揺らぐ文民統制
問われる在り方、現状と問題点を報告
【経済】ウォン安 韓国泥沼2008年12月11日 朝刊 【ソウル=築山英司】韓国の主要自動車メーカーが今月、一斉に減産に入った。外国為替市場では同国通貨・ウォンが急落しているが、十一月の輸出も大幅減少。ウォン安メリットを生かしきれないでいる。韓国経済が輸出依存型の構造を転換するのは難しく、世界各国の景気回復を待つしかない状態だ。 韓国の自動車メーカー五社の減産は今月から始まった。最大手の現代自動車は工場の操業時間を大幅短縮。特に経営難に陥っている米ゼネラル・モーターズ(GM)の韓国内子会社GM大宇は来年一月四日まで一工場の操業を完全に中止する。今月二十二日から二週間は全工場で生産を止める。韓国メディアによると、減産規模は月平均の約四分の一に当たる七万−八万台とみられる。 韓国知識経済省が一日に発表した貿易統計によると、十一月の輸出額は前年同月比18・3%減の二百九十二億ドルと急落、国内に波紋が広がった。二けたの減少は約七年ぶり。最大貿易国の中国向けが同27・8%減と急減し、米国、日本向けも減少した。品目別では船舶が増加しただけで、コンピューター、家電が前年同月比50%以上減、自動車も13%下落し、輸出の主力業種が苦しい。 一方、ウォンの対ドル相場は年初に比べ四割近く下落している。先月下旬には、一九九七年に発生したアジア通貨危機以来の一ドル=一五〇〇ウォン水準まで暴落した。ウォン安メリットを生かして増加が期待された輸出は失速。李允鎬(イユンホ)知識経済相は「世界の実体経済の需要が急減した影響だ」と分析。来年以降についても「相当期間楽観できない」と厳しい見通しを示す。 同省の鄭載勲(チョンジェフン)貿易政策官は輸出失速について「来年初めごろとみていたが、早く来た」と指摘。今後については「各国の景気浮揚策がどれくらいの効果を生むかがかぎになる」とみる。 日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウルセンターの百本和弘副所長は「輸出減は韓国だけでなく新興国共通の悩み。九七年の通貨危機は輸出の伸びで回復したが、今回は世界経済が良くならないと難しい」と話した。
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