四街道市長インターンシップを終えて

                      第三期インターンシップ生
                 
       早稲田大学3年 折原 率                             

 
私がこのインターンシップを知ったのは、本当に偶然でした。大学のホームページで別のことを調べているときに、たまたま「四街道市」という文字が目に飛び込んできたのです。まさかこんな所で私の知っている四街道市が載っているとは思わなかったのですが、まさしくその四街道市でした。インターンシップという制度を採用している自治体も稀ですが、さらに「市役所」ではなく「市長」のインターンシップということに、珍しさから興味が湧きました。市役所には確定申告などで接する機会がありますが、市長とはまず話すら普通はできません。これはめったにないチャンスだと思いました。
 
大学では、だいたい政治学は国政であり、地方政治はほとんど勉強していません。そのため私も地方政治に対する知識や興味はあまりありませんでした。しかし、自分の最も身近である地方政治を見ないで国政ばかりに目を向けているのは、政治の土台を全く見ていない事になると思ったのです。
 
こうして行政の世界を全く志望していない私がインターンシップをさせていただいたのですが、とにかく毎日疲れました。市長の仕事というのは本当に多岐にわたっていて、大変なものです。それは体力的なもの以上に、精神的にとても疲れるものだと思いました。会議では会社社長や銀行頭取が当たり前のように座っており、そういう場にいるだけで見ているだけでも気疲れしてしまいます。そういう空間は一種独特で、文字や数字ではわからない雰囲気がありました。当然ながら自分達に身近な道路や建物は、こういう会議で様々な討論を交えられて決められているのです。でも決められる過程に思いを馳せる人はいるでしょうか。体験してみなければわからない空気がそこにはありました。
政治に対して私はなにもできることはないという、諦めのような言葉をよく聞きます。

しかし、こういうインターンシップや「市民の声」として手紙を書くことは誰にでもできると思います。感心したことの一つに、「市民の声」として市役所に提出されたものは、市長が朝の決裁の時間に読まれていました。四街道市では、ワークショップ形式で市民の声を聞こうとする動きも進んでいます。市長への立候補は資金面などから困難であっても、市政に参加する機会は実はいくらでもあるのではないでしょうか。実際にこのインターンシップでも、都市課の方に意見を言ったら「とても参考になったし良い勉強になったよ、ありがとう」とその係長は言ってくださいました。私のような若輩者にも耳を傾けてくれ、行政側に直接自分の意見を言うことができて、とても嬉しかったです。また、そのような謙虚に学ぶ姿勢も重要だと再認識させられた瞬間でした。
それから、実際にインターンシップをしてみて思ったのですが、やはり自分が体験してみないとわからないことが多いと思いました。その中で特に現場の方は、市がどこまで市民の声を取り入れるべきかに悩んでいることを知りました。市民の声を積極的に聞くことは民主主義の原則でもあり、とても重要です。しかし、多くの市民は「自分にとって最も理想なこと」を希望するのであり、コストパフォーマンスや多くの人がそれを望んでいるのかについては考えません。行政側はそのバランスに日々葛藤しているみたいです。
 
また、ワークショップなどに積極的に参加している方の多くは引退した高齢者であり、学生や20代はやはり少ないみたいです。「市民の声」が「高齢者の声」になってしまっている現状があることを痛感しました。若い世代が、自分達がこれからの社会をつくることを私も含めて自覚し、積極的に政治に参加するべきだと思いました。
 
また行政側は、市民の政治不信を払拭し、若年層へも政治参加の意識を高めさせるように努めるべきだと思います。そういう意味で、学生の市長インターンシップを改革への一歩として、さらにこれからも様々な取り組みに期待します。
 
最後に末筆となりましたが、このインターンシップを企画し、二週間お世話になりました高橋市長を始め、補佐の平川さん、秘書課の山本さん、その他大勢の方に感謝したいと思います。かつてないほどの問題児だったと自覚しており、いろいろご迷惑をおかけしたと思います。しかし、私としてはとても勉強になりました。インターンシップをこれからも続けてくださると嬉しいです。

 
自分もこのインターンシップを機会に、政治のみならずいろいろな分野に積極的に興味を持ち、さらに行動していきたいと思います。