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【断 イタクラヨシコ】説得力ある大麻対策を
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早大生らによる大麻密輸事件では、すでに3人が逮捕されているが、千葉県警成田空港署と東京税関成田支署は、さらにもう1人、共犯が疑われる早大生の逮捕状を取っている。休学中のこの日本人男子学生は目下海外で行方不明とされる。
大麻に関心をもつ多くの若者は、「違法にならない国もあるのに、日本ではなぜ?」と疑問を抱いているに違いない。大学生の視野や行動範囲は大人が思う以上にグローバル化している。
事実、ヨーロッパでは1990年代以降、大麻の条件付き解禁が広がり、少量の所持、個人使用に限れば罪を問われない国が多い。アメリカでも州によっては医療使用が認可されている。カナダに至っては、大麻が医療費控除の対象になる世界初の国だという。
むろん、「何でも欧米に倣えばいいというものではない」と主張する竹内久美子氏にも一理ある(本紙11月20日付「正論」)が、「タバコと同様に有害」程度の理由では、若者に大麻を忌避させるには弱いと思う。タバコをやめない大人がまわりにこれだけいるのだから。
舛添厚生労働相は「国民的キャンペーンをやるべきだ」と発言し、政府も対策に乗り出すようだが、「ダメ。ゼッタイ。」などと頭ごなしなお題目を唱えるのではなく、海外には大麻の医療使用を有益とする見地に立つ国も存在することを冷静に踏まえつつ、欧米での解禁路線の根拠となった論文を科学的に検証、批判するなど、説得力のある裏付けを添えなければ、キャンペーンは奏功しないだろう。(文筆業)