、誰か一人を真犯人と特定することは出来ないと思いますが、各人とも多かれ少なかれ、クレジットバブル発生に関与していたとは言えると思います。
例えば、インフレなき経済成長を命題とするFRBが、発生しつつあった資産バブルを意図的に看過していた可能性は、無いとは言えない気がします。日本のバブルも、過度な金融緩和政策が原因であったとは、よく指摘されるところかと思います。
また、金融機関の損失の大半がデリバティブから出ていることを考えると、それが意図的であったかどうかに関わらず、デリバティブ取引に関与した人たち(金融機関と機関投資家)が、問題発生の中心的役割を担ったことは、否定できない気がします。
しかし問題の根源は、やはり「なぜ住宅バブルが起こったのか」、「そのプロセスに問題が無かったのか(あったなら、どう修正されたのか)」という事なのではと思います。金融機関は、多かれ少なかれリスクを取る仕事をしているわけであり、一部の経営ミスでシステム全体がおかしくなるというのは、修正されるべき制度上の問題ではと思います。
このコラムの結論は、悪いのは全て貪欲なウォールストリートであり、一般納税者(ウェイター)は付けを払わされる羽目になった犠牲者だというありがちな話なのですが、支払いを頼まれたウェイターが分別ある人間であれば、投資銀行家に対して、こんな返事をしたかもしれません。
『ウェイターが咳払いをする。手には勘定書きを持っている。投資銀行家は「君は納税者だよね」と尋ねた。ウェイターがうなずく。「そうか。われわれは君が払ってくれると期待しているよ」。』
ウェイター(一般納税者):
まあ、支払いは割り勘ですね。あなた方も従業員のほとんどは、一般納税者でしょう。既に多くの人たちが、リストラの犠牲になってしまったようですが、残った方にはこれから多くの支払いをしてもらうことになると思いますよ。
信用バブルの間は、私もずいぶん良い思いをさせてもらいました。レストランも繁盛してチップも増えましたし、自分の給料では返済できそうもないローンを借りて、大きな家を買ってしまったのは、私自身ですからね。しかも値上がり分を担保に更に借金をして、輸入車や大型テレビまで買いましたよ。外国の方には「貪欲だ」と言われますが、おかげであちらでも、経済が大いに潤ったと思いますけどね。
以下『 』内はBloombergの記事(和訳版)よりの抜粋(一部省略)で、(注:)は当方のコメントです。
・・・『偉大かつ善良な資本主義・自由市場の守護らは今週、世界の金融システムの死を鎮魂する晩さん会をひそかに開いた。ウェイターが1985年物のシャトー・マルゴーを注ぐなかで、犯人探しが始まった。』
債券トレーダー:
『グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が00年代初めの金利をあれほど低くしなかったら、こんなひどいことにはならかった。パーティーの参加者が既に酔っ払っているのに酒を注ぎ足したようなのだ』
中央銀行:
『バブルを見つけるは中銀の仕事ではないと言っておいただろう。(中略)市場はリスクの値段低く付け過ぎていると警告したじゃないか。』
『中銀が住宅保有拡大歯止めをかけようとしたらどんな大騒ぎになったか考えてみたまえ。一番の重人は住宅金融業者だと思うね。彼らがでたらめの自己申告を信じて甘い融資をたりしなければ、住宅市場危機はよそに広がらずに収束したはずだ。』
住宅金融業者:
『それは不公平だ、(中略)われわれは不利な戦いを強いられていたんだ。住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は暗黙の政府保証をてこに住宅ローン市場での力関係をねじ曲げていた。われわれ一般業者は市場から締め出されないためにサブプライム(信用力の低い個人向け)ローンを増やすしかなかった。』
『それに、あの話のうま過ぎるデリバティブ(金融派生商品)を誰かさんが発明しなかったら、サブプライムローンの毒をリサイクルして土台のない事業を永久に続けることなんかできなかった。』
