【台北・庄司哲也】中国と台湾が通航や通信などで直接交流する「3通」が15日、事実上解禁された。中台の窓口機関による11月の合意を受け、海運貨物の直行便が就航したほか、航空機直行チャーター便の毎日運航、郵便輸送などが始まった。台湾海峡を挟んだ人や物の往来は今後、さらに活発化する。
台湾で5月に中台融和を掲げた国民党・馬英九政権が発足したことで、解禁の動きが一気に進んだ。3通の本格的な実現は49年の中台分断以降初めて。
中国と台湾本島を結ぶ海運貨物便はこれまで、沖縄県石垣島など第三地を経由してきた。直行便の実現で16~27時間短縮されるほか、寄港で支払う税や船の燃料コストが削減される。台湾側は11港、中国側は63港をそれぞれ開放した。
また、これまで週4日間だった航空機の直行チャーター便は毎日運航されるようになったうえ、安全保障上の理由などから使えなかった飛行ルートも開通された。台北-上海間はこれまで約2時間30分かかっていたが、約1時間20分になる。
【ことば】▽3通▽ 79年の米中国交正常化を機に中国が解禁を呼びかけた、台湾との直接的な「通信」「通商」「通航」の総称。台湾側は慎重な姿勢を保ってきたが、01年に中国大陸に近い台湾の金門、馬祖両島と中国福建省の間を結ぶフェリーが就航し、台湾の離島に限った「小3通」が実施された。05年の春節(旧正月)には、中台間を直接結ぶチャーター航空便が初めて運航されるなど徐々に緩和が進められてきた。
毎日新聞 2008年12月15日 19時06分