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少年審判:被害者傍聴15日から施行 新たな傷への懸念も

 被害者や遺族に非公開の少年審判の傍聴を認める改正少年法が、15日施行される。真相を知りたい被害者の訴えで実現したが、傍聴した被害者が新たに傷付いたり、少年が心の内を語れなくなるとの懸念も指摘されている。最高裁は被害者と少年の双方に配慮した運用を進める方針だ。【石川淳一、北村和巳】

 対象は人を死傷させた事件で、同日以降の審判について被害者側が傍聴を申し出れば、家裁は少年の心身の状態などを考慮し、付添人弁護士の意見を聴いて許可するか決める。

 長崎県佐世保市で04年に起きた小6同級生殺害事件の被害女児の父、御手洗恭二さん(50)は審判後に記録を読んだ。真相解明の場面は少なく、加害少女のあまりに幼い受け答えが続いていた。「想像と違った。傍聴していたら冷静さを保てただろうか」と話す。

 少年審判は刑事裁判と異なり、少年の立ち直りを重視する。多くは家裁送致から3~4週間で開かれ、事件のショックを受けた被害者は心の整理をする時間が十分ない。少年が反省を深めず臨めば、不用意な発言で被害者が傷付く恐れもある。

 最高裁は、各家裁が送致を受けた段階で被害者に制度の概要を知らせることにした。傍聴を認めた人には審判の手続きを事前説明し、審判廷を下見してもらう。遺影持ち込みも可能になる見通しで、極度に不安を感じるようならば弁護士らの付き添いを認める。

 一方、少年が萎縮(いしゅく)して思いを率直に話せなくなるのではとの懸念もある。各家裁は進行や発言内容などに応じて、被害者や少年に一時的に退廷してもらい、審理に支障が出ないようにするという。

 御手洗さんは傍聴制度を評価したうえで「被害者に新たな心の傷を負う危険性も伝え、事件の動機や背景を知る別手段を説明することが不可欠だ」と指摘する。被害者が審判を傍聴しなくても、家裁が審判内容を説明する制度も始まる。最高裁は傍聴の実施状況を検証し改善を進める方針だ。

毎日新聞 2008年12月13日 20時59分

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