ウルトラ・エキセントリック・スーパーカルト・パンクポップバンド、少年ナイフ〜!!!

 山野姉妹だけの2人編成になってから2作目の少年ナイフのアルバム『Heavy Songs』がこの5月にリリースされました。前作『Strawberry Sound』では2人組になった戸惑いからか、バンド形態では出来ないサウンドに敢えて挑戦した印象があったけど、新作では2人編成にも慣れたのか、ロック・バンド形態に復帰、ヘヴィーなロック・アルバムに仕上がってる気がします。『Heavy Songs』というタイトルに偽りなし! ただし、歌詞のホンワカ度は今までどおりだけど(苦笑)。

少年ナイフと私
 私が少年ナイフという女のコ3人組の存在を知ったのは、1990年2月のこと。音楽雑誌『CROSSBEAT』'90年3月号掲載のコラム『大鷹俊一のWARNING NETWORK』がキッカケ。


『CROSSBEAT』'90年3月号掲載のコラム『大鷹俊一のWARNING NETWORK』

 ちょうどソニック・ユースやレッド・クロスなど、US/UKのインディー・バンドが少年ナイフのカヴァーに挑戦したトリビュート・アルバム『Every Band Has A Shonen Knife Who Loves Them』がリリースされたばかりの頃で、日本では殆ど無名に等しかった彼女たちがUS/UKインディー・シーンでトリビュート・アルバムがリリースされるほど人気を集めているという事実は驚きでした。当時、少年ナイフのことを知ってたのは関西インディー・シーンに詳しいひとだけだったと思う(苦笑)。このコラムみて、バンド名に『少年』が付いてるのにメンバー全員女性のバンドはしっかりと私のアタマに焼き付きました。
 翌1991年、「US/UKインディー・シーンで話題のバンド」というふれこみのお蔭か、アルバム『712』でバンド結成10年目にしてメジャー・デビューを果たした少年ナイフ。「あの時のコラムの少年ナイフのメジャー・デビュー盤」ということで、この『712』を購入した私、中身を聴いてビックリ〜!!! 
オープニングの“少年ナイフ”と次の“Lazybone”は置いとくとして(笑)、ダイエットをテーマにした“Diet Run”、生牡蠣の酢のものに当たった話をテーマにした“Blue Oyster Cult”、大阪への郷土愛を語る“My Favorite Town”、チョイ役しかもらえない駆け出しの俳優を歌う“Superstar”、ルイ・ヴィトンのバッグを買い漁るひとたちを皮肉った“Baggs”など、すんごい歌詞のオン・パレード(笑)。こんなことを書くと「コミック・ソングか?」と思われそうだけど、彼女たちの歌詞はまかり間違えばコミック・ソングになってしまいそうな題材を扱いつつも、絶対コミック・ソングにならないんだな、これが(笑)。「コミック・ソングか否か?」の分岐点はウケを狙ってるか否かにかかってると思うけど、少年ナイフの歌詞は「こんなことを歌えばウケるだろう」とウケ狙いに走ったところが微塵も感じられない。全て自分たちの感じたもの/思ったことを素直に表現したに過ぎない。この「自然体」こそ、少年ナイフの魅力のかなりの部分を負っているのではないでしょーか? 話はズレたけど、初めて少年ナイフを聴いた時はかなりカルチャー・ショックでした(笑)。この『712』リリースの1991年は、ニルヴァーナの『ネヴァーマインド』がリリースされ、オルタナ・エクスプロージョンが起った年。一躍人気バンドになったニルヴァーナのカート・コバーンがインタヴューでことあるごとに「好きなバンドは少年ナイフ」と発言したため、少年ナイフを巡る状況は一変、日本ではMCAビクター(現・ユニバーサル)、海外ではメジャーの『Virgin』と契約し、『世界で一番有名な日本のバンド・少年ナイフ』と呼ばれるようになりました。そのワールドワイド・メジャー・デビュー盤『Let's Knife』は最初の3枚のセルフ・リメイク盤だったけど、最初の3枚が入手困難な時代たったため、素直に『新曲』として聴けたなぁ(笑)。この『Let's Knife』収録曲こそ、例のトリビュート・アルバム『Every Band Has A Shonen Knife〜』でカヴァーされている曲...すなわち、US/UKのインディー・バンドたちを虜にした楽曲群なわけで、ポップでハジけてる曲が多く、今でも『ナイフ・クラシックス』として根強い人気を誇ってます。この『Let's Knife』で本格的にナイフにハマった(笑)。次の『Rock Animals』で完全に『ナイフ・フリークス』になってました(笑)。

