建て替え・高層化が計画されているパレスホテル(手前中央)。皇居がすぐ目の前だ=東京都千代田区丸の内1丁目、本社ヘリから、越田省吾撮影
■国は静観 都が規制の動き
国が「都市計画は市町村や都道府県が決めるのが基本」(国土交通省公園緑地・景観課)と静観の構えのなか、動き始めたのが東京都だ。
石原慎太郎知事は2日、皇居周辺を都景観条例に基づく景観誘導区域に指定し、来年度から建物規制を実施する考えを示した。区域内では、大規模ビルについて都市計画決定の手続き前に事業者と都が協議する。建物の高さや形、色などで合意しないと、事業者は計画決定の申請ができない。浜離宮庭園(中央区)など8庭園と東京湾臨海部が指定されている。
都が意識するのは16年の夏季五輪の招致で、パレスホテルの高層化計画は直接関係ない、としている。今月下旬にも開く都景観審議会が指定範囲などをまとめるが、パレスホテルは区域に入りそうだ。
ところが、千代田区は反発している。区のほぼ全域が区域指定される可能性があり、区独自の様々な規制を実施しにくくなる、との理由だ。「都は市町村をまたがるような広域の景観行政に専念するべきだ」(千代田区景観・地区計画担当課)と主張する。
国、都、区の3層構造のなかでどう展開していくのか。「街づくりの担い手は誰か」を問う試金石となりそうだ。(滝沢隆史、根本理香)