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現場から:山口元次官 /神奈川

 先月、殺害された元厚生事務次官の山口剛彦さんは、93~94年、私が政治部の中堅記者として厚生省を担当したときの年金局長だった▼当時の担当記者の最大関心事は、94年の年金改正の行方。年金財政の破綻(はたん)を防ぐため、厚生年金の支給開始を60歳から65歳に遅らせるなどの内容で、山口さんは局長として制度設計を主導していた▼年金への世間の関心はまだそれほど高くない時代だった。年金は医療と違って、業界や圧力団体もない。そういう環境で、後世の批判に耐え得る制度をどう作るのか▼山口さんたちがやったのは、徹底した議論の積み重ねだった。朝から晩まで毎日毎日。休みもほとんど取っていなかった。新聞記者も時々、議論に加わった。寝食を忘れて仕事をする良心的な中央官僚がいるということを認識したのは、この時が最初だった気がする▼そんな人が、なぜ死ななければならなかったのか。あまりに理不尽だ。【佐藤千矢子】

毎日新聞 2008年12月13日 地方版

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