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地域医療守る会、紋別医師会の小林会長を講師に招き勉強会
(12月14日付け)
 紋別の医療危機の現状を市民自らが考え、できることから行動しようと市民有志らが5日、設立した「地域医療を育て守る会」(鈴木さよ子代表世話人)。この日、設立総会に続いて開催された勉強会では紋別医師会の小林正司会長が医療の現状について語った。
 小林会長は医師不足の原因について、2004年から始まった新しい臨床研修医制度により、大学の医局の人事権が弱くなり、若い医師が大学に残らず、都会の病院に勤務する傾向が強くなったことを挙げたほか、診療報酬の引き下げで、医療を支える根本の財源も減り、医師の雇用も含め病院機能の維持が難しくなっていることなど「制度的な要因」を指摘。
 加えて「心理的な要因」として、医療訴訟が増えている現状を挙げ、「それが医師自身のチャレンジ精神を萎縮させている面がある」とした。この結果、医師が過重労働せざるをえない医師不足の病院には、なおさら医師が集まりにくいという悪循環に陥っていることを示唆した。
 紋別の医師は道立紋別に10人、開業医が14人の計24人であることを挙げ「医師数は人口1000人当たり1人を少し切る状況で、全国平均の半分以下」と指摘。
 しかし逆に言えば「紋別の医療需要は多い。きちっとした医療機関があれば、患者はどっとくるはず」との見方を示した。
 一次救急を担う紋別医師会の苦労にもふれ、「84歳の先生が月4回夜間当番を行っている。14人の医師のうち65歳以上が7人いる。平均年齢63歳超。30年後は現役の人はだれもいない」として、対策が急がれることを強調した。
 小林会長は「医師と患者の信頼関係が大事」と強調し、「田舎の病院のほうが、医師と患者がお互いに良く分っていて、医師もストレスがたまりにくい」として地域医療を支える若い医師がもっと出てくることに期待していた。
(医療の現状について話す紋別医師会の小林会長(右)=写真=)

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