「ゴルフを通した社会貢献」を標榜するPGAシニアゴルフ最終戦「フィランスロピー・シニアトーナメント」は30日、ファイナルラウンドを迎え、驚異的な粘りを見せた三好隆が、4回のプレーオフの末、飯合肇を破り、劇的な逆転優勝。シニアトーナメント史上最高の優勝賞金3000万円を獲得した。
この日は、前日より風が強まり、午後になると気温も低下。前日単独首位に立った飯合は2番で早くもバーディ。この時点で三好との差は4打に開いた。
しかしここから三好が猛チャージ。4、5、8、9番でバーディを奪取し、前半で通算7アンダーに。飯合は5番でボギーをたたいたが9番バーディで盛り返し、こちらも前半通算7アンダーと、一歩も譲らない展開。
インに入ると、飯合のアイアンが切れ、10、11番とさらにバーディを重ね、その差は2打に。しかし、飯合は13番で痛恨のボギー。すかさず三好が14番のバーディをねじ込み、再び並んだ。16番で二人ともボギーをたたき、結局両者譲らず7アンダーでフィニッシュ。まれに見る激闘は、プレーオフにもつれ込んだ。
18番ホールでの決着を繰り返すプレーオフは、1回目、2回目とも、ともにパー。大きな転機は3回目に来た。ピンそば1メートルにつけた飯合に対し、三好は約4メートルの難しいライン。しかし、これを執念で沈め、簡単に決めた飯合とともにバーディ。命拾いした。4回目は、飯合がファーストパットを外したのに対し、三好は、これも難しい3メートル強のファーストパットを決め、激闘を制した。
表彰式では、松井功PGA会長が「ゴルフで社会貢献するという素晴らしい思想の大会が成功したのは、趣旨に賛同してくださった国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長、素晴らしいコース、地元のボランティアの皆さんのおかげです。感謝しています」とあいさつ。三好選手には、優勝トロフィー、ハンダカップ、ビクトリージャケットと、優勝賞金3000万円が贈られた。
優勝を目前にしながら涙を飲んだ飯合は、今期通算4627万円を獲得し、今年の賞金王に輝いた。
18番グリーン上を、オレンジ色の落葉がカサカサと転がっていく。強風と急速な気温低下。しかし、三好隆の心は熱くたぎっていた。
飯合肇との4回に及ぶプレーオフ。三好はこの間、3回のガッツポーズをした。このうち2回は、注意深く見ていなければわからないほどだったが、そこに、大向こうを狙ったパフォーマンスではない、勝負師魂を見た。
最初のガッツポーズは、2回目のプレーオフの時。バーディパットを外したあとの微妙なパーパットを決めた直後、小さくこぶしを握り締めた。「いける」。三好の闘志に、さらなる火がついたに違いない。
次は3度目のプレーオフ。飯合は1メートルのベタピンにつけ、バーディは確実。絶体絶命の中、三好は約4メートルの難しいパット。これを執念でねじ込んだ瞬間、ギャラリーは大きくどよめき、それが惜しみない拍手に変わった。これに応えるように、今度は力強くガッツポーズ。このときの気迫のパットが勝利を呼び込んだといってもいいだろう。(3枚の連続写真参照)
最後のプレーオフ。勝利のパットを決めた瞬間のガッツポーズは、やや控え目だった。寒風の中、最後までしのぎを削った宿敵への、戦い終わってのいたわりだったのだろう。
逆転勝利の伏線は、前日の第3ラウンド終了後にあった。第2ラウンド終了時点では、三好は飯合と首位タイ。しかし大事な第3ラウンドで、三好は、2バーディ、3ボギー、2ダブルボギーと、信じられない崩れ方をし、一気に5ストローク落とした。インタビューでは「明日は丁寧なゴルフをしたい」と多くを語らなかった。しかし内心は、期するものがあったに違いない。
人垣から離れたソファに一人身を沈め「情けない…」「下手だ!下手だ!」と繰り返し、唇をかみしめていた。5打も落とせば、集中力を取り戻すのはプロでも容易ではない。今年57歳。シニアでも「高齢」に属する三好は、高校球児で甲子園大会出場の経験もある。安定したショットとアプローチに冴えを見せる実力派で、2005年にはシニアの賞金王にもなった。シニアツアー最高の、そして今季最後の晴れ舞台で、いぶし銀の技と、強い精神力を見せつけた笑顔は、「ゴルフの匠」にふさわしいプロの顔だった。
私は、ゴルフの社会貢献を目指して、盲人ゴルフの支援を20年前に始めました。さらに女子シニアトーナメントを始めました。パティ・シーハン、パット・ブラッドリー、ジョアン・カーナー、キャシー・ウィットワース、サリー・リトル、ジャン・スティーブンスンら、多くの選手を集め、それから女子シニアの大会は増えました。
