いしけりあそび

一言メッセージ :ひとりで石けって遊んでます。いじけて、かも。たまにスペイン語。ラテン音楽は人生です。ああ、人生なんて...

  • お気に入りブログに登録

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全64ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]

おひっこし+ちょっとだけ追記

 このブログは下記にひっこします。
http://d.hatena.ne.jp/isikeriasobi/
 まだひっこし先にはなにもありませんが。

 国籍法のトピックスでいまだに「もっと深く知りたい人へ」と称して「国籍法改正案まとめWIKI」なるデタラメにリンクしていたり、ツカサネット新聞の「日本を蝕む『国籍法改正』」なるヨタ記事を配信するYahoo! JAPANの反知性主義的な運営方針が、どうにもガマンならないからです。ニュースのコメント欄もひどすぎます。

 お気に入りに入れていただいた方、ありがとうございました。

 それでは(マルコスにあやかって)
Vale. Salud y que todo esto sirva para darle una oportunidad a la palabra!


(追記〜12月8日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/081206/trl0812060027000-n1.htm
 この記事を書かれた産経新聞の記者の方が、私の不在中に、リザさんとありさちゃん、なおや君の写真を持ってきてくれました。いろいろdisりましたが、この記者の方の取材を受けてよかったです。ありがとうございました。

閉じる トラックバック(0)

改正法附則の解釈〜お勉強用&ついでに「まとめ」もさらしておく

 改正法の附則はややこしいので自分とスタッフの勉強用に解釈してみました。

【改正国籍法の附則】
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17005009.htm
(従前の届出をした者の国籍の取得に関する経過措置)
第二条 従前の届出(この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前にこの法律による改正前の国籍法第三条第一項の規定によるものとしてされた同項に規定する父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子に該当しない父又は母が認知した子による日本の
国籍の取得に係る届出の行為をいう。以下同じ。)をした者で、当該従前の届出の時においてこの法律による改正後の国籍法(附則第四条第一項において「新法」という。)第三条第一項の規定の適用があるとするならば同項に規定する要件(法務大臣に届け出ることを除く。附則第四条第一項において同じ。)に該当するものであったもの(日本国民であった者を除く。)は、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出は、国籍を取得しようとする者が十五歳未満であるときは、法定代理人が代わってする。
3 第一項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。ただし、平成十五年一月一日以後に従前の届出をしているときは、当該従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得する。
 (平成二十年六月五日以後に従前の届出をした場合の特例)
第三条 平成二十年六月五日以後に従前の届出をした者については、法務大臣に対して反対の意思を表示した場合を除き、施行日に前条第一項の規定による届出をしたものとみなして、同項及び同条第三項ただし書の規定を適用する。
2 前項に規定する反対の意思の表示は、施行日前にしなければならない。
 (従前の届出をした者以外の認知された子の国籍の取得に関する経過措置)
第四条 附則第二条第一項の規定によるもののほか、父又は母が認知した子で、平成十五年一月一日から施行日の前日までの間において新法第三条第一項の規定の適用があるとするならば同項に規定する要件に該当するものであったもの(日本国民であった者及び同項の規定による届出をすることができる者を除く。)は、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、施行日から三年以内に限り、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。

【正しい解釈】
この規定は、施行日(たぶん2009年1月1日と想定して進めます。)よりも前に届出をした人などについての規定です。
1.2008年6月5日(違憲判決の日)〜2008年12月31日までに、父から生後認知をされたとして法務局に届け出た人のうち、届出時に20歳未満の人は、改めて届出をせずに、施行日に届け出たものとみなされ、施行日に日本国籍を取得します。これは、判決を受けて届出た人で、報道によると現時点では129人とのことです。
2.1985年1月1日(旧3条が施行された日から)〜2008年6月4日(違憲判決の日の前日)までに、父から生後認知をされたとして届け出た人で、届出時に20歳未満の人は、3年以内にあらためて届け出ることによって、国籍を取得することができます。取得日は、従前の届出が2003年1月1日より前のときは新しい届出の日、以後のときは従前の届出時です。
 初めてこの届出をしたのは私の依頼者(2003年2月4日)と聞いているので、たぶん前者はいないと思います。後者は、その後届け出て、後に行われた集団訴訟に加わらずに結果を見ていた人たちです。数人いるとのことです。
3.父から認知を受け、2003年1月1日〜2008年12月31日までの間に20歳未満であった人は、3年以内に届け出ることによって、届出日時点で、国籍を取得することができます。
 2003年1月1日という日については、私の依頼者が届出たのが2003年2月4日(集団訴訟の人たちは2005年に届出)、それを受けた最高裁判例が、旧3条は「遅くとも」その日の時点では違憲になっていた、と判断したことによります。