遅まきながら、少年ナイフの紹介
 少年ナイフが結成されたのは、1981年。彼女たち3人のホームタウン・大阪にて。OL生活始めたばかりの山野直子さん(vo., g.)が、OL生活が退屈で仕方ないので何か刺激のあることを始めよう!と短大時代の友達、中谷美智枝さん(vo., b.)を誘ったのがキッカケ。ここに直子さんの妹の山野敦子さん(ds.,vo.)が加わって、後々まで世界中のひとたちに愛されであろう3人組が完成。


『712』リリース時の少年ナイフ
左から、山野敦子さん、ナンシー山の(笑...山野直子)さん、中谷美智枝さん

 少年ナイフの音楽は、彼女たちの好きなアーティスト...自己紹介ソング“少年ナイフ”で名前の挙がってるアーティストを羅列すると...ニック・ロウ、コステロ、ビートルズ、レッド・クロス、ラモーンズ、バズコックス、モックン(笑)、ジョナサン・リッチマン、XTCからの影響をモロに出した音楽。ただし、パンクって括ってしまうと、“サイクリングは楽し”のようなポップ・ソングがハミ出すし、ポップ・バンドって括ってしまうと、“アントニオバカ貝”みたいなヘヴィーなナンバーが外れてしまう。だから、彼女たちが名乗るように「ウルトラ・エキセントリック・スーパーカルト・パンクポップバンド」としか言い表わしようがないな(爆笑〜!!!)。
 彼女たちの曲の歌詞は、前にも書いたけど日常生活に根ざしたものが多いッス。いわゆる「ラヴ・ソング」は皆無。前にも書いたけど、「ウケ狙いのようで、絶対にウケ狙いにならない」ところが彼女たちの歌詞の特徴であり魅力ですね。NHKの『みんなのうた』で流れるような」ってのが、適切な表現かもね。実際にはシングル“飲茶楼でめちゃうまかろう”のカップリング曲“はみがき”くらいしか『みんなのうた』で使われたことないようですけど(笑)。彼女たちは、自分たちの歌いたいことしか歌わない。これは歌詞だけに限らず、サウンドにもいえることで、自分たちの出したい音しか出さない...これが少年ナイフのサウンドの魅力でしょう。これは'83年のデビュー作から最新作に至るまで一貫してます。
 以前、雑誌のインタヴューで、「どうして、少年ナイフの音楽が好きなのか、カート・コバーン(ニルヴァーナ)に訊いたことありますか?」っていう質問があった。これに直子さんが「カートに一度訊いたことあります。『君たちが自分の好きな音楽を楽しそうに演ってるところが好きなんだ』って言ってた」と答えてた。このカート・コバーンが語ったことこそ、『少年ナイフの魅力』そのものだ!...と思います。

第2期少年ナイフについて
 1999年にベースの中谷美智枝さんが脱退してから、残された山野姉妹は、敦子さんがドラムからベースに転向するという前代未聞のコンバートを敢行し、「少年ナイフ」を続けることを選択しました。山野姉妹だけになってからを便宜上「第2期少年ナイフ」と呼びますけど(笑)、レコーディングでは敦子さんがベースとドラムを演奏、ライヴでは敦子さんはベースを演奏し、サポート・ドラマーとして地元大阪インディー・シーンの重鎮、山本精一氏の羅針盤のドラマー、CHINA(西浦真奈)さんを加えた3人編成で乗り切ってます。


サポート・ドラマーの真奈ちゃん

 このサポート・ドラマーのCHINAさん、とんでもないハイパー・ドラマーなため、一気にライヴでのナイフ・サウンドは筋力UP! 歌いながら楽しそうにタイコ叩くCHINAさんの姿は観てるだけで楽しくなってくるので、サウンド面だけでなく絵的にも、このコンバートは正解(笑)。

