平成20年12月12日,国籍法が改正(平成21年1月1日施行)され,出生後に日本人に認知されていれば,父母が結婚していない場合にも届出によって日本の国籍を取得することができるようになりました。
また,虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられました。
次の要件に該当する方は,法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。
○国籍を取得しようとする者が・・・
・父又は母に認知されていること
・20歳未満であること
・日本国民であったことがないこと
・出生したときに,認知をした父又は母が日本国民であったこと
○認知をした父又は母が,現に(死亡している場合には,死亡した時に)日本国民であること
本人(15歳未満のときは法定代理人)が届出先に出向き,書面によって届け出ることが必要です。
本人が日本に住所を有する場合 |
住所地を管轄する法務局・地方法務局 | |
本人が海外に住所を有する場合 |
日本の大使館又は領事館 |
すでに20歳を超えているなど,現在は国籍法第3条第1項の要件に該当しない方でも,下の表に該当する方は,平成23年12月31日までに法務大臣に届け出ることによって,日本の国籍を取得することができます。
対 象 者 | 国籍を取得する時 |
T 昭和58年1月2日以後に生まれた方で,生まれた時に父が日本人であり,20歳に達するまでにその父に認知された方
ただし,父が今も(死亡しているときは死亡した時に)日本人であることが必要です。 (附則第4条第1項) | 届出の時
(附則第4条第2項) |
U 平成20年6月4日までに国籍取得の届出書を提出した(従前の届出)が,父母が結婚していなかったため,日本の国籍を取得することができなかった方
(附則第2条第1項) |
@昭和60年1月1日から平成14年3月31日までに届け出ていた方(附則第2条第3項本文)
新たに届け出た時
A平成15年1月1日から平成20年6月4日までに届け出ていた方(附則第2条第3項ただし書)
従前の届出の時
|
V Uの@により国籍を取得した方の子で,その父又は母が日本の国籍を取得するまでに生まれた子(ただし,父又は母がした従前の届出以後に出生した子に限られます。) (附則第5条第1項) |
届出の時
(附則第5条第2項) |
本当は自分の子ではないのに,自分の子だとして嘘の認知の届出をしたり,嘘の認知を利用して国籍取得の届出をすると処罰されることがあります。
※改正国籍法のパンフレットはこちら (準備中)
Q1 今回の法改正によって、どのような点が変わったのですか。 |
A1 大きく変わる点が2つあります。
1つは、出生後に日本人の親に認知された子の届出による国籍取得(国籍法第3条の国籍取得届)について,改正前の国籍法では,日本人の父から認知されていることに加えて,父母が結婚していることが要件とされていましたが,今回の改正により,父母が結婚していることという要件が削除され,認知がされていることのみで国籍を取得することができるようになったことです。
もう1つは,国籍取得の届出に際して,虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられたことです。
Q2 なぜ改正が必要だったのですか。 |
A2 平成20年6月4日,最高裁判所は,「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子の間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,憲法第14条に違反する」との判決を言い渡しました。この判決を受けて,違憲状態を解消するため,父母が婚姻していない子にも届出による日本の国籍の取得を可能とすることなどの改正をしたものです。
Q3 なぜ罰則が設けられたのですか。 |
A3 今回の改正により,日本人男性と子の間に実際には親子関係がないのに,親子関係があると偽って認知届をし(偽装認知),その認知事項が記載された戸籍謄本を添付書類として国籍法第3条の国籍取得の届出書を法務大臣に提出して不正に日本国籍を取得しようとする事案が発生する懸念があります。
そこで,改正法では,虚偽の国籍取得の届出書を提出した者(本人が15歳未満のときは父母などの法定代理人)に対する制裁として,1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する刑罰が設けられました(国籍法第20条)。
なお,虚偽の認知届を提出する行為及び虚偽の国籍法第3条の国籍取得届によって不正に取得した国籍証明書を添付して戸籍法第102条の国籍取得届をする行為についても,公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)等により,それぞれ5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
Q4 父母が婚姻していなかったため,国籍法改正前には日本の国籍を取得することができませんでした。既に20歳を超えていますが,今から国籍を取得する方法はありますか。 |
A4 次の方は,平成21年1月1日(施行日)から平成23年12月31日(施行日から3年以内)までに法務大臣に届け出ることによって日本の国籍を取得することができます。
@ 昭和58年1月2日以降に生まれた方で,生まれたときに父が日本人であり,20歳に達するまでにその父に認知された方。
ただし,父が今も(死亡しているときには,死亡した時に)日本人であることが必要です。
A 平成20年6月4日までに国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出した(「以下「従前の届出」といいます。)が,父母が結婚していなかったため,日本の国籍を取得できなかった方。
ただし,従前の届出当時,改正後の国籍法第3条第1項の要件を満たしていたことが必要です。
Q5 平成20年6月4日までに国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出(従前の届出)している場合の国籍取得のしくみはどのようになっているのですか。 |
A5 @ 昭和60年1月1日から平成14年12月31日までに従前の届出をしていた方は,施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることによって,新たに届け出た時から日本の国籍を取得することができます。(附則第2条第1項,同条第3項本文)
A 平成15年1月1日から平成20年6月4日までに従前の届出をしていた方は,施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることによって,従前の届出の時にさかのぼって,日本の国籍を取得することができます。(附則第2条第1項,同条第3項ただし書)
B 平成20年6月5日から平成20年12月31日(施行日の前日)までの間に従前の届出をしていた方は,施行日に法務大臣に対する届出を行ったものとみなされ,従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得します。よって,特段の手続は必要ありません。(附則第2条第1項,同条第3項ただし書,附則第3条第1項)
Q6 平成20年6月5日から施行日の前日までの間に国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出(従前の届出)しましたが,やはり日本の国籍を取得することをやめたいと思っています。撤回は可能でしょうか。 |
A6 平成20年12月31日(施行日の前日)までに国籍の取得を希望しない旨の意思表示(反対の意思表示)をすることによって国籍を取得しないことができます。国籍の取得を希望しない旨の意思表示は,国籍法第3条第1項の国籍取得の届出書を提出した法務局・地方法務局又は日本の大使館もしくは領事館で行ってください。
Q7 附則の規定による届出によって国籍を取得した場合,子の国籍はどのようになるのでしょうか。 |
A7 @ 附則第2条第1項及び同条第3項本文の規定により新たな届出の日から日本の国籍を取得した方(昭和60年1月1日から平成14年12月31日までに従前の届出をしていた方)の子で,従前の届出の日以後父又は母が国籍を取得する日までに生まれた子は,平成21年1月1日(施行日)から平成23年12月31日(施行日から3年以内)までに法務大臣に届け出ることによって,届出の日から日本の国籍を取得することができます。(附則第5条第1項)
なお,附則第4条第1項の規定によって日本の国籍を取得した方(昭和58年1月2日以降に生まれた方で,生まれたときに父が日本人であり,20歳に達するまでにその父に認知された方)の子については,附則第5条第1項の届出によって,日本の国籍を取得することはできません。
A 従前の届出の時にさかのぼって日本の国籍を取得した方(平成15年1月1日から施行日までに従前の届出をしていた方)の子で,従前の届出の日以後に生まれた子は,生まれながらにして日本の国籍を取得しています。(国籍法第2条第1号)
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