「問題弁護士」A 〜金銭トラブル編〜
(週刊現代 2003.3)
頼んだ弁護士に訴えられた
A金銭トラブル編
ここでは、現在も引き続いて開業していて、今後私たちが依頼す
る可能性のある戒告、業務停止処分を受けた弁護士のことに触れて
おこう。1億円以上のトラブルを起こした4件のうちから2件ほど
紹介しよう。
大阪の井門忠士(59歳)は、不動産管理会社の経営権をめぐる
仮処分事件などの処理を行い、標準報酬規定で1億5000万円に
なっていたところ、5億円を請求。これだけならまだしも、支払が
ないと不動産を強制競売にかけるという乱暴さだ。 (処分・業務停
止10月)
報酬の不当請求という点では、「弁護士の巨額報酬請求事件」と
して報道された沖縄の与儀英毅(63歳)のほうがスケ−ルがでか
い。途中で解任されながら依頼者が受けたであろう利益を自ら16
9億円と算定し、その報酬として標準の3.8倍に相当する29億
円を請求した。依頼者が支払に応じなければ通常、弁護士会の紛議
調停に持ち込むのが一般的だが、与儀はいきなり請求訴訟を起こし
た。「頼みたくない弁護士」と言われてもしかたがないだろう。(
処分・業務停止2年)
1000万円以上のトラブルもあるが、数百万円単位が圧倒的に
多い。高収入(全国平均で3000万円、経費を引いた所得は平均
1500万円)の弁護士にしてはなんともみみっちい。
返還すれば業務停止処分にあうこともなかったろうにと思うが、数
十万円の弁護士会の会費に事欠くほどお金がない弁護士もいるらし
い。バブル崩壊時に東京弁護士会に登録した弁護士が話す。
「懲戒処分を受けた人の多くは、バブル時代にいい思いをした人た
ちですよ。高級マンションを買ったり、ゴルフの会員権に投資した
り。それがバブルの崩壊でロ−ンが払えなくなり、預かり金に手を
つけたり、和解金を流用したりしているんですよ」
不良債権を抱えた銀行と同じということらしい。
疑問がある。処分が全般的に軽いということだ。弁護士自治とは
名ばかりで、弁護士会の実態は仲間の庇い合い組織と指弾されても
しかたがないだろう。 |
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