とは言うものの...
 ...美智枝さんが居なくなって良かったとは全然思わないけどね。やはり、美智枝さんがリード・ヴォーカルを担当してた“悪魔の館”や“サイクリングは楽し”、“カエル恐怖症のうた”などがもうライヴで聴けないと思うと、とても残念ッス...。ただ、美智枝さんが抜けたダメージを、コンバート+CHINA起用さんで最小限に食い止めた山野姉妹の努力には最大限の敬意を払いたいものですが。
 私が最初に少年ナイフのライヴを観たのは
1998年の『Happy Hour』のツアー。結果的には美智枝さん在籍時最後のツアーになりました。美智枝さんは“Ice Cream City”や“Catch Your Bus”、悪魔の館”や“Frogphobia”など歌ってくれましたけど、もうこれらの曲をライヴで聴ることは無いのかなぁ〜...?

少年ナイフ discography

BURNING FARM

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-18001)
1. ミラクルズ 2. パラレル ウ・マン 3. TWISTED BARBIE
4. 象のパオパオ 5. 亀の子束子のテーマ 6. 動物小唄
7. 工場の一日 8. BURNING FARM (焼畑農業のうた)
9. オウムのポリネシア 10. WATCHIN' GIRL
11. BANANA FISH 12. うっかり八兵衛
13. I WANNA BE SEDATED
 会社勤務などの傍ら、アマチュア・バンド活動していたナイフ。ライヴ・パフォーマンスが京都のゼロ・レコーズ平川 晋氏の目に止まり、結成2年目でレコード・リリースに漕ぎ着けた1983年リリースの記念すべきデビュー盤。オリジナル『ゼロ』盤は1〜8。“オウムのポリネシア”と “WATCHIN' GIRL”、“BANANA FISH”は関西インディーズのコンピレーション・アルバム『AURA MUSIC』に収録されてた曲。ボーナス・トラックの“I WANNA BE SEDATED”はラモーンズのカヴァー。“うっかり八兵衛”とは、勿論『水戸黄門』の登場キャラクター(笑)。“パラレル ウ・マン”や“TWISTED BARBIE”に、彼女たちがOL生活してた上での不満や変身願望が垣間見れるような...。

山のアッちゃん

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-18002)
1. 天使がやってきた 2. サイクリングは楽し
3. エルマー・エレベーター 4. Banana Leaf
5. Chinese Song 6. Flying Jelly Attack 7. 人喰いパパイヤ
8. Insect Collector 9. Bye Bye 10. ダリのひまわり
11. Secret Dance 12. Flying Saucer Attack
 1984年に、ゼロ・レコーズからリリースされた2nd。CD化に際し、3曲ボーナス・トラックを追加。 ナイフの代表曲“Flying Jelly Attack”は、後にリリースされる『Let's Knife』ヴァージョンとキィが異なるので、かなり違和感アリかも。♪何億もの中国人が〜自転車にのってやってくる〜こんらんこんらんこんらん〜と歌われる“CHINESE SONG”を始め、“人喰いパパイヤ”など、特に美智枝さんのセンスが突出(笑)。モータウン・サウンドの影響受けた“サイクリングは楽し”も美智枝さんの曲だし(笑)。ちなみに、ボーナス・トラックの“Flying Saucer Attack”は、The Revillosのカヴァー。

PRETTY LITTLE BAKA GUY

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-18003)
1. がんばれバイソン 2. サマータイム・ブギ
3. チョコバー食べたいョの唄 4. お風呂やさん 5. 悪魔の館
6. アントニオバカ貝 7. アイスクリーム・シティ
8. 嗚呼、新嘉坡 9. ロケットにのって 10. カッパエキス
11. おサカナ大行進 12. CHERRY BOMB
 1986年にゼロ・レコーズからリリースされた3rdアルバム。CD化に際して2曲追加。キーボードが前面に出た“チョコバー食べたいョの唄”、ヘヴィーな“アントニオバカ貝”、癒し系な“アイスクリーム・シティ”、チャイニーズな“嗚呼、新嘉坡”など、曲のヴァリエーションが増えた印象。代表曲“ロケットにのって”、秘かな人気曲“カッパエキス”も収録。“がんばれバイソン”は、後の『Let's Knife』収録の“Get The Wow”を思わせる(苦笑)。ボーナストラックの“CHERRY BOMB”は、ジョーン・ジェットのランナウェイズのカヴァー。