(注:ここで言うデリバティブは、住宅ローンをまとめて証券化した債券を更にリパッケージしたCDOを指していますが、その仕組みは20年近く存在しており、組成の方法や内在するリスクは、一般書籍でも広く解説されています。)
デリバティブ担当者:
(やれやれ、またデリバティブか、という顔で)『いいかい、デリバティブが市場を駄目にしたんじゃなく、市場が自分で自分を壊したんだ。われわれが発明したものはすべて、リスクが1人の投資家の手元にとどまらないようにすることで効率を高めることが目的だった。われわれの商品がどれも合法だったことを示す証書を、私の弁護士から取り寄せて見せようか』
弁護士:
『われわれは証券化の最良の仕組みをアドバイスしただけだ。』『格付け会社が、手数料をさえもらえば何にでも「AAA」格付けを与えたりしないで、きちんと査定をしていれば、あんな際どい債務担保証券(CDO)に買い手なんか付いたはずがないんだ。』
格付機関:
『金融の世界の頭のいい人間は格付け会社なんかに来ない。投資銀行で同じような仕事をすれば巨額ボーナスがもらえるんだから。だからそういう銀行に手伝ってもらって作ったコンピューターモデルを使ったんだ。そのモデルというのが、まあ一言で言えば不完全だったわけだ。』
『どちらにしても、短期金融市場が凍り付くまではすべてうまく行っていた。問題は格付けが甘過ぎたことじゃない。レバレッジを効かせるための資金の調達をホールセール(大口金融)市場に頼り過ぎたことが問題だ。』
中央銀行:
『私は、あれがつぶれ始めるまで、ストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)というものの名前も聞いたことがなかったんだが。』『「融資-証券化-販売」というビジネスモデルについての銀行の説明を中銀は信じていた。音楽が鳴り止んだときに銀行がまだ数兆ドルの簿外債務を抱えているなんて、分かるはずがないだろう。』
商業銀行家:
『あのね、米国内の貯蓄率は低くて、同業者に負けない利益を搾り出すために必要なレバレッジに十分な預金がなかったんだ。だからマネー・マーケット・ファンド(MMF)を売って金を集めるしかなかった。』
『それに、あのばかげた時価会計規則のせいで、腐りかけた証券類を山のように抱えていることを値段が回復する望みのないときに開示させられたりしなければ、資金が逃げてMMF市場が凍り付くことなんかなかった。』
規制当局者:
『債務超過にならないように真実にお化粧させる余地を十分に与えたじゃないか。』『それに、君たちは株主価値を高めるという、経営者として当然の仕事をしていただけだ。強欲な投資家(株主)がもっとリスクを取ることを経営陣に迫らなければ、当局の自己資本規制を適用しても銀行は支払い能力を十二分に確保できたはずだ。』
投資家(年金ファンド):
『ありとあらゆる市場でいっせいにリターンが急低下しているときに、大勢の退職者に年金を払う金をどうやって賄えばよかったと言うのかね。』『もちろん、銀行には資本をフルに活用してほしかったし、われわれも少しでもリターンを上げようとしてデリバティブや商品に手を出したさ。ヘッジファンドにまで頭を突っ込んだんだ。あれは失敗だった。』
(注:11月末時点では、ヘッジファンド業界の平均リターンがマイナス17%であったのに対して、株式市場はマイナス38%でした。)
ヘッジファンド:
『悪い時期もあると言っておいたはずだぞ。』『50%や60%の利益の出る年があるなら、その代わり20-25%の損をする年もあるのは当然だろう。少なくともわれわれは政府に物ごいはしていない。』
・・・そしてこのコラムは、以下のように締めくくられます。
『ウェイターが咳払いをする。手には勘定書きを持っている。投資銀行家は「君は納税者だよね」と尋ねた。ウェイターがうなずく。
「そうか。われわれは君が払ってくれると期待しているよ」。』
・・・上に挙げられている人のうち、誰か一人を真犯人と特定することは出来ないと思いますが、各人とも多かれ少なかれ、クレジットバブル発生に関与していたとは言えると思います。