【おまけ〜デタラメ解釈】
・ 国籍法改正案まとめWIKI
http://www19.atwiki.jp/kokuseki/
Q. 認知されて国籍取れるのは子供だけでしょ? すぐに実害はないのでは?
A. 法施行3年間は年齢制限すらありません。
帰化した80歳を起点に祖国の親族全員を認知できてしまいます。よって3年間の年齢制限撤廃も無くすべきです。
・ 改正国籍法が成立=違憲判決受け結婚要件削除コメント欄
http://headlines.yahoo.co.jp/cm/main?d=20081205-00000050-jij-pol&s=points&o=desc
「6:2008年12月5日 10時29分 この法案は施行後3年間は年齢制限無く認知できます。認知(書類提出)だけで日本国籍を取得できます。3年あれば日本を乗っ取るのに十分だと判断したのでしょう。早急に問題を改正させるためにみなさんがんばって周りの人にも知ってもらえるようにやっていきましょう。」

 プロにしては大人気ない仕打ちな気もしますが、「まとめ」は完全な確信犯、コメントは素人の「煽られ組」かも知れませんが、この期に及んで国内最大のニュースサイトのコメント欄上位に醜態をさらしているのだから、遠慮しなくていいでしょ。
 それに、ブログを眺めていたら、議員にたくさんファックスを送っていた人の中で、ボクのブログをみて考えが変わった、改正法で救われる人に気がついた、という方もいたので。ボクは(左右問わず)「煽り」は嫌いなので、「煽られる人」にはちょっと声をかけてみたい気もするのです。自分用に附則を勉強したついでなんで、あきらかなデタラメをしめして、こうした手合いがどの様な意図に基づいて騒いでいるのかわかってもらうのもいいのかなぁと(まあ、わかるわからないは別にして相手の迷惑もかえりみずに大量にファックスを送るなんて手段は取るべきではなかったと思いますが。)。
http://www.kinyobi.co.jp/backnum/antenna/antenna_kiji.php?no=419

【おまけ〜合成写真】
 ちなみに、「まとめ」が「偽装認知の図解」「NHKの番組でとりあげられた時のキャプチャ画像」って載せている写真の下3枚、あれ合成な(笑)。オレ、この番組みてたもん。まあ内容からしてプロがみればすぐわかるけど。「在留特別許可」のフォントくらいあわせなよ。あと左の中国人パパの写真とか。ウォーリーをさがせ!だな。ハハハ。
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1310380191/E1343526842/index.html
  ところで、こういうの、きみたちのコトバで「アサヒる」とかいうんじゃなかったっけ?

【さらにおまけ】
 まとめWIKIもこのエントリーをみてコソコソ直してますね。案外かわいいところあるなぁ。「確信犯」というのはちょっと買いかぶりすぎでただのアホだった可能性もあります。「デタラメ情報を流してすみません」って素直に認めないところをみると、いちおう恥ずかしいと思っているんでしょうか。もっとも、あれだけ根本がおかしいと、一部修正してもどうこうなるレベルではありませんけど。

閉じる トラックバック(0)

追い出し屋で被害〜 たまには法律相談的なものも書いてみる。

「追い出し屋で被害」提訴 家賃滞納の入居者4人
http://www.asahi.com/national/update/1205/OSK200812050042.html
asahi.com 2008年12月5日14時52分