712

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-18004)
1. 少年ナイフ 2. Lazybone 3. Diet Run
4. Blue Oyster Cult 5. Rain 6. The Luck Of The Irish
7. My Favorite Town 8. Faith Healer 9. Redd Kross
10. White Flag 11. Superstar 12. Expo '90
13. Fruit Loop Dreams 14. 月世界都市 15. Baggs
16. クッキング ・ストーリー
 前作から5年のブランクを経て1991年にリリースされた4th。この間、インディー・ネットワークを介して海外でのナイフ人気が高まり、逆輸入の形で日本でも彼女たちのことが話題になり始めていた時期だったため、日本クラウンが運営してた『チコチカ』レーベルからのメジャー・リリースが実現。ただし、レコーディングが済んでからメジャー・リリースが決まったので、サウンドはかなりインディーズ(笑)。
 ♪ウルトラ・エキセントリック・スーパーカルト・パンクポップバンド、少年ナイフ〜!!!...と自ら宣言するラップ調の“少年ナイフ”、ビートルズの某曲ソックリだけど(笑)、彼女たちの代表曲である“Lazybone”、そのビートルズのカヴァー“Rain”、レッド・クロスのジェフ・マクドナルドと直子さんのデュエットが聴ける“The Luck Of The Irish”(ジョン・レノンのカヴァー)、そのレッド・クロスに捧げた曲“Redd Kross”、隠れた名曲“Fruit Loop Dreams”などなど、聴きどころ多し。
 個人的な話をすると、このアルバムが『ナイフ初体験』だった私は、この作品に思い入れ強いです。ヴィトンのバッグを買い漁るひとたちへの皮肉が効いてる“Baggs”をはじめ、凄い歌詞の連発(笑)。ナイフの作品のなかで歌詞が一番トンでるのは、このアルバムだと思っとります。なお、“クッキング ・ストーリー”は再発の際のボーナス・トラック。ちなみにこの頃、直子さんは「ナンシー山の」と名乗っておられました(笑)。

Let's Knife

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-3)
1. Riding On The Rocket/ロケットにのって
2. Get The Wow 3. Twist Barbie
4. Tortoise Brand Pot Cleaner's Theme (Sea Turtle)
5. Antonio Baka Guy/アントニオバカ貝
6. Ah Singapore/嗚呼、新嘉坡 7. Flying Jelly Attack
8. Black Bass 9. Cycling Is Fan/サイクリングは楽し
10. Watchin' Girl 11. I Am A Cat
12. Tortoise Brand Pot Cleaner's Theme (Green Tortoise)
13. Devil House/悪魔の館 14. Insect Collector
15. Burinig Farm/焼畑農業のうた
 英米のインディー・シーンで人気が爆発し、ニルヴァーナのカート・コバーンが彼女たちの音楽のファンであることが日本でも話題になり、いよいよワールド・ワイドでメジャー・デビューすることになったナイフ。1992年の第1作目は、最初の3枚の再録+新曲という変則作になった。音質が、インディーズ時代と聴き比べると見違えるほどに向上(笑)。キーボード類などによる装飾も、今から聴き返すと過剰に思え、ちょっと作り込み過ぎ(苦笑)。メジャー・デビューってことで、力が入ってるんでしょう(笑)。とは言っても、ナイフのライヴで演奏される代表曲の多くがここに収められており、このアルバムが『代表作』であることは、疑いを挟む余地なし。ここで聴かれる曲がいわゆる『ナイフ・クラシックス』ですね。初心者の必須アイテム。
 ところで、“亀の子束子のテーマ”を英訳すると“Tortoise Brand Pot Cleaner's Theme”になるんですか???(笑)