例えば、インフレなき経済成長を命題とするFRBが、発生しつつあった資産バブルを意図的に看過していた可能性は、無いとは言えない気がします。日本のバブルも、過度な金融緩和政策が原因であったとは、よく指摘されるところかと思います。
また、金融機関の損失の大半がデリバティブから出ていることを考えると、それが意図的であったかどうかに関わらず、デリバティブ取引に関与した人たち(金融機関と機関投資家)が、問題発生の中心的役割を担ったことは、否定できない気がします。
しかし問題の根源は、やはり「なぜ住宅バブルが起こったのか」、「そのプロセスに問題が無かったのか(あったなら、どう修正されたのか)」という事なのではと思います。金融機関は、多かれ少なかれリスクを取る仕事をしているわけであり、一部の経営ミスでシステム全体がおかしくなるというのは、修正されるべき制度上の問題ではと思います。
このコラムの結論は、悪いのは全て貪欲なウォールストリートであり、一般納税者(ウェイター)は付けを払わされる羽目になった犠牲者だというありがちな話なのですが、支払いを頼まれたウェイターが分別ある人間であれば、投資銀行家に対して、こんな返事をしたかもしれません。
『ウェイターが咳払いをする。手には勘定書きを持っている。投資銀行家は「君は納税者だよね」と尋ねた。ウェイターがうなずく。「そうか。われわれは君が払ってくれると期待しているよ」。』
ウェイター(一般納税者):
まあ、支払いは割り勘ですね。あなた方も従業員のほとんどは、一般納税者でしょう。既に多くの人たちが、リストラの犠牲になってしまったようですが、残った方にはこれから多くの支払いをしてもらうことになると思いますよ。
信用バブルの間は、私もずいぶん良い思いをさせてもらいました。レストランも繁盛してチップも増えましたし、自分の給料では返済できそうもないローンを借りて、大きな家を買ってしまったのは、私自身ですからね。しかも値上がり分を担保に更に借金をして、輸入車や大型テレビまで買いましたよ。外国の方には「貪欲だ」と言われますが、おかげであちらでも、経済が大いに潤ったと思いますけどね。
それにしても、言い逃れがアメリカらしいというか、日本ならネットで炎上でしょうね。で、真犯人は前クリントン大統領でしょうね。彼の甘さからすべて狂ったのでしょう。オバマ政権は国内に対して厳しくやっていくしかない。もし、海外に対して国民の目を向けさせてごまかすようならば、なにも解決しないでしょうね。それでも、時間はかかっても民主主義が自然治癒力で治していくのだと思います。
Commented by 774 at 2008-12-13 11:26 x
とりあえず、CDOとか規制すれば?銃規制が難しい米国だって「大量破壊兵器」の規制は誰も異存ないでしょ。もし規制に反対する人がいればそいつが犯人だよ。
Commented by 774 at 2008-12-13 11:33 x
> おかげであちらでも、経済が大いに潤ったと思いますけどね。
本当なのか?
この金融危機で、この先どのぐらいの損失が発生しそうなのか算定できている人間がいるのか?
トータルで「潤った」分より損失の方が大きくないと言えるのか?
百歩譲っても「偏った」だけじゃないのか?
本当なのか?
この金融危機で、この先どのぐらいの損失が発生しそうなのか算定できている人間がいるのか?
トータルで「潤った」分より損失の方が大きくないと言えるのか?
百歩譲っても「偏った」だけじゃないのか?
Commented by 774 at 2008-12-13 11:44 x
米国もやり方を少し考えた方が良い。私が思う「米国のやり方」といのは「とりあえず野放し(自由放任)で実験。うまく行けばOK。ダメなら、そこから規制とか考える。」なんだけど、「ダメ」なときの世界に与える影響が大きすぎる。実験初期の段階でもうちょっとリスクについて考えてよ。
米国そのものがCDOみたいなもんか...
米国そのものがCDOみたいなもんか...