 ちょっと焦点がしぼれていない記事なので、整理してみました。

(前提知識)
・ 賃料滞納は債務不履行(=契約違反)。信頼関係を破壊しない特段の事情がある場合以外は、家主が賃貸借契約を解除できる。「特段の事情」はいろいろですが、賃料の支払いは賃借人の債務の基本中の基本なので、丸々何ヶ月も滞納して「特段の事情あり」とされることは実務ではメッタにない。
・ 解除が有効な場合、以後の占有は不法占拠。明け渡しをする法律上の義務があります。
・ ただし不法占拠であっても、任意に退去しない(もと)賃借人に対して、明渡の判決と強制執行を経ずに明渡しを強制するのは「自力救済」として違法。提訴から強制執行まではケースにもよるがさっさといくケースで4〜6ヶ月。もちろんもっと長くなるのもめずらしくないし、裁判の途中で和解になる場合もある。実際に強制執行(=断行)されるケースは少ない。

(私の経験)
・ 大手不動産会社の場合は、コンプライアンス(=法令遵守)もあるので、自力救済はしない。さらに家賃保証がある場合は、保証契約で、未払い賃料や明渡しまでの使用損害金はもちろん、裁判費用や強制執行費用まで保証会社持ちになっているから、早期明渡しにはそれほど必死じゃないない。
・ ただし家賃保証会社は、一般的に規模が小さくて、コンプライアンスの意識が高くないところもある。また滞納〜明渡しまでのいっさいが自分の負担になるので、早期の明渡しを求める要求は切実。
・ だから、家賃保証会社は、オーナーから「裁判をして出すよ」というと、「うちで何とかしますから、やらせてください」といいだす。「そこまでいうなら」と任せるのが普通だが、その後、家賃保証会社が何をしているのか、「お互いみないことにしている」のが実情。
・ 家賃保証会社が何をしているのかはよく知らない。
・ オーナーが個人や小さな会社の場合もよく知らない。

(この裁判のおもしろい点)
・ 家賃保証会社だろうが、オーナーだろうが、勝手に玄関の鍵を変えたり、年利651%の損害金を払うように強硬に求めたら、これは違法。プロ的には特におもしろくない。
・ 下手人ではないオーナーと管理会社が被告になったのがこの裁判のポイント。共同不法行為=数人の者が共同の不法行為によって他人に損害を加えた場合ってことですが、はっきりいって何が共同不法行為になって何がならないのか、微妙な事案になればプロもお手上げ。裁判やってみないとわかりません。
・ ぶっちゃけ、オーナーの認識次第。「違法行為をやらないでしょう」「やってほしくないけどやるなら仕方ない」「やるだろうけど、かまわない」「やれやれ、さっさと追い出せ」のどっかで線がひかれます。オーナーが大企業か素人かで線の引かれる場所もちがうと思います。
・ いずれにせよ、家賃保証会社は賃貸人ではないので、裁判をして追い出しているのではないのは確かですが。明渡交渉は法律事務であり、弁護士資格のない家賃保証会社がオーナーから委託を受けて交渉をするのは弁護士法違反になるのが判例の建前。弁護士法違反は犯罪であり、明渡し合意をしても、後にクレームをつけられれば公序良俗に反するとして無効になります。
・ ただ、弁護士法違反って実務上もお目こぼしが多い。常識的にいって、駅前の不動産屋さんがおばあちゃんから頼まれてアパートの明け渡しをお願いに行くケースとか、全部違法っていえないでしょう。弁護士法に触れるかどうかは、関係者の属性=依頼したのが大企業か個人か、委託を受けた人がちゃんとした宅建業者か暴力団関係者か、実際にしたのか「オーナーの明渡し意思の伝達&賃借人の意思確認」なのか「とっとと出んかい、おら!」なのかなどなど。大企業&暴力団関係者となるとス○○○ー○○ー○○ンみたいになってしまいますね。

