日中韓の外貨準備高の推移
通貨危機など緊急時に資金を融通する「通貨交換協定」をめぐり、日本が韓国向けの融通枠を現行の2倍以上に拡大する方向になった。中国も韓国向けの増枠に応じる見込みで、金融危機以降、ウォン安に苦しむ韓国を支援する。これを受け、13日に福岡で開く日中韓首脳会談では、アジアの金融安定へ「協調強化」を演出する。 日韓間では、ウォンとの交換で日本が円やドルを韓国に供給する資金枠がすでに130億ドル(約1兆2千億円)あり、これを300億ドル程度に拡大する見込み。枠の拡大自体は11月の日中韓財務相会合ですでに合意していた。同時に議論されていた日中間の枠拡大は見送られる見通し。
世界的な金融危機の逆風に直面し、韓国が日中の協力を切望していた。ウォンの対ドル相場は今秋以降、外国人投資家の投資引き揚げや金融市場でのドル不足などで急落。11月下旬には1ドル=1500ウォン台と、通貨危機当時だった98年3月以来の安値水準に落ち込んだ。
この間、通貨当局は外貨準備を取り崩し、ドル売り介入や金融市場へのドル資金の供給に充ててきた。11月末で2005億ドル(約19兆円)となり、07年末と比べて617億ドルの減少。韓国は「通貨危機時をはるかに上回り、十分な水準で問題ない」と訴え続けるが、増加や横ばいの日中両国とは対照的だ=グラフ。
そこで、韓国が当てにしたのが「他国の財布」。「二重、三重に多様な資金調達先を確保し、市場の過剰な不安解消につなげる」(政府関係者)。10月には米連邦準備制度理事会(FRB)と300億ドルの交換協定を締結。すでに計70億ドルを借り入れ、国内の金融機関に貸し出した。