Commented at 2008-12-13 22:39
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
外国から来たコック(海外の貿易黒字国)
『君達のおかげでうちのレストランはとても繁盛したし、高いワインを飲んでもらったり、高級なディナーをさんざんしてもらったことには一応感謝している。おかげでうちの子供達は大学にもいかせてやれたし、女房にはちょっとしたプレゼントもしてあげれたし、チェーン店もだせた。
ところで、また、支払いは、米国債なのかい?うちらの帳簿には、君達の米国債とかいうツケが大量に残っている。
本当にこれ払ってもらえるのかな?』
『君達のおかげでうちのレストランはとても繁盛したし、高いワインを飲んでもらったり、高級なディナーをさんざんしてもらったことには一応感謝している。おかげでうちの子供達は大学にもいかせてやれたし、女房にはちょっとしたプレゼントもしてあげれたし、チェーン店もだせた。
ところで、また、支払いは、米国債なのかい?うちらの帳簿には、君達の米国債とかいうツケが大量に残っている。
本当にこれ払ってもらえるのかな?』
Commented by harry_g at 2008-12-15 07:55
皆様コメントありがとうございます。
最新の統計がないのですが、対米輸出は日本の総輸出額の3割程度、アジア各国の2割程度を占め、EUも域内を除けば米国が最大の輸出国だったと思います。言い換えれば、世界経済の米国個人消費への依存度は極めて高く、日中独などが高い貯蓄率を維持できているのも、「外国の誰か」が借金をしてまでモノを購入してくれているからだと言えると思います。そうしたメリットと、今回の金融危機のデメリットを「数量的に」比較するのは、容易ではない気がします。
よく「アメリカ国債を投げ売って報復すればよい」と言う発言を聞きますが、米国債の6%を保有するとされる日本がそんなことをしたら円高が急速に進行し、日本経済は崩壊すると思います。それは昨今進んでいる円高のおかげで、日本を代表するトヨタやキヤノンが如何に苦しんでいるかを見れば、明らかかと思います。
最新の統計がないのですが、対米輸出は日本の総輸出額の3割程度、アジア各国の2割程度を占め、EUも域内を除けば米国が最大の輸出国だったと思います。言い換えれば、世界経済の米国個人消費への依存度は極めて高く、日中独などが高い貯蓄率を維持できているのも、「外国の誰か」が借金をしてまでモノを購入してくれているからだと言えると思います。そうしたメリットと、今回の金融危機のデメリットを「数量的に」比較するのは、容易ではない気がします。
よく「アメリカ国債を投げ売って報復すればよい」と言う発言を聞きますが、米国債の6%を保有するとされる日本がそんなことをしたら円高が急速に進行し、日本経済は崩壊すると思います。それは昨今進んでいる円高のおかげで、日本を代表するトヨタやキヤノンが如何に苦しんでいるかを見れば、明らかかと思います。
Commented by harry_g at 2008-12-15 08:10
アメリカの「試行錯誤」文化は、移民国家ならではのものであり、そう簡単には変わらないと思います。(その話はライフログに挙げた「超・格差社会アメリカの真実」でも扱われていました。)
金融セクターが非金融セクターに与えるネガティブな影響が、明らかな制度上の問題によると判断された場合には、よく指摘される「ウォールストリートの政治力」に拘らず、システムは修正されて行くと思います。
(非公開)さん、シクリカルな不動産のバブルを看過した当局の罪の重さ、CDOは単なる手段で次々に発明されるので、規制することは困難であるとのご指摘、仰る通りだと思います。今後当局がアセットインフレの抑制も政策目標に入れるのか、またデリバティブに関する格付機関やカウンターパーティリスクなどの制度的問題点にどこまで修正のメスが入るのかに、注目したいと思います。
金融セクターが非金融セクターに与えるネガティブな影響が、明らかな制度上の問題によると判断された場合には、よく指摘される「ウォールストリートの政治力」に拘らず、システムは修正されて行くと思います。
(非公開)さん、シクリカルな不動産のバブルを看過した当局の罪の重さ、CDOは単なる手段で次々に発明されるので、規制することは困難であるとのご指摘、仰る通りだと思います。今後当局がアセットインフレの抑制も政策目標に入れるのか、またデリバティブに関する格付機関やカウンターパーティリスクなどの制度的問題点にどこまで修正のメスが入るのかに、注目したいと思います。
