造船・舶用機器関連メーカーの辻産業(長崎県佐世保市)は12日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、同日付で保全管理命令を受けた。負債額は約741億円。東京商工リサーチによると、九州・沖縄地区の経営破たんとしては今年最大。
辻マリンサービスやエース工業など子会社4社も同時に同法適用を申請した。4社を含めた負債額は約758億円。
辻産業は1888年創業。船舶用クレーンの製造などを手掛けてきた。2002年3月、中国江蘇省張家港市に現地法人を設立し、03年から船体ブロックなどを製造。06年8月に造船事業に進出、07年3月には浙江省舟山市での大型造船所建設に着手し、来春にも操業開始予定だった。
08年5月期には過去最高となる約253億円の売上高を計上。造船業の好況で3万トン級のばら積み船など2000億円以上の受注を確保していたが、鋼材の高騰で製造コストが上昇した上、世界的な金融危機のあおりを受け、中国の新工場建設事業への投資などの資金繰りが悪化した。私的再建も検討したが金融機関との協議が不調に終わったという。
今後、辻産業は同県西海市の大島造船所の支援を受けて、会社再建を目指す。関連会社を含め約850人の従業員の雇用や給与は確保するという。中国の子会社は自力で再建を図る方針。
佐世保市で会見した辻昌宏会長は「全く予想しなかった米国発の金融危機で大きなダメージを受けた。債権者や関連企業に心からおわびしたい」と話した。辻会長は辻産業会長のほか、佐世保商工会議所会頭や松浦鉄道社長などの役職も辞職する意向を示した。
=2008/12/13付 西日本新聞朝刊=