 平和構築の人材育成さらに
平和構築の人材育成さらに
      公明新聞:2008年6月25日
専門家1万人の構想掲げる公明
      多様な能力が必要に
先月(5月)末に横浜で開催された第4回アフリカ開発会議、来月(7月)7日から始まる北海道洞爺湖サミットと、日本がリード役を務める国際会議が続く中、公明党が一貫して掲げてきた国際平和に貢献できる専門家育成の重要性が改めて認識されている。
公明党は2003年衆院選前に発表した「マニフェスト100」(政策綱領)で、国際平和貢献プロジェクトとして平和貢献の専門家1万人の育成を公約として打ち出した。以来、2004年の「マニフェスト123」、2005年の「マニフェスト2005」、昨年の「マニフェスト2007」と、これを継続して主張し、現在も実現に向けた取り組みを強化している。
1992年の国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく自衛隊部隊のPKO参加から本格化した日本の国際平和協力は、今では国民の大多数の理解を得ている。しかし、民間人派遣による国際平和協力の側面についてはあまり国民的関心にはなっていない。
国連が進めている平和活動には、停戦監視だけでなく、武力紛争で破壊された道路や水道、電力などインフラ(社会基盤)や行政組織の再構築のための専門家が必要とされる場合が多い。求められる人材としては、警察官、教育者、行政と司法の専門家、コミュニティー建設の専門家、農業など地元産業の専門家など多様であり、さらに、紛争後社会という特別な場所での安全確保の方法などについての知識も欠かせない。
欧米には豊富な資金と優秀な人材を誇る非政府組織(NGO)が多く、国連と協力して世界各地で平和貢献を進めている。日本も平和貢献のNGOをさらに支援すると同時に、政府主導の人材育成に本腰を入れる必要がある。
外務省が事業に着手
2006年に始動した国連の平和構築委員会が象徴するように、現在の国際平和協力は平和維持から平和構築への継続した活動が求められている。そこには、紛争後社会が再興するまで国際社会は責任を持つべきとの確立された考え方がある。
しかも、平和構築には単なるインフラや社会制度の再興だけでなく、現地の一人一人の保護と能力強化を通した自立支援が柱となる。これは日本が外交理念の一つとして掲げる「人間の安全保障」の分野の支援活動と言える。
先月のアフリカ開発会議で発表された横浜宣言には、「人間の安全保障」の考え方の促進が明記され、さらに、平和構築努力の決定的重要性も確認された。この平和の最先端の分野で日本が貢献することは平和国家の使命であろう。
公明党の取り組みもあって、外務省は07年9月から「平和構築分野の人材育成のためのパイロット事業」をスタートさせ、今年(2008年)3月に第1期生29人を卒業させた。1期生は平和構築や開発支援に従事している政府関係者や専門家で、日本人だけでなくアジアからの研修生も含まれている。講義だけでなく現地研修も経験し、卒業後の就職先についても外務省が手伝うことになっている。すでに希望者の半数が国際機関などに就職先が決まっている。
日本は敗戦後の復興で、海外の支援を受けて自立に成功した経験を持つ。この貴重な経験を生かすためにも、人材育成の場を提供するとともに、文民を平和構築のために派遣するための法制についても検討する必要があろう。
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