アメリカの自動車大手3社=ビッグ3に対する救済法案が議会で事実上廃案になったことを受けて、アメリカ政府は破綻回避のため、金融安定化のための公的資金枠を活用する検討に入りました。
救済法案の事実上の廃案から一夜明けた12日朝、株式市場が開く前にホワイトハウスは声明を発表しました。
声明は「自動車業界の突然の破綻は、この時期にさらに経済を弱体化させる無責任な行動だ」として、破綻を回避するため、すでに用意されている金融安定化のための7000億ドルの公的資金の活用を検討すると表明しました。
これまで議会側の再三の要求にもかかわらず、ブッシュ政権は、この公的資金枠はあくまで金融システム安定のものだとして、ビッグ3救済に使うことを拒否してきました。
その方針を大転換したのは、雇用情勢が急速に悪化しているなか巨大産業が破綻すれば、深刻な事態を招くと共に、企業間の金融取引の信用にも計り知れない影響を及ぼすと判断したからです。
「ホワイトハウスと財務省の反応はとてもいいニュースです。私たちも先に進む用意はできています」(UAW=全米自動車労組、ゲテルフィンガー委員長)
UAW=全米自動車労組の委員長は早速、政府支援を得るために協力する用意があると表明しましたが、救済法案廃案の原因となった組合員の賃金切り下げについては、なお具体的な言及を避けています。
金融安定化資金からの支援の規模や条件についてはなお政府内で調整が必要ですが、ビッグ3の経営危機は、タイムリミットギリギリで破綻回避の方向に再び動き出しました。(13日10:32)