Rock Animals

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-8)
1. Concrete Animals 2. Little Tree/小さな木
3. Butterfly Boy
4. Strawberry Cream Puff/苺シュークリーム
5. Tomato Head 6. Another Day
7. Brown Mushrooms/茶色のきのこ
8. Johnny, Johnny, Johnny 9. Catnip Dreams
10. Cobra Versus Mangoose/コブラ対マングース
11. Music Square
 1993年リリース作。前作『Let's Knife』はこれまでのベスト盤的再録作品だったため、これがある意味メジャー初のレコーディング作品。前作の作り込みされ過ぎの印象に比べると、かなりナチュラルなサウンド。3ピース・バンドの基本に戻ってます。
 “Concrete Animals”や“Another Day”、さらには、現・マネージメント事務所の名前の由来になってる“Tomato Head”など、イイ曲なんだけど、これらの曲が今のライヴで演奏されることは少ないなぁ...。“Music Square”は、渋谷陽一が当時やってたNHK-FMの同名番組向けに書いた曲で、結局、番組では使われなかったとか(笑)。“Butterfly Boy”には、ソニック・ユースのサーストン・ムーアがギターで参加しとります。

Brand New Knife

(国内盤 : ユニバーサル MVCD-37)
1. Explosion! 2. Wind Your Spring/ねじを巻け
3. The Perfect World 4. E. S. P.
5. Loop Di Loop/遊園地は楽し
6. Wonder Wine/秘密のワンダーワイン 7. Magic Joe
8. Fruits & Vegetables 9. Tower Of The Sun/太陽の塔
10. Keep On Rockin' 11. Frogphobia/カエル恐怖症のうた
12. Buddah's Face/仏の顔も3度まで
13. One Week/一週間
 所属事務所の移籍などのトラブルがあり、3年ぶりにリリースされた'96年作。長い間沈黙を余儀なくさせられたことに対する反動からか、アタマから“Explosion!”と、ハジけてる印象があります。ミッシェル・ポルナレフの“シェリーに口づけ”を思わせる“E. S. P.”はライヴに欠かせない名曲。ザ・ラーズの“There She Goes”のイントロを早廻しにしたような“Loop Di Loop”、大阪ならではの題材を扱った?“Tower Of The Sun”、ヘヴィーな“Buddah's Face”、トホホな“One Week”など、充実してます。

Happy Hour

(国内盤 : ユニバーサル MVCH-29020)
1. SHONEN KNIFE PLANET 2. KONNICHIWA
3. クッキー・デイ 4. HOT CHOCOLATE 5. すしバーソング
6. FISH EYES 7. バナナチップス 8. DOLLY
9. JACKALOPE 10. GYOZA 11. CATCH YOUR BUS
12. おとし穴 13. HIS PET 14. COOKIE DAY*
15. SUSHI BAR SONG* 16. BANANA CHIPS*
17. DOLLY* 18. PEOPLE TRAPS*
(*印はEnglish version)
 アルバム・ジャケットを奈良美智が手掛けたことで話題になった1998年作。『712』収録の“少年ナイフ”を思わせるヘナチョコ・ラップ・チューン“SHONEN KNIFE PLANET”で幕を明け、自己紹介ソング“KONNICHIWA”になだれ込む元気のいいアルバム。TVアニメの主題歌に使われた“バナナチップス”や、“HOT CHOCOLATE”、“すしバーソング”、“GYOZA”...と、いつもに増して食べ物ネタが多い気が...(苦笑)。“すしバーソング”にはザ・プレジデンツ・オブ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの3人がゲスト参加し、♪スシ〜とバックコーラス入れてます(笑)。結果的にはこのアルバムで『第1期少年ナイフ』は打ち止め。

Strawberry Sound

(国内盤 : ユニバーサル MVCH-29043)
1. Side 1 2. Buggy Bug 3. Wild Life 4. Nya Nya
5. ごきぶる 6. Super Big Black Bass 7. CM Song
8. Side 2 9. Punk Rock Star 10. セサミ 11. 怪奇ゲーム
12. Chinese Disco 13. Mosquitoes
14. Mayonnaise Addiction 15. Synthesizer (バブル崩壊) 16.
 前作リリース後、ベースの中谷美智枝さんが脱退。山野姉妹2人だけのユニット『第2期少年ナイフ』になってから初めてリリースした2000年作。2人ユニットになったことで、敢えてバンド形態にこだわらず、いろんなサウンドに挑戦してます。ライヴでの振り付きダンスが大いにウケた(笑)'70'sディスコ・サウンドふうの“Chinese Disco”を始め、ホーン導入の“ごきぶる”、シンセを使って妖しい色を出した“怪奇ゲーム”など、今まで無かったような曲がある一方で、お約束の猫ネタ?“Nya Nya”、食べ物ネタ“Mayonnaise Addiction”もアリ。このアルバムでは直子さんがベースを演奏したようで、アルバムのリリースに前後して、ドラマーの敦子さんがベースに転向する旨が公表された。“Mosquitoes”に、現・ライヴ・サポート・ドラマーのCHINA(西浦真奈)さんがゲスト参加。ライヴ同様、爆裂ドラムを披露しとります(笑)。なお、アルバム・ジャケットを描いてるのは、ロドニー・A・グリーンブラット。

