【名護】国立療養所「沖縄愛楽園」の開園七十周年記念式典・祝賀会が十一日、同園で行われた。元患者や地域住民ら関係者約二百五十人が参加し、幾多の困難に直面しながらも、一つ一つ乗り越えてきた同園の歴史を振り返った。

　金城雅春自治会長は「数々の支援を受けて、多くの成果を勝ち取ってきた。現在は、退所者の数が多くなっている一方、元患者と声を出せずに生活している人も数多くいる」と、差別や偏見を恐れる元患者の心情を説明。「元患者だと、大手を振って歩ける社会にしないといけない。多くの市民の力を受けながら地域とのつながりを強くし、将来構想も考えていきたい」と話した。

　同園は、自身もハンセン病を患いながら、県内のハンセン病患者の救済に尽力した故青木恵哉氏らの手によって、一九三八年に名護市屋我地島に県立療養所として設立された。

　これまでに、再入所も含め延べ三千八百八十四人が入所し、九百五十人が軽快退所者として退園した。

　九六年には「らい予防法」が廃止され、二〇〇一年に国賠裁判熊本判決で勝訴。今年六月には、療養所での地域住民の施設利用を可能にするハンセン病問題基本法が成立した。