こうしてゴルフの社会貢献に尽くしてきましたが、「ゴルフの社会貢献」となれば、やはり男子シニアゴルフを盛り上げなければなりません。そこで昨年、このフィランスロピー・トーナメントの賞金総額を1億円にしました。今年は1億2000万円。それでシニアが盛り上がるのならば、という思いからです。
年をとっても、男子プロ、女子プロのいいプレーを見たいというアマチュアがたくさんいます。今大会に参加したテリー・ゲール(オーストラリア)は62歳ですが、それで5位タイ(1アンダー)は素晴らしい。
今や高齢化社会です。だからこそ、ますますシニアゴルフに貢献し、ひいては、ブラインドゴルフや障害者ゴルフなど、さらなる社会貢献を追求していきたいと思っています。
プロの皆さんも、今大会で得た賞金の1割を盲人ゴルフや国連高等弁務官、いろんな地域の福祉目的に寄付をされます。こういう形で、今後もゴルフを通した社会貢献を進めていきましょう。
国際スポーツ振興協会(ISPS) 半田晴久会長
「ゴルフによる社会貢献」を掲げるPGAフィランスロピー・シニアトーナメント(埼玉県・おおむらさきゴルフ倶楽部)は29日、予選を突破した66選手で第3ラウンドを行った。
前日通算8アンダーで首位タイに立った飯合肇は、4バーディ、4ボギー、1ダブルボギーと不安定なゴルフで2打後退したが、他の選手も大きくスコアを落としたため、通算6アンダーで単独首位となった。
現在、男子シニアトーナメントは、この日通算1アンダーの7位タイにつけた渡辺司が獲得賞金総額のトップにいるが、飯合がこの大会を制すると優勝賞金3000万円を手にするため、逆転で賞金王となる。それだけに、最終日は精度の高いショット、冷静なパットとともに、強い精神力が求められるところだ。
第3ラウンドは、前日までの雨から一転して快晴の秋空となった。しかし、複雑な風がフェアウェー、グリーン上空を吹き抜け、芝目も前日までの雨と、この日の風で読みづらくなったため、スコアを崩す選手が多かった。
はっきりわかるほどの強風ではないが、微妙な風が、フォロー、アゲンスト、あるいは左右に流れ、選手は判断に苦しんだ。とりわけ勝負をかけていく上位陣は、どうしてもピンを狙いにいくため、風に押されたり戻されたり、左右にぶれるためグリーンを外した。
パーオンしても、ピンポジションが難しい位置に切ってあるため、攻略が難しく、ボギーをたたくケースが目についた。
2位には、1バーディ、2ボギーと我慢のゴルフを重ねた実力者・倉本昌弘が通算4アンダーと首位飯合に接近。最終日は同じ組で回るだけに、し烈な戦いが展開されそうだ。
3位タイには、初日トップでスタートしたテリー・ゲール(オーストラリア)、前日首位タイだった三好隆、牧野裕の3人が、通算3アンダーで並んだ。
目下賞金王の位置にいる渡辺司は通算1アンダーの7位タイ。この大会を逆転Vで飾れば文句なしに賞金王となるが、2位以下でも他の選手の成績次第では逃げ切り賞金王となる。それだけに「天から何かが降りてこないと優勝するのは難しい。トップとの差も大きいし」と言いながらも「なんとか、天から降りてきた力を借りて、いいゴルフをしたい」と意欲十分だ。
明日は、最終ラウンド終了後、表彰式が行われる。賞金総額1億2000万円、優勝賞金3000万円という破格の金額。しかも、選手たちが賞金の一部を社会福祉のために寄付するという「フィランスロピー(人類愛)」のゴルフである点が大きな話題だ。この趣旨に賛同した国際スポーツ振興協会(ISPS/半田晴久会長)は特別協賛となっている。
埼玉県のおおむらさきゴルフ倶楽部で開催中のPGAフィランスロピー・シニアトーナメントは28日、第2ラウンドを行い、粘り強いゴルフを展開した飯合肇と、一気にバーディ攻勢をかけた三好隆が8アンダーで首位に並んだ。
前日からの雨がやまず、スタートは1時間遅れた。しかし、雨は午後1時過ぎから徐々に上がり、気温も上昇。終盤にさしかかったころには、フェアウエー、グリーンともベストコンディションに近い状態となり、バーディ奪取を果たした選手が上位に食い込んだ。
前日首位のテリー・ゲールと2打差でスタートした飯合は、3、4番でつまずき連続ボギーで一時は後退。しかし、ここから盛り返し、5、7、9、10、14番でバーディを奪い、この日も3つスコアを伸ばして、通算8アンダーとした。
伏兵の三好隆は、安定したゴルフを展開。アウトの1、4、5、6、9番でバーディ。インも15、17、18番でバーディ。あとはすべてパーでまとめ、この日のベストスコア64をマーク。通算8アンダーで、一気に首位タイに躍り出た。