Heavy Songs

(国内盤 : ワーナー・インディーズ・ネットワーク WINN-82101)
1. A Map Master 2. アーアーアー
3. Golden Years Of Rock'n'roll 4. ラバーバンド
5. Heavy Song 6. A Boogie Monster
7. マッシュルームカット 8. ホワットエバー
9. コミミトビネズミ 10. An Elephant Insect
11. コンピューター言語
12. マンゴージュース〜ジョージ・ハリスンに捧ぐ〜
 インディーズからの再出発盤となった2002年リリースの最新作。前作『Strawberry Sound』が2人組ユニットの利を活かして、バンド形態では出来ない曲に挑戦してたのから一変、再びバンド形態に回帰。“Golden Years Of Rock'n'roll”で「ラップもテクノもいらない! 欲しいのはハードロック」と高らかに宣言するように、ロック・アルバムに仕上がってます。敦子さんがベーシストとしてひとり立ちしたのが大きいかな?(笑) このアルバムでは敦子さんがベースとドラムを演奏。ライヴ・サポート・ドラマーの西浦真奈さんと、真奈さんの本業、羅針盤の山本精一がゲスト参加。“An Elephant Insect”では、ロン・セクスミスがゲスト参加し、直子さんとデュエットを聴かせてますけど、ロンがキィが致わなくて苦しそう...。“マンゴージュース”は、故ジョージ・ハリスンに捧げられたインド趣味な曲。“アーアーアー”での♪犬はdog〜鳥はbird〜という歌詞を聴くと「あー、やっぱりナイフは『ナイフ』だな」と安心します(笑)。

その他のおもな作品

『Greatest History』(国内盤 : ユニバーサル MVCD-25001)
 ちょうど彼女たちがマネージメント移籍のゴタゴタで活動が停滞した1995年にリリースされたレア音源集。既発曲の英語ヴァージョン、ライヴ・ヴァージョンなどを収録。ドイツでのライヴ音源の“Ice Cream City”での美智枝さんのMC「どうもありがとうございます、さんきゅー・べりー・まっち、だんけ・しぇーん」は最高!(笑)

『Super Mix』(国内盤 : ユニバーサル MVCD-20002)
 『BURNING FARM』、『山のアッちゃん』、『PRETTY LITTLE BAKA GUY』の初期3枚に収録されたナイフ・ソングを、内外の有名ミュージシャンがリミックスしたアルバム。1997年リリース。小山田圭吾や石野卓球、曽我部恵一、ロジャー・マニングなどが参加。“人喰いパパイヤ”をリミックスしたサーストン・ムーアのセンスはさすが!...の一言に尽きる!

『Ultra Mix』(国内盤 : ユニバーサル MVCH-19001)
 おもに『Brand New Knife』収録曲の、有名ミュージシャンによるリミックス・ヴァージョンを収めたアルバムで、『Super Mix』と対をなす。1997年リリース。ケン・イシイ、バッファロー・ドーター、ステレオラブなどが参加。bisのリミックスした“Wind Your Spring”は「らしくて」笑えるが、故hideがリミックスした“Tower Of The Sun”には泣ける...。

『ミレニアム・エディション』(国内盤 : ユニバーサル UUCH-1029)
 「少年ナイフの英語ヴァージョンによるベスト盤」というフレコミで2001年末にリリースされたアルバム。『Brand New Knife』以降の選曲。モンキーズのカヴァー“Daydream Believer”や、時節柄クリスマス・ソングの“All I Want For Christmas........”も収録。でも、どーせなら“Space Christmas”も収録して欲しかった!

※『BURNING FARM』、『山のアッちゃん』、『PRETTY LITTLE BAKA GUY』、『712』の初期4枚は、現在生産中止になっているようです。店頭在庫を見つけたら、即getせよ!

(2002.7.14)

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