(教訓)
・ 賃借人=賃料滞納して解除された場合、もちろん不法占拠なので出て行く義務はあるわけですが。鍵を変えられたり、高額な損害金を払わされたりするいわれはありません。引越し期限を区切って明渡し猶予を求めたり、未払い賃料の免除を求めるなどして交渉しましょう。
 家賃保証会社が出てきた場合、弁護士法違反は相手からすると痛いところなので、交渉材料には使えるでしょう。具体的な事案はググれば出てきます。最近は、住んでいる部屋のオーナーがファンドの人もけっこういると思います。ファンドの場合は、弁護士法違反があると、金融商品取引法に基づくアセットマネージャーの資格に影響が出たりローンの期限の利益が喪失するなど、スキーム全体が崩壊する危険があるので、かなり痛いはずです。もちろん、相手の些細な法違反をあげつらうのは場合によっては恐喝になる場合があるので、交渉材料になるといっても「程度問題」です。
 あと、あんまりがんばりすぎると、敷金額や保証料があがって、結局、自分を含む賃借人全体に不利益が及ぶことになりますね。まあ明け渡しを迫られている人はそんなこと考える余裕はないでしょうが。
・ オーナー(個人)=家賃保証会社が違法行為をすると、いっしょに訴えられるおそれがあります。家賃保証会社に頼むのなら、自力救済は絶対にしないと誓約させ、かつ明渡し交渉の経過の報告を受け、違法行為があればすぐに介入できるようにしましょう。あと、弁護士法は、オーナーが個人の場合は関係ないと書いてあるわけではないので(というか本当は違法なので)、気になる人は「弁護士頼んで自分でするよ」といいましょう。こちらのコメント欄参照してください。
 http://d.hatena.ne.jp/Lhankor_Mhy/20081206/1228555917
・ オーナー(大企業)=家賃保証会社に頼むと弁護士法違反のリスクがあります。弁護士法違反は犯罪ですし、合意は無効とするのが判例です。ネットで書き立てられたり、あなたの会社が宅建業者なら国土交通省に、なにか金商法の資格を持っていれば金融庁にタレこまれるるリスクもあるので、「交渉」に至らない「オーナーの明渡し意思の伝達&賃借人の明渡しの意思確認」以上のことは、自社でやりましょう。どうせ費用は家賃保証会社持ちですし(契約にもよりますが。あと最近のご時世ですと家賃保証会社が倒産して取りはぐれる可能性もありますね。)。また家賃保証会社と契約する際は「反社会的勢力と無関係である旨の誓約書」を忘れずに入れさせましょう。このご時世ですから、あなたの会社がいわゆる新興不動産企業の場合は、思わぬところから倒産に追い込まれるリスクもあります。
・ 家賃保証会社=苦しい事情はわかりますし、背に腹を代えられずにしている面もあると思いますが、違法行為はやめましょう。
・ 国=不況の深刻化で、賃借人も家賃保証会社も不動産業者も全員苦しく、この種の紛争は増えています。定額給付金は賃借人の生活支援にまわしちゃダメですか?

 先日聞いた話。あるマンション、派遣会社の寮として使われていたのですが、派遣会社が撤退にあわせて解除したにもかかわらず、首を切られたおおぜいのペルー人をそのまま放置してしまいました。マンションのオーナー会社の担当者、ことばも通じないで、明渡し交渉に難儀していたそうですが、「うちの先生」と私の名刺をみせたら、みんな「じゃあどくよ」とあっさり明渡してくれたそうです。
 今度は、彼らに何か恩返しをしなきゃですね。

閉じる トラックバック(0)

改正国籍法成立雑感

 改正国籍法が成立=違憲判決受け結婚要件削除
 日本人の父と外国人の母の間に生まれた子の日本国籍取得の要件から父母の結婚を削除した改正国籍法が、5日午前の参院本会議で、与党と民主党などの賛成多数で可決、成立した。公布から20日以内に施行される。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200812/2008120500075&rel=j&g=soc

 外国人のシングルマザーと子どものケースは、オレにとってはライフワークだった。たまたまひとつ受けた事件で違憲判決を取ったわけではない。同じ分野で、オレよりはるかに悪い条件でがんばっているNGOもあるし、口さがない奴らからは「いしけりさんは人権派じゃなくて単なる女好きだろ」なんていわれているので、苦労したなんていうつもりもないが、彼女たち、子どもたちの悩みや苦しみを、少しはわかって、いや、ほんの少しだけでもわかろうとしてやってきたつもりだ。

