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【緯度経度】中仏関係悪化は“近親憎悪”か (2/2ページ)

2008.12.13 01:34

 シラク前大統領は97年にフランスの国家元首として14年ぶりに訪中し、「全面的パートナーシップ」の確立で合意。2004年には「戦略的パートナーシップ」の発展を確認し、経済を中心に関係を強化した。双方の国家元首の相互訪問の度に、「人権擁護」が強調されたものの、エアバスや地下鉄、新幹線(TGV)などの大型契約の前に、かき消された形だった。

 大統領として07年11月に初訪中したサルコジ氏も200億ユーロ(約2兆4000億円)の大型契約を結ぶなど「シラク路線」を継承し、良好な中仏関係が続いた。サルコジ氏はパリでの北京五輪の聖火リレーが混乱したことに対する“おわび”の意味もあり、五輪の開幕式にも出席してご機嫌もうかがった。8月のダライ・ラマの訪仏ではカーラ夫人が会見し、人権国家の面目躍如だったが、中国は黙認した。

 それなのに、今度はなぜ? 「中国の一番の弱点は人権。人権国家を標榜(ひょうぼう)するフランスをたたくことで弱点をカバーする」「EU(欧州連合)主要国のフランスをたたくことで、オバマ次期米政権に、“中国恐るべし”の教訓を垂れた」「中国も不況。フランスの対中貿易赤字から目をそらせるため」など、回答はさまざまだ。

 一方、フランスが「最初に国交を樹立した恩義を中国は忘れないはず」とタカをくくれば、中国は「だからこそ、フランスに裏切られたとの思いが強い」と怒りを募らせるという構図は、一種の“近親憎悪”だ。自分が世界の中心だという思想や、それゆえの傲慢(ごうまん)性、楽観性など中仏には共通点も多い。兄弟げんかの観もあるが、兄弟げんかは他人のけんかより始末に悪い。

 仏側は09年1月の国交樹立45周年での手打ちをひそかに期待しているが、「関係悪化は景気が回復するまで数年は続く。しょせん商売の関係なのだから」という覚めた見方もある。中仏関係は下手なドラマよりずっと劇的だ。(パリ 山口昌子)

      

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