貸金業者「レオン」(大阪市中央区)の社長ら3人が大阪地検特捜部に債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)違反容疑で逮捕された事件で、同社が無許可で買い集めた不良債権のうち、実際に回収した額が11億円以上にのぼることが特捜部の調べでわかった。利息制限法の上限金利を超える「グレーゾーン(灰色)金利」が06年1月の最高裁判決で実質的に無効と判断された後も、こうした高利を適用して取り立てていたという。特捜部は12日にも社長の比嘉尚之容疑者(41)と法人としての同社を起訴する方針。比嘉社長は「元手がほとんどかからず、もうかった」と供述しているという。
特捜部の調べによると、レオンは01年7月の設立当初から無許可で債権回収業務を行っていたとされる。ちょうどこのころ、出資法の上限金利(当時は年29.2%)と利息制限法の上限金利(年15〜20%)の中間にあたる「灰色金利」での貸し付けを違法とする判決が各地の裁判所で出始めた。06年の最高裁判決によって灰色金利のままの取り立ては事実上できなくなり、貸金業者にとって高利で貸し付け、長期間焦げ付いたままの不良債権の回収はより困難になった。灰色金利そのものは06年の貸金業関連法改正から約3年後に撤廃される。
特捜部の調べや関係者の話によると、レオンはこうした事情を背景に、貸金業者が回収をあきらめた小口の不良債権を積極的に引き受けた。債権額の5〜15%程度の低価格で大量に一括購入し、譲渡された債権は総額70億円分を超えたとされる。5年以上回収できずに放置され、債務者側が時効を主張すれば消滅する不良債権が多かったという。
債務者の職場に電話をかけたり、「差し押さえ実行予告通知書」などの文書を送り付けたりして返済を迫り、ここ数年は年に2億円ほどを回収。灰色金利で貸し付けられた債権については貸し付け当時の高い利率のまま回収を続けていたという。