Commented by harry_g at 2008-12-15 08:28
palさん、面白いコメント、どうもありがとうございました。支払いは引続き、米国債でしょうね。輸出国にとってはドル安がもっとも恐れるところであり、中国などには大きな借入余力がありますので。
ウォールストリートでは、アメリカの巨額の財政支出によるインフレ・ドル安を恐れる声が聞かれますが、これは一面的見方だと感じます。プライベートセクターがデレバレッジしている以上、誰か(政府)がレバレッジを掛けてお金を使わなければ、インフレどころかデフレになってしまうのは、バブル後の日本が証明した気がします。
OECD統計によると、アメリカ国債の対GDP比は66%で、171%の日本より大分低いようです。(社会保障など「事実上の」借金も含んだらどうか知りませんが。)真の問題は、日本のように財政出動をしても景気が回復しないことであり、アメリカが支出のタイミングと使い道を誤ったら、文字通り世界中が悪夢に落ち入る気がします。
ウォールストリートでは、アメリカの巨額の財政支出によるインフレ・ドル安を恐れる声が聞かれますが、これは一面的見方だと感じます。プライベートセクターがデレバレッジしている以上、誰か(政府)がレバレッジを掛けてお金を使わなければ、インフレどころかデフレになってしまうのは、バブル後の日本が証明した気がします。
OECD統計によると、アメリカ国債の対GDP比は66%で、171%の日本より大分低いようです。(社会保障など「事実上の」借金も含んだらどうか知りませんが。)真の問題は、日本のように財政出動をしても景気が回復しないことであり、アメリカが支出のタイミングと使い道を誤ったら、文字通り世界中が悪夢に落ち入る気がします。
Commented by NJ Resident at 2008-12-15 13:59 x
harry_gさん、同じ米国で働く身(私は製造業ですが)としては、今回の現象には参りますね・・・。
Wal*Martなど流通大手は、近い将来、在庫管理がタイトになるの確実ですが、今はまだ機械的にオーダーを入れ続けているので劇的な縮小はみられません。幸いな事に・・・。ただ一方でメキシコから南の中南米への輸出はすっかり止まりました・・・。事業の中南米諸国への依存度も高かったので、かなりの痛手です。フロリダには中南米への玄関口ということもあって良く出かけましたが、あそこの住宅バブル崩壊の痛手は大変な事になっています。2009年中に回復するとは思えません。
金融業界にはいませんが、犯人探しは意味がないと思いますね・・・。
Wal*Martなど流通大手は、近い将来、在庫管理がタイトになるの確実ですが、今はまだ機械的にオーダーを入れ続けているので劇的な縮小はみられません。幸いな事に・・・。ただ一方でメキシコから南の中南米への輸出はすっかり止まりました・・・。事業の中南米諸国への依存度も高かったので、かなりの痛手です。フロリダには中南米への玄関口ということもあって良く出かけましたが、あそこの住宅バブル崩壊の痛手は大変な事になっています。2009年中に回復するとは思えません。
金融業界にはいませんが、犯人探しは意味がないと思いますね・・・。
私は単純に、本来買えないものを買えるような仕組みが崩壊したということで、収入の範囲を逸脱した消費というものは贅沢しすぎだ、という点が最も反省されるべきだと感じました。
貸す方が悪いのと同じ以上に借りる方にも問題があったと。投資自己責任理論は確か米国から日本は輸入しました。
しかしながら、日本企業の利益もそこから出ていたという以上、今後が大変な気がします。
米国民が、家計設計をきちっと出来るようになるのか、同じことは何度も起きるのか、日本人感覚だと前者の気がしますが、米国民にこういった面の学習能力ってあるんでしょうか?
(ないから責任のなすりつけ合いがあるのかもしれませんが)
貸す方が悪いのと同じ以上に借りる方にも問題があったと。投資自己責任理論は確か米国から日本は輸入しました。
しかしながら、日本企業の利益もそこから出ていたという以上、今後が大変な気がします。
米国民が、家計設計をきちっと出来るようになるのか、同じことは何度も起きるのか、日本人感覚だと前者の気がしますが、米国民にこういった面の学習能力ってあるんでしょうか?
(ないから責任のなすりつけ合いがあるのかもしれませんが)