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ここから本文エリア 地域医療を守る(中) 赤字体質2008年12月12日
5日、県庁で開かれた「県立病院を良くする会」。県病院局は09年度からの第2次経営健全化計画の原案を公表した。効率化を図るための取り組みとして、診療報酬の請求漏れ防止、安価な後発医薬品(ジェネリック)の採用拡大、未収金の発生防止と回収促進、清掃の外部委託――など12項目が並ぶ。 ◆ 県立の3病院は04年度から、第1次計画に基づいて経営改革を進めてきた。3病院で使う医薬品を共同購入して割安にしたり、高額な医療機器の購入に入札を導入したりして支出を抑えた。また、新規の入院患者を積極的に受け入れて収入を増やした。 何より努めたのが職員の意識改革。ある職員は「医療廃棄物をきちんと分別すれば回収費用が安く済む。以前はそんなことは考えたこともなかった」と話す。塩谷泰一・県病院事業管理者は「税金を使っていることへの責任に目覚め、仕事を根本から見つめ直した」と言う。 06年度、県立3病院全体では10年ぶりに黒字転換。07年度も約4億2千万円の黒字となった。 ◆ だが、黒字は県の一般会計からの繰入金があってこそだ。県によると、繰入金は、採算がとりにくい医療行為の経費に充てるためと、病院施設や医療機器など将来を見据えた投資に使うためという目的がある。過去の決算などを参考に毎年度、繰入額がはじき出される。 07年度は総額約31億円。2年連続の黒字達成は経営努力の結果だが、繰入金がなければ、07年度は巨額の赤字を出していたことになる。 一方で、過去に積み重なった損失は約94億円。さらに、総額約140億円かかる県立中央病院(徳島市)の改築事業も今後、経営の負担になりそうだ。 県内の市町が運営する病院の多くも、先行きは明るいとはいえない。県の調べでは07年度、計8病院のうち6病院が赤字。うち徳島市民病院(徳島市)、上那賀病院(那賀町)、国保由岐病院(美波町)は03年度から5年連続という慢性的な赤字体質だ。 ◆ そもそも、公立病院は繰入金がなければ赤字になってしまう。採算面から民間が手を出しにくい、救急、へき地、周産期(出産前後の時期)、小児、災害の各医療を担っているからだ。医師不足も経営悪化と無縁ではない。医師が減れば患者数も減り、診療収益が下がる。 そんな中、総務省は昨年12月の「公立病院改革ガイドライン」で、公立病院は独立採算を原則とし、3年先には黒字化を実現するよう求めている。一般会計からの繰入金があるのに赤字になるのはおかしい、という考え方だ。 自治体の財政難が、黒字化を急がせる理由にもなっている。 自治体財政健全化法に基づき、08年度決算からは病院事業も含めて財政の健全性が測られる。多額の赤字が続けば、運営する自治体の破綻(は・たん)につながりかねない。千葉県銚子市が9月末で市立総合病院を全面休止したのに次いで、大阪府松原市も今年度末に市立松原病院を閉じる方針を決めたのはこのためだ。県内では今のところ、閉院の動きはない。 ◆ 総務省の求めで、病院を運営する自治体は来年3月までに、経費削減や収入確保などの数値目標を盛り込んだ改革プランを策定しなければならない。県内の公立病院関係者は「病院が利益を上げるには、医師がたくさんいて、診療報酬が下がらないことが前提だ」と不満を漏らす。 二つの病院を抱える美波町の財政担当者はこんなジレンマを抱えている。「病院への繰入金を増やせば一般会計を圧迫するし、減らせば病院経営が苦しくなる」 ◆ (表)県や市町の一般会計から公立病院への繰入金(07年度) 設置者 病院名(病床数) 繰入金額 県 県立中央病院(540) 16億6018万円 徳島市 徳島市民病院(339) 9億5615万円 勝浦町 国保勝浦病院(65) 2億688万円 那賀町 町立上那賀病院(35) 1億770万円 県 県立海部病院(110) 5億1280万円 美波町 国保由岐病院(50) 5956万円 美波町 国保日和佐病院(30) 1億8606万円 海陽町 町立海南病院(45) 1億円 つるぎ町 町立半田病院(134) 1億6千万円 県 県立三好病院(220) 9億6250万円 三好市 市立三野病院(75) 5194万円 ◆ 読者の皆様から、この連載の感想や地域医療についてのご意見を募集します。病院や行政関係者からの投稿もお待ちしています。朝日新聞徳島総局「地域医療」係(住所とファクスは題字下)へ。メール(tokushima@asahi.com)でも可。問い合わせをさせていただく場合がありますので、匿名希望でも、氏名と電話番号はお書き添えください。
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