「300日規定」による 無戸籍の子の救済前進
公明新聞:2008年7月11日
住民票記載、総務省が通知
裁判所も積極的に対応
公明が推進
民法772条問題で総務省から運用改善策の説明を受けた党合同会議=6月25日
離婚後300日以内に生まれた子を前の夫の子と推定するなどとした、民法772条の「300日規定」によって無戸籍になっている子どもたちの、戸籍や住民票の記載に関する救済措置が大きく前進している。
現行法では「300日規定」に当てはまる子どもは、出生とは関係のない前の夫の戸籍に入ることになる。これを敬遠し、出生届が出されないままになっている子どもは、戸籍や住民票がなく、就職や進学、結婚、免許取得、さらには、自己証明ができないために銀行口座の開設をはじめ、生活のあらゆる場面で不利益を受けてきた。
この問題に対して公明党は、昨年(2007年)2月に民法772条問題対策プロジェクトチーム(PT)を立ち上げ、無戸籍の子の救済に取り組み、昨年(2007年)5月21日に「離婚後の妊娠」が証明できる場合に出生届を受け付ける改善措置を実現。さらに、無戸籍の子に対するパスポートの発行(外務省)や、予防接種、児童扶養手当の支給(厚生労働省)などの改善措置も推進してきた。
しかし、これらの改善措置で救済されるのは一部に過ぎないため、出生届の受理や無戸籍のままでの住民票記載など、さらに幅広い救済措置が求められていた。このため、公明党の法務部会(大口善徳部会長=衆院議員)と党PTは今年(2008年)5月20日、市民団体と当事者家族とともに鳩山邦夫法相に対し、さらなる救済措置の実施を要望した。
席上、鳩山法相は無戸籍児を抱える親から直接話を聞いたのは初めてだとし、「子どものことを中心に考えなければならない。虚心坦懐に受け止めたい」と表明。その場で実態調査に乗り出す意向を示した。
これがきっかけとなり、最高裁判所は戸籍記載の裁判手続きについて、実父を相手にした「認知調停」を積極的に受け入れるように改善し、ホームページでの掲示や裁判所関係者への研修などで周知徹底を開始。現在、認知を求める調停の申請が進んでいる。
調停には、実父に対する認知調停と前夫に対する親子関係不存在確認の調停の二つの方法があるが、家庭裁判所はこれまで親子関係不存在確認の調停を通例としていた。このため、配偶者からの暴力などが原因で前の夫と関わりたくないなどの理由で調停ができず、無戸籍のままとなるケースがあった。
また、党の部会、PTの働き掛けを受け、総務省も6月25日、地方自治体によって対応に差があった無戸籍のままの住民票記載を条件付きで認めるようにする方針を表明。今月(7月)7日、全国の市町村に住民票へ記載する判断基準を通知した。
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