農山漁村の活性化策を協議する政府の「立ち上がる農山漁村」有識者会議が選定した本年度モデル事例の中に、笠岡市のNPO法人「かさおか島づくり海社」の活動が選ばれた。
過疎化・高齢化の波が押し寄せる日本の農山漁村。厳しさが増す中で、地域を元気にする先駆的な活動を奨励するのが狙いだ。全国で四十七件が選ばれた。
島づくり海社は、笠岡諸島を舞台に住民の連携による活性化に奮闘している。漁業や石材業など地場産業の低迷による大幅な人口減少や高齢化が進む中、衰退への強い危機感が住民を突き動かし、一九九七年に任意の連携組織を発足。二〇〇六年に現在の組織となった。
各島合同の運動会、島内への移住を図る「空き家バンク」など活動は実に多彩だ。自然や伝統行事などに親しむ観光ツアー、島々の特色を盛り込んだ弁当「しまべん」も開発した。
取り組みの底を流れるのは島の一体感と雇用の場の創出だ。「悩みも多い」と言う島づくり海社だが、「働く場がないから島から人が出ていく流れを変えたい」と意慾満々だ。
今回選ばれた他地域の事例も興味深い。地域の実情を見詰め、大胆な発想転換や可能性への果敢な挑戦が目につく。日本の土台ともいえる農山漁村の活性化へ注ぐアイデアと情熱が頼もしい。