大分県教委の汚職事件で、08年度教員採用試験で不正に合格したとして採用取り消し処分となった大分市立小学校の臨時講師、秦聖一郎さん(23)が14日、大分市で開かれた集会で証言し、県教委から一方的に処分を受けたときの思いなどを語った。「事件をこのまま風化させてはいけない」と実名で話す決意をしたといい、県教委を相手取り、処分の取り消しや慰謝料などを求める民事訴訟を検討していることも明らかにした。
集会は、NPO法人「おおいた市民オンブズマン」が主催。
秦さんによると、今年4月に教員となり、8月末に県教委から採用取り消しを告げられ9月に処分を受けた。一度は教師自体を辞め学校から離れる決意をしたが、担任するクラスの児童らへの思いから考え直し、臨時講師として来年3月まで勤める決意をした。
秦さんは大分大出身で、試験対策を指導した元県教委教育審議監の元教授=9月に退職=が、教育審議監、富松哲博被告=収賄罪で公判中=に、秦さんも含めた「教え子リスト」を送付していた。秦さんによると、家族などで口利きを依頼した人はおらず身に覚えがなく「考えられるのは勝手に送付されたそのリストだけ」という。
集会では、これまでの経緯や自分たちに「不正合格者」というレッテルを張っただけで、最終的な不正の実態解明をしようとしない県教委への怒りを語った。秦さんは「県教委には『悪い』という意識が感じられず、自分たちの力で風穴を開けなければならないと思った」と話した。提訴については今後、検討していくという。【中島京】
毎日新聞 2008年12月15日 西部夕刊