昨年星組から組替えし宙組娘役トップに就任。お披露目公演、全国ツアー後の次作のけいこ中、今年1月に左足首を骨折した。休演を余儀なくされ、リハビリに努めた。9月に兵庫・宝塚大劇場の宙組同公演で舞台復帰。約1カ月半を盛況で終え、東京公演でも軽やかな足取り。出身地・東京での復帰作。熱い思いはひとしおだ。
「ずっと休んでいたので、もう仕事をしたくて仕方がなかった。大劇場公演をやってこれたことが自信になりました。いまはお芝居をやってショーで発散して、いいバランスで気分転換にもなっています。元気にまた日比谷に戻って来られてすごくうれしい」
人生初という大けがを克服。支えたのはファンら大勢の人から贈られた千羽鶴だった。
「たくさん折っていただいて、“万羽鶴”ぐらいすごかった。それを見ると勇気が出て、絶対(舞台に)戻ってやる!って。しっかり治す時間をいただき本当に感謝しています。先生もびっくりするぐらい回復力がよく、支障はないですね。加圧トレーニングは治ってもやっています」
1部の芝居ではプロを夢見る画家の卵、キャサリンを演じている。
「私は宝塚に入りたいと思って受験しました。自分がどうしても譲れないモノを貫いていきたい、という気持ちは役と一緒だなって。私の夢?“きんきんきん”の夢は明日の舞台を無事終わらせること。近々の夢は27日の千秋楽までやり通すことです」
笑顔の中に強い意志をたたえた。小顔で大きな瞳が印象的。長い手足と華奢な体躯は目を引く。宙組トップスター、大和悠河とはビジュアル系コンビと評判だ。
「相手役の方が王子様だと、オマケみたいにお姫様って言ってもらえるから、ちょっとラッキーぐらいに思います(笑)。大和さんとは、同じ(目的意識の)方向を向いていきたい」
ポンポンと言葉を繰り出し、ユーモアもある。元気印のイメージがあるが「私、本当にウジウジしてて、すぐヘコむんです。今年はいろんな経験をして、多少精神的にタフになりました」
来年は劇団創立95周年。
「私がおばあちゃんになっても宝塚を見ていたい。お客様に楽しんでいただくためにも、技術面も精神面も磨き公演をいいモノにしたいです」
あふれんばかりの情熱を注ぎ、宝塚の“華”として今日も舞台に立つ。