 違憲判決の際には、記者会見なんぞにひっぱりだされる苦痛が先にたって、じっくりよろこぶ雰囲気ではなかった。だから、改正法の可決のときには、どっかの新聞のベタ記事をみながら、子どもたちの顔でも思い浮かべながら、酒飲んでひそかによろこぼうと思っていた。実際、違憲判決後、何度もマスコミで法案の内容が報道されていたのに、特に反対論はみなかったし。
 にわか騒ぎで、はなっから法案の趣旨を理解する気もない連中に、罵詈雑言をあびせられた気分で、よろこびもほどほど。

 今度の改正は、最高裁判決が出ているので改正案以外に変えようがない(DNA義務付けが無理なんて法律のプロならわかることです。)という事情、専門家からは長年にわたって問題点として指摘された点を、諸外国でとっくの昔に実施し、国際的な人権規範で認められた最低水準にあわせるだけという内容の穏当さ、生後認知された非嫡出子に国籍を与えるに過ぎないという影響力の小ささ(法務省は年間700人程度といっているらしい。過去分がどのくらい届出るかわからないが、まあそんなもんでしょ)、改正案の審議の段階から報道されているという内容のわかりやすさ(報道されていないなんてウソですよ。)、いわれのない差別の解消の必要性という大義名分、・・・もっともモめる要素のない法案だった。
 それが、衆議院の可決直前になって、デタラメな情報がネット上に飛び交って、議員も巻き込んでの大騒動。法案の趣旨は完全に没却され、あたかも偽装認知防止法を議論しているかのようだった。

 一般の人が法案に疑問を持つこと自体はかまわないし、細かなところで理解をまちがうことをあれこれいうつもりはない。法律解釈は基本的にはプロの仕事であり、プロだって専門外のことはよくわからない(その点、小倉先生の一連のエントリーは、こっち方面の専門でもないのに、基本を踏まえていて、これぞ弁護士、とても読み応えがあった。)。いい加減な情報に煽られるのもある程度はしかたない。オレだって他の話題については似たような経験はある。
 だから自分のエントリーはていねいに書いたし、直接よせられた「懐疑派」の質問のうち、具体性があって誠実なものについてはきちんと回答もした。Prodigal_Sonさんのブログのコメント欄でもきちんと説明した。
http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20081204/1228356960
 ただ、日本が崩壊すると大騒ぎをし、議員や役所の業務に差しさわりが出るほどファックスを送りつけ、はてはシングルマザーや生活保護受給者や野宿者にまで呪詛のことばを投げつけた人々や、それに便乗する議員たちの言動の、いったいどこに正当性があるというのだろうか。

 ある複数関係者との会話。「国籍法、たいへんらしいじゃない」「もうこりごり。今後、この種の話は『利害関係人』(企業と業界団体と関係省庁と有識者のこと。オレや外国人本人は入れてもらえないよ)で決める。これまでもそうだったけど、みんな『国民的議論』なんて考えていないっしょ。」

 今後、外国人の問題に関しては、国籍法改正なんぞとは比較にならないほど重大な政策変更がせまっている。
 だが、入国管理制度は、国籍制度とちがって、実体部分についても、その大部分が、法律によらずに決める構造になっている。告示、通達、実務の基準で、国民どころか国会の議論すらせずに、人の出入りを10万人単位で変えることができるのだ。日系人の受け入れ、外国人研修制度、技能実習制度、留学生や就学生、永住許可や在留特別許可の基準の変更、これまでもそうしてきた。
 生身の人間を何十万単位で入れる入れないの議論を、「利害関係人」限りの密室で決定することは、行政に対する民主的なコントロールという面からも、人権保障の点からも、複雑な問題を多面的に処理する必要性という点からも、好ましいものではない。それに、日本の外国人受け入れには長年放置された問題が山積しており、「利害関係人」だって、ちゃんとした結論を出せる状況ではないのだ。オレも、自称識者が「1000万人移民受け入れ」なんて無責任なアドバルーンをあげるたびに、冗談じゃない、オレの話も聞けよ、と思う(もしそうなったら、オレは真剣に商売変えを考えるよ)。だが、議論なんか考えていない、という彼らの意見に、オレは苦笑するしかなかった。
 今度の騒ぎを扇動したハーメルンの笛吹きたちは、多くの人を、議論に参加することのできない場所へと、連れ去ってしまったのだ。

