日本リウマチ学会(小池隆夫理事長、会員約9000人)が、関節リウマチ治療薬の副作用調査の評価をした際、製薬会社から日当など計約400万円を受け取りながら、その事実を明かさず米国で学会発表していたことが分かった。関係企業との金銭授受は、米国の学会では「利益相反」としてすべてを報告するよう義務付けているが、同学会は「利益相反はない」と報告していた。【永山悦子、大場あい】
この薬は、ワイス(東京都)と武田薬品工業(大阪府)が05年に発売した「エンブレル」。厚生労働省は承認の条件として使用者の追跡調査を義務づけ、ワイス側は日本リウマチ学会に依頼。小池理事長ら会員9人が評価を担当した。
毎日新聞が入手した契約書によると、評価業務に関する経費はワイスが負担。学会の規定に沿った交通費(実費)と日当(出席1回6000円)などを学会が立て替え、ワイスが学会の口座に振り込む形で約2年間に計約400万円を支払った。
しかし07年11月、米国で開かれた米リウマチ学会で「エンブレルの安全性は高い」とする中間解析結果を発表した際「ワイスとの利益相反関係はない」と報告。その後、金銭授受があったという情報が寄せられたため米側が確認を求めたが、利益相反は認めなかった。小池理事長は「学会を通じて金銭を受け取っており、額も少ないので利益相反ではない。公表の必要性は感じない」と話す。
エンブレルをめぐっては、使用との因果関係を否定できない死亡例が発売から約2年間で84例あり、1万人以上の使用者の31%が何らかの副作用を訴えた。これについてワイスは「副作用は従来のリウマチ薬と変わらない」と説明。利益相反については「日当は旅費の一部であり、報酬とは考えていない」と否定している。
医薬品開発では産学連携がかかせない。製薬会社と金銭的な関係があることが悪いのではなく、説明責任が求められる。日本では利益相反規定を持つ学会は少ない。ルール作りを急ぐべきだ。
毎日新聞 2008年11月26日 東京夕刊