大町市の牛越徹市長は11日、市議会12月定例会一般質問の答弁で、安曇野赤十字病院(安曇野市)が進める同病院の全面改築工事に対し、来年度予算で補助を検討すると明らかにした。ただ、大町市には医師不足などで厳しい経営が続く市立大町総合病院がある。市議会内などに「地元の市立病院の充実を優先すべきだ」との声があることも踏まえ、牛越市長は「断腸の思い」と表現した。
全面改築の総事業費は90億6500万円。大町市などによると、補助要請は安曇野市の仲介で今年1月、同病院側から松本、大町市など近隣8市町村にあった。住民の利用実績などに応じ要請額は異なり、大町市の場合は約3600万円。牛越市長は補助の理由として「他市町村も応じる方向にある。入院患者中心に年間4%ほどの大町市民の利用者がおり、なかなか断れない」と理解を求めた。
議会では大町総合病院の赤羽賢浩・事業管理者も答弁。本年度、同病院は3億円を超える赤字が想定される−とした上で「市長の高度な政治判断に従う。ただ(大町側が)“敵に塩”を送る余裕はないと感じている」と述べた。
同病院の内科は、常勤内科医の不足から、新患の診療制限を実施している。赤羽事業管理者は、前日も「大町市出身の医師からも着任を断られている。これ以上医師不足が続けば、現行体制での病院の維持は困難となる」と訴えている。