西日本新聞

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2008年02月22日掲載 福岡 / 哺乳類

昨年死んだハスキー「仁吉」「命の授業犬」に感謝状 動物愛護教室でモデル 

080222inu.jpg 福岡県朝倉地方の小中学校で、命の大切さを伝える「動物愛護教室」のモデル犬として貢献し、昨年末に死んだシベリアンハスキー「仁吉(にきち)」に、県朝倉保健福祉環境事務所(朝倉市甘木)が21日、感謝状を贈った。飼い主の徳安雅子さん(59)=同市杷木林田=は「仁吉も自分なりの務めを果たせたと喜んでいると思う」と語った。


 徳安さんが生後間もない仁吉を飼い始めたのは1992年の初夏だった。同市内のドッグスクールで5カ月間、人間との共生法を学んだ仁吉。社会マナーや服従訓練の成果を競う大会などでも活躍した。
 2002年、徳安さんが県の動物愛護推進員になったことをきっかけに、仁吉は徳安さんとともに朝倉地方で「犬のしつけ方教室」のモデル犬を務めた。県内では人間に捨てられた犬猫の殺処分数が1万7466匹(05年度)で全国ワーストという現状を知ってもらうため、06年からは朝倉市郡の小中学校を訪問。子どもたちに聴診器で心音を聞かせるなどして、「命の重み」を伝えた。


 だが、仁吉は昨年秋ごろから体調を崩し、弱っていった。昨年12月、仁吉は死ぬ3日前にも地元の中学校を訪れ、その姿を生徒たちに見せたという。


 3月末に推進員を引退する徳安さんは「動物愛護の活動が末永く続くように見守り続けたい。犬との共生社会が実現できることを切望しています」と、感謝状を手に涙をぬぐった。