 はてな村の住民をはじめとしたブログの読者の人には励まされた。シニカルな物言いなので、伝わりにくい面もあったかもしれないが、一連のエントリーは、まじめにこの問題を理解しようと努力をして、おかしな言論に反論しようとしている人たちを援護するつもりで書いた。
 この場を借りてお礼をいいます。ありがとうございました。

閉じる トラックバック(0)

ほんとうは人身売買のことなんてどうでもいいくせに〜“No pude quitarte las espinas”

 国籍法改正にかんする与太話にかかわるのは、時間のムダなんで、あんまりインターネットの記事もみないんですけど(ただ、この騒動が終わったら、あとひとつ、認知した父と実子と親子関係は、実は常にDNA鑑定どおりには決められないことを、わたしの体験した事件を題材に書くつもりです。)、わたしのブクマをお気に入りにしていただいている李怜香さん(わたしのブクマ、わけのわからないネタばかりでゴメンナサイ)のニュースクリップで経由で、こんな記事をみつけました。

「偏見に加担する『言い訳』を考えるリベラル系議員」
 http://d.hatena.ne.jp/macska/20081201/p1

 これみて、うちの会社で、「国籍法が人身売買と関係あるらしいぜ」っていったら、スタッフ一同、爆笑。わたしたちだけで笑いを独占するのは、よくないので、ちょっとだけ書きます。

               ●

 まず15歳以上の人身売買編。

 いちおう、この問題に関する経験をおはなしすると、私と私のスタッフは、人身売買といわれる事件を、たくさんあつかってきました。
 正確に数えたことはありませんが、日弁連でこの問題に関するレポートを書くことになった際に、1999年から2004年までの事件数をカウントしたところ、コロンビア人だけで42人。具体的に手続に進むに際しては、ひとりあたり7〜8時間はかけて聞き取りをしてるんで、当事者の身の上話を、トータルでどのぐらい聞いてきたことになるんでしょうかね。まあ、最近は激減しましたけど。
 もちろん、いきがかり上、業者の連中も知っています。2003年6月にボゴタで逮捕されて、現地で大々的に報道された元締めの女性がいるのですが、彼女は元人身売買の被害者だったので、そのころは、私も相談を受けていました。
 
 ところで、観光ビザで女を入れるケースは山ほどみていますが、認知を利用した人身売買って、正直、みたことも、きいたこともないです。
 あたりまえでしょ。だって業者が女におしつける「借金」は400〜600万円、業者の管理下にある女の場合はかせぎが50万円前後、10万円程度が生活費でさしひかれ、したがって返済にかかる期間は順調にいって10ヶ月〜1年程度(女を売春婦としてはたらかせるにはおのずと期限があるので、だいたいどれもこんなかんじになる。)、そこからあとはポイ捨てなのに、わざわざ認知を戸籍に記載して、足がつくようなマネするバカいるわけないじゃん。
 そもそも、どの業者も、上陸と同時に旅券や身分証明書を取りあげて、マニージャ(manilla=スペイン語で「手錠」、転じてその筋のスラングで「監視役」)つけてがんじがらめに管理しているのに、なんで国籍法が改正されたら法務局に出頭して女に日本国籍を取らせたがるようになるんですかね。ヘタすればその場でさわがれてつかまるし、運よく国籍がとれたらその女、逃げちゃうじゃないですか(笑)。

  ●

 次に幼児売買編。
 
 こっちは実際の事件は知りませんが、田中康夫(ゴメン、オレこの人に敬称つけられないわ)がスゴークおかしなこといってるのはわかります。
 
 田中康夫いわく「罪無き子供を奈落の底へと突き落とす蓋然性が極めて高い。当初から偽装認知奨励法にほかならぬと懸念されていた本法案は、人身売買促進法、ないしは小児性愛、ペドフィリアと呼ばれますが、小児性愛黙認法と呼び得る危険性をはらんでいると思います」。

 父から認知された非嫡出子に国籍を認める、その際にDNA鑑定を義務づけない、なんて血統主義を取る国ではどこでも採用している法制度をつかまえて「人身売買促進法」だの「小児性愛黙認法」がどうのなんて珍説、そもそもまともに相手にするのか迷うところですし(こんな説を国会議員が語っているなんて外国に知れたら、みっともなさは“waiwai”どころじゃないぞ!)、入国管理のいろはも知らない、というより社会人としての常識もないひとの発言から、どういう事態を想定しているのかを予想するのは、実はプロにとってはかなり難しい作業なのですが、気を取り直しましょう。
 要するに、他の国では問題なくても、日本人はおかしな奴が多いから、小児性愛者が、幼児を性的に搾取する目的で認知して、日本に連れてくる、あるいはそういう小児性愛者のために、業者かその関係者が認知して、日本に連れてくるっていいたいの?

 でもですね、タナカセンセイ、いままでだって認知された子は日本人の子として在留資格「日本人の配偶者等」でちゃんと日本に上陸できるわけですよ。で、性的搾取をする目的でわざわざ認知をして、日本に幼児を連れてきたなんてニュース(実話ナントかはダメよ)、1件でもきいたことあります?
 
 あるわけないです。子どものホームレスもおらず、義務教育就学率ほぼ100%の日本で、性的搾取の目的で外国人の子どもを上陸させるなんていうのは、あまりにも危険すぎるからです。
 百歩ゆずって、そういうことするチャレンジャーがいたとします。では、性的搾取の目的で子どもを上陸させるとして、観光ビザ、偽日系人(三世か四世)、偽養子、ほんものの養子などいろいろあるのに、なんで日本人の実子として戸籍を作成させるなんていうもっとも犯人が特定される危険の高い方法を選ぶのですか? そうした子どもについて、外国人登録をしないで所在もわからないように隔離できるのに、なんで国籍とらせて住民票基本台帳に記載させて役所から就学通知書や予防接種の通知が来るようにしたいのですか?
 性的搾取の目的で認知して連れてくるなんてひとはまずいないです。ましてや偽認知で戸籍までつくろうなんてひと、想像もできません。だからこそ、そういう最低なことしたい人は、東南アジアなどの発展途上国に買春しにいったりするのです。

                      ●
 
 macskaさんはがおっしゃるとおり、田中康夫は、およそ非現実的な子どもの権利侵害を口実に、いま既に起きている子どもたちの権利侵害の解消を後回しにしようとしているに過ぎません。

 この人の政治活動に、わたしはまったく興味がないので、彼がリベラルかどうかはわかりません。ただ、ほんとうは人身売買のことなんてどうでもいいくせに(だって、賢明な皆さんがご存知のとおり、人身売買には貧困、経済格差、女性差別などの社会問題や、他の法制度のほうがよほど関係があるんだもん。そう、人身売買を防止するなら、幼児と女性の観光ビザを全面的に禁止するのがもっとも効果的です。)ことさらに国籍法改正案を中傷して、ああいう手合いの擁護をするっていうのも、リベラルとしてありなんですかねぇ。

                  ●

Erick Escobar y la desicion vallenata “ No pude quitarte las espinas ”



 最初から、報われない恋だとわかっていた
 君は僕を風の中に取り残し、僕はため息をついて立ち尽くす
 そして心の中で叫ぶんだ 本当に君が好きだったって
 何て悲しいんだろう 僕は君のとげを抜くことができなかったんだ・・・

 “ブエノス・ディアス、ニッポン”「夢と手錠 - あるコロンビア人少女の物語」より。




 

閉じる トラックバック(0)

全64ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 次のページ ]


.

いしけりあそび
人気度

ヘルプ

1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
  今日 全体
訪問者 94 106953
ファン 0 15
コメント 0 6
トラックバック 0 0
  • My Yahoo!に追加
  • RSS
  • RSSとは?
検索 検索

開設日: 2005/3/12(土)


プライバシーの考え方 -  利用規約 -  ガイドライン -  ご質問・お問い合わせ

Copyright (C) 2008 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.