前日、好スタートを切ったテリー・ゲール(オーストラリア)は、天候不順の影響か、3バーディ4ボギーの73。通算6アンダーの3位に後退した。
米国帰りの倉本昌弘は、持ち前の爆発力を発揮。5、10、11番でバーディを奪うと、12番はイーグルを奪取。一気に通算5アンダーの4位タイにつけ、決勝ラウンドへ向けて、好位置を確保した。
また、林陳漢が16番ショートホールでホールインワンを達成した。
明日からの決勝ラウンドには、56位タイの66名が進出。期待された遠来組のブライアン・ジョーンズ(オーストラリア)は予選落ちした。
この日も、朝からの雨にもかかわらず、ブラインドゴルフの支援者や、シニアゴルフファンが多数つめかけ、声援を送った。
「ゴルフを通した社会貢献」を標榜するPGA公式戦、「フィランスロピー・シニアトーナメント」は27日、第1ラウンドを行い、テリー・ゲール(オーストラリア)が7アンダーで単独トップに立った。
この日はスタート前から雨が降り続き、気温もぐっと低下。厳しいコンディションの中、各選手ともスコアメイクに腐心した。賞金総額1億2000万円は、シニアトーナメント史上最高。優勝賞金3000万円も史上最高とあって、スタートホールから熾烈なバーディ合戦が展開された。
テリー・ゲールは62歳。今回参加した有力著名選手の多くは50歳代だけに、雨と寒さの影響が心配されたが、安定したティーショットにアイアンの選択がマッチ。難しいラインのパットも次々に決まった。アウトの1番でバーディ。3,4、5番は3連続バーディ。インも11,14、18番でしっかりバーディを積み重ね、ノーボギーの65でまとめた。
単独2位につけたのは実力者、飯合肇。アウトは5,9番でバーディ。インでは、13,14,15番と、こちらも3連続バーディで食い下がり、ノーボギーの5アンダー。前日のプロアマ戦の後も、丹念にバンカーやグリーン周りのタッチを確認するため、かなりのボールを打っていたが、雨で判断が難しいケースでのクラブ選択やアプローチが絶妙で、危なげないラウンドだった。
3位タイに並んだのは、4アンダーの重信秀人と市川幹雄。5位に3アンダーの湯原信光、6位タイに、尾崎健夫、牧野裕ら有力選手が顔をそろえた。
昨年の大会で、劇的な逆転優勝を遂げた友利勝良は1アンダーと伸び悩み11位タイ。米国から帰国して参戦したポパイこと倉本昌弘は4バーディ4ボギーと出入りの激しいゴルフで、イーブンパーの17位タイと出遅れた。
雨の中にもかかわらず、視覚障害を持つブラインドゴルファーの皆さんやサポーター、ボランティア大会に共鳴した市民やゴルフファンが多数つめかけ、ベテランプロのいぶし銀の技を堪能した。
有限責任中間法人国際スポーツ振興協会(ISPS)が特別協賛となっている「PGA Handa Cupフィランスロピーシニアトーナメント」は、日本のシニア公式戦史上最大の賞金総額(2008年は1億2000万円)で知られますが、他のトーナメントと決定的に違うのは、この大会に参集するプロが、賞金の一部を社会福祉団体に寄付する、という点にあります。
ISPSの半田晴久会長は、長年ゴルフの社会貢献を追及してきました。今大会でも、ブラインドゴルファーを多数招待し、プロアマ戦(26日)で、シニアプロと共にラウンドする機会を提供しますが、これも半田会長の信念の現われです。
このISPSホームページでは、毎日、大会の総括と写真を更新。従来にない充実したネット報道を行います。
PGA Handa Cupフィランスロピーシニアトーナメントは、男子シニアゴルフの三大公式戦のひとつで、シニアツアーの史上最高賞金額、及び史上最高優勝賞金となるものです。そして、フィランスロピー(人類愛)という、大会主旨に基づき、賞金の一部は社会福祉団体に寄付されます。
国際スポーツ振興協会では、スポーツの社会貢献をテーマに、障害者のためのスポーツの振興や、シニアゴルフの振興などを支援しています。そして、今年も、昨年に引き続き、フィランスロピーをテーマに掲げた、本大会への特別協賛を行うことになりました。
プロアマ大会には、私が創設し、名誉会長を務める特定非営利活動法人、日本ブラインドゴルフ振興協会(JBGA)から、ブラインドゴルファーを招待しています。
これにより、盲目のゴルファー達は、あこがれの有名選手とプレーできる感動を体験することができます。すなわち、このトーナメントは、フィランスロピーに基づく。シニアゴルフの振興と同時に、ブラインドゴルファーに、やる気と生きがいを与えるモチベーションにもなっているのです。
国際スポーツ振興協会 会長 半田